誕生日
またひとつ、年老いた。
誕生日に思ったことだった。
とくに、感慨もない。
それでも、だれからも声をかけてもらえないというのも、なんだか淋しく思えるのだった。
「おとうちゃん、今日誕生日なんだ」
俺は娘に言っていた。
「ほんとうに」
娘が大袈裟に驚く。
一緒に風呂に入っていた。
娘がハート形の、おもちゃの器を浴槽に入れ、救い上げる。
そのまま俺の方へ突き出された。
「はい、どうぞ」
俺はありがとうと言ってそれを受け取り、喰う仕草をした。
娘はただ笑っていた。
誕生日に思ったことだった。
とくに、感慨もない。
それでも、だれからも声をかけてもらえないというのも、なんだか淋しく思えるのだった。
「おとうちゃん、今日誕生日なんだ」
俺は娘に言っていた。
「ほんとうに」
娘が大袈裟に驚く。
一緒に風呂に入っていた。
娘がハート形の、おもちゃの器を浴槽に入れ、救い上げる。
そのまま俺の方へ突き出された。
「はい、どうぞ」
俺はありがとうと言ってそれを受け取り、喰う仕草をした。
娘はただ笑っていた。
食洗機
我が家に食洗機が導入されてどのく らいになるだろうか。
導入当初、俺はひそかに喜んだ。
皿洗いという労働から開放されると思ったからだ。
しかし、そうはならなかった。
「皿、洗っておいて」
娘を寝巻きに着替えさせながら妻が言った。
俺は台所に行き、シンクを覗き込んだ。
積み上げられた皿はかなりの量だった。
少量ならば、手洗いの方が多分得だろう。
皿の数が多ければ食洗機だ。
水の使用量は、手洗いより少ない。
それが食洗機のウリでもあった。
これなら、機械で洗った方が良いのではないか。
そう思い、食洗機を開けようと思ったら扉が開かない。
ロックされている。
と、言うことは?
俺はロックを解除し扉を開いた。
思ったとおりだった。
食洗機の中は、隙間なく食器で埋め尽くされていた。
キレる
「うるせえんだよ」
我慢の限界を超えて、気がつくと怒鳴っていた。
すると、妻はこう言った。
「それが大人の対応なの」
言われると、そうかもしれないと思ってしまう。
それが俺という人間で、妻もそれをわかって言っている。
妻はさらに続けた。
「最近は、男の更年期障害もあるみたいだからね」
思わずかっとなるのと同時に、徒労感だった。
さらに妻は何か言っていたが、俺は聞く気にもなれず部屋を出た。
その後、妻はひどく機嫌が悪かった。
それは、今も続いている。