誕生日 | 日々を生きる。~大切なものを失って得たもの。

誕生日

またひとつ、年老いた。

誕生日に思ったことだった。

とくに、感慨もない。

それでも、だれからも声をかけてもらえないというのも、なんだか淋しく思えるのだった。



「おとうちゃん、今日誕生日なんだ」

俺は娘に言っていた。

「ほんとうに」

娘が大袈裟に驚く。

一緒に風呂に入っていた。

娘がハート形の、おもちゃの器を浴槽に入れ、救い上げる。

そのまま俺の方へ突き出された。

「はい、どうぞ」

俺はありがとうと言ってそれを受け取り、喰う仕草をした。

娘はただ笑っていた。