おこずかい
いくら待っても、残りのこずかいが手渡されなかった。
交通費も込みである。
いつも、何回かに分けて、手渡される。
つまりは、交通費以外に使う分などないのだった。
予定が立たない。
本を買っても、ガソリンを入れる金が心もたなくなる。
月初めに全額渡してくれれば、やりようはあった。
今月は昼飯も、節約した。
一食、100円である。
それでも、赤字になった。
今回も、親父の残したものを骨董屋に売るしかなくなったのだった。
妻に金をくれなどと、とてもいえない。
家計が苦しいということは、よくわかっているからだ。
それでも、この映画だけは観に行きたかった。
スターウォーズエピソード3。
このまま、観に行けないのかもしれないと思うと、叫びだしたくなった。
三年間、待ち望んだ小さな楽しみである。
そして、半分あきらめた。
帰りに図書館へ寄って、ハードカバーの小説を借りた。
これで我慢しよう。
家へ帰り、誰もいない居間で読み始めた。
読んでいるときだけ、絶望感を忘れられた。
もう少しで、妻が帰宅する。
それまでに食器を洗い、風呂を洗えばいい。
時計に目をやって、時間を逆算する。
そして、活字に目を戻した。
頭の中に、碧い海が広がっていた。
主人公は、ひとり船で外洋に釣りに出ていた。
海に行きたい。
そう考える俺は、愚かではないのか。
海も、二度と行けないだろう。
そう考えても、今度は何も感じなかった。
交通費も込みである。
いつも、何回かに分けて、手渡される。
つまりは、交通費以外に使う分などないのだった。
予定が立たない。
本を買っても、ガソリンを入れる金が心もたなくなる。
月初めに全額渡してくれれば、やりようはあった。
今月は昼飯も、節約した。
一食、100円である。
それでも、赤字になった。
今回も、親父の残したものを骨董屋に売るしかなくなったのだった。
妻に金をくれなどと、とてもいえない。
家計が苦しいということは、よくわかっているからだ。
それでも、この映画だけは観に行きたかった。
スターウォーズエピソード3。
このまま、観に行けないのかもしれないと思うと、叫びだしたくなった。
三年間、待ち望んだ小さな楽しみである。
そして、半分あきらめた。
帰りに図書館へ寄って、ハードカバーの小説を借りた。
これで我慢しよう。
家へ帰り、誰もいない居間で読み始めた。
読んでいるときだけ、絶望感を忘れられた。
もう少しで、妻が帰宅する。
それまでに食器を洗い、風呂を洗えばいい。
時計に目をやって、時間を逆算する。
そして、活字に目を戻した。
頭の中に、碧い海が広がっていた。
主人公は、ひとり船で外洋に釣りに出ていた。
海に行きたい。
そう考える俺は、愚かではないのか。
海も、二度と行けないだろう。
そう考えても、今度は何も感じなかった。