苦言から、感謝の言葉~ありがとう
妻からのメール。
その内容に俺は苦笑した。
洗面台の詰まりを帰ってきてから直せ。
いつも私がやっていたのだけれど、あんたの痰が不愉快で苦痛だ。
一生洗面台の掃除はやらないつもりか。
こんな内容だった。
年末に、洗面台をきれいに磨き上げたことは忘れてしまったらしい。
洗面台の排水溝には、無数に穴の開いた丸い板がはめ込まれていて、大きなゴミはそこに引っかかるようになっていた。
痰くらいなら、通り抜けてしまう穴だった。
髪の毛やその他のゴミも溜まっていて、それで痰のが溜まってしまったのだろう。
それが俺の痰なのかはわからなかった。
帰宅して、排水溝にはめ込まれた板を引き上げた。
たしかに、ゼリー状の物がこびりついていた。
ゴミ箱の中にあった、キッチンペーパーの使い古しを取り出し、それを使って痰を拭い取った。
それで元通りになった。
俺は、ありがとうと心の中で呟いた。
排水溝の詰まりを教えてくれた。
妻が教えてくれたおかげで、きれいに掃除できたし、明日から気持ちよく洗面台も使えることだろう。
したがって、妻に感謝しなければなるまい。
皮肉ではなく、俺は本気でそう思っていた。