日々を生きる。~大切なものを失って得たもの。 -185ページ目

三つの選択~人間性とは

人は、人との係わり合いの中で、相手に何が提供できるのだろうか。


それは、大別して3種類の感情が伴う、と思う。



1、己と交わることによって、相手を不快にさせる。


2、己と交わる前と後でも、何も変わらない。


3、己と交わることで、相手を愉快にする。




ひどく無味乾燥な日々を送っている。


それは、人との関係性において、何一つ己を表現できていないからではないか。


可もなく不可もなく。


それは、何もしていないことと一緒ではないか。





朝目覚めると、顔を洗って歯を磨いた。


娘が朝食を摂っている。


声をかけると、こちらに視線を向けてきた。


俺は、娘に微笑みかけた。


ちょっと首を傾げ、笑い返してきた。




微かな頭痛。


いつまで、続くのだろうか。


夕方になるにつれ、痛みは増していく。


こめかみに指を当て、玄関を開けた。


冷気が肌を刺し、心の中にまで、冷たいものが流れ込んでくる。


空は鉛色。


雨はまだ降っていなかった。


家を振り返ってみる。


猫がカーテンの隙間から、顔を出し、俺を見ていた。


俺は猫に微笑みかけ、片手を挙げた。


猫の視線が俺の左手を追っているのが、首の動きでわかった。

苦言から、感謝の言葉~ありがとう

妻からのメール。



その内容に俺は苦笑した。



洗面台の詰まりを帰ってきてから直せ。



いつも私がやっていたのだけれど、あんたの痰が不愉快で苦痛だ。



一生洗面台の掃除はやらないつもりか。



こんな内容だった。


年末に、洗面台をきれいに磨き上げたことは忘れてしまったらしい。


洗面台の排水溝には、無数に穴の開いた丸い板がはめ込まれていて、大きなゴミはそこに引っかかるようになっていた。


痰くらいなら、通り抜けてしまう穴だった。


髪の毛やその他のゴミも溜まっていて、それで痰のが溜まってしまったのだろう。


それが俺の痰なのかはわからなかった。


帰宅して、排水溝にはめ込まれた板を引き上げた。


たしかに、ゼリー状の物がこびりついていた。


ゴミ箱の中にあった、キッチンペーパーの使い古しを取り出し、それを使って痰を拭い取った。


それで元通りになった。




俺は、ありがとうと心の中で呟いた。


排水溝の詰まりを教えてくれた。


妻が教えてくれたおかげで、きれいに掃除できたし、明日から気持ちよく洗面台も使えることだろう。


したがって、妻に感謝しなければなるまい。


皮肉ではなく、俺は本気でそう思っていた。

アルカトラズ島から~脱出不可能

網走刑務所から~あなたを中心に、世界は回るの続き


妻、義母、娘が帰宅した。


しかし、夕飯になる気配もなかった。


今朝、自分で作ったうどんのみで昼は喰っていない。



腹も減っていたが、タイマーで米が炊かれている気配があったので、俺が一人、さきに喰うわけにもいかない。


妻と義母の方を観ると、テレビの相撲にかじりつき、夕飯という雰囲気ではなかった。


取り組みが終わると、妻は外出した。


飯は、妻が帰宅してからのようだった。


義母と娘が風呂に入り、出てくるとTVに向かった。



2時間後、妻は帰宅した。


すぐにTVを見始め、観たかったのであろう番組が終わると、台所に向かった。



やっと飯の支度に取りかかったようだった。


そう思た刹那、いきなり重い物が落下する音とともに、炸裂音が重なった。


義母が声を上げる。


「大丈夫なの」


「大丈夫じゃないかも」


その後、今日は夕飯は食べなくても大丈夫かと、妻が義母に言った。


台所を覗くと、鍋と一緒に耐熱ガラス製の蓋が粉々に砕け、四散していた。


俺は、箒を持ってきて、砕けたガラスを集めて袋に入れた。


妻はリビングに移動し、TVを見始めていた。


危ないから台所に行くな。明日、床を全て拭くから。


妻が娘に言っていた。


台所のガラスの破片を一通り集め終わって、俺は娘と妻のいるリビングに行った。


指先に微かな痛みがあった。


血が滲んでいる。ガラスの破片で切ったのだろう。



妻はまだ同じ格好でTVを観続けていた。


俺が娘と話していると、妻は不機嫌な表情のまま猛然と俺の前を通り過ぎてゆき、乱暴に掃除機を引きずってキッチンに入った。


ばたんばたんと音を立てながら、掃除機を使っている。


掃除機を使い終わると、行くときと同じように乱暴に掃除機を引きずって俺の前を通り過ぎていった。


掃除機の本体が逆さまになって、タイヤが上を向いたままだった。


俺は半ば呆然とし、妻を観ている以外になかった。


すると、妻の口からこんな言葉が吐き出された。


その言葉は娘に向けられてはいるが、明らかに俺への当てつけだった。


あなたは大人になってから、自分のやるべき事をきちんとできる大人にならなければいけない。


なぜ掃除機をかけなかったのかと、妻は遠回しに言っていた。


おまえが、床を拭くと言っていたではないか。


そう思ったが、口には出さずに耐えた。



俺はそのまま自室に入り、寝床に潜り込んだ。


頭痛が襲ってきて、眠れなかった。


一度起き出し、薬を飲んだ。


それでも、頭痛は消えなかった。