日々を生きる。~大切なものを失って得たもの。 -212ページ目

何のために~財布のなかの小遣い

「あんた、何のために料理教室行ってるのよ」

妻が言った。

小遣いが無くなり、クレジットカードの使えるコンビニで数回買いものをしたことを思い出した。

コンビニでカップヌードルなどを買わずに、自分で弁当でも作れと言っているのだろう。


料理教室を勧めたのは、妻だった。

妻はふたつ、習い事に通っている。ならば、俺も、と思ったのか。言われるままに始めたのだった。


一度、料理教室で習ったこを妻に話した。

妻は、激高した。

「そんなこと、毎日できるわけが無いじゃない」

それは、出しのとりかたについての話だった。


会話というものが、成り立たない。

いまに始まったことではなかったが、俺は閉口した。


冷蔵庫をのぞく。

何かおかずになるようなものを探し、箱に詰め込む。

飯が炊かれてないときは、何か麺のようなものを探して茹でる。

飲物はインスタントコーヒーをポットに詰めた。

家と会社の往復。

それ以外、コンビニすら立ち寄らない生活。


財布のなかの小遣いは、一円も減っていなかった。

愕然

台所の電気くらい消せ。

妻からのメールに愕然とした。

意味がわからなかった。

寝る前に自分で付けたのではないか。

もう、相手にしていられない。

頭がおかしくなりそうだった。




次の日の晩。

俺は付けたままの台所の明かりを消した。

しばらくして、妻が何かぶつぶつ言いながら台所にやってきて、明かりを付けた。

憎しみ

憎んでいるのは、妻の方ではなく、俺だった。


顔を見るだけでむかついた。

向うも同じなのだろう。

話をすることなどなく、罵られることもなかった。

家の仕事は片付けてあるので、罵る理由がないからだ。




ある時、妻が娘を叱り付けていた。


「何度も言っているのに、なんでわからないの」


俺を罵るときと、同じ台詞だった。

かっとなり、妻を睨み付けた。

妻の背中だった。

そして、怒りはすぐに消えてしまった。

もう我慢しない。

そう決めていたが、情けないことに、口から言葉が出ることはなかった。