日々を生きる。~大切なものを失って得たもの。 -186ページ目

網走刑務所から~あなたを中心に、世界は回る

起床。


娘と義母、妻はすでに食事をとっていた。


期待したわけではなかったが、食卓をのぞいてみた。


予想通り、俺の食事の用意はなかった。


足が冷えている。痛いくらいだった。


目覚めたのは、足の痛みだったような気がする。


ファンヒーターに足をかざしていると、灯油切れのサインが点灯した。


外に出て、物置から灯油のタンクとポンプを引っ張り出し、玄関の外で給油した。


それほど寒いわけではなかったが、やはり、足が冷えて痛かった。


給油タンクをファンヒータに突っ込んで、そのまま暖かい風に当たっていた。


娘がじゃれついてくる。


暖かいものに包まれていた。


ずっとこうして、娘と遊んでいたかったが、それは許されないだろう。


必ず妻の横槍が入るはずだ。


案の定、横槍がはいった。




「ファンヒーターの前にそうやっていたら、みんなが暖まらないでしょ」




娘に語りかけるように装って、俺に言っていることはすぐにわかった。


ほんの少しの時間でも、暖をとることすら許されないのだろうか。




ここは俺の家なのか。


それとも刑務所か。




刑務所なら、三度の食事は出るだろう。


独房にも、暖房設備くらいはあるのではないか。


つまり、ここは刑務所以下だった。




湯を沸かした。


茶葉が何処を探しても見あたらなかった。


しかたがないので、そのまま白湯を飲んだ。




朝飯の時間である。腹が減っていた。



飯が炊かれていないので、麺でも茹でようとおもい、台所の周りを探した。


ラックの奥の方に、食材の箱に隠れるようにして、ビールがあった。


義母と妻が飲むためのものだろう。


俺に飲ませる酒はない。


先日、妻にそう言われたことを思い出した。


そして、自分達の飲むものはちゃんとあるのだ。


 


俺は一人、ネギの入ったうどんを啜った。


やはり、足の指先は冷たかった。



図書館の女

夕食の時間には、帰りたくなかった。


図書館によって、帰宅する。


そうすることで、妻は食事を済ませ、風呂に入る時間になるのだった。


一分、一秒でも、一緒にいたくない。顔を合わせたくなかった。



本は自分で持参したものを読む。


座る場所がないので、ロビーの一角にあるソファーに座った。


向かいの席に、女が座っている。


憮然とした表情に眼鏡。化粧もしていなかった。


それでも、20代くらいのように見えた。


何か資料のようなものを読んでいた。


読みながら、弁当をひろげ、食い始めた。


時々、何か呟いている。


こんな時間に、こんな場所で弁当を食っている若い女。


俺は少なからず、興味を抱いてしまった。


つぶやき。


女の独り言だった。


何を言っているのかは聞き取れなかった。


変な女だ。


ただ、こんなところで一人時間をつぶすと言うところに、微かなシンパシーを感じてしまう。


ソファーに座っているのは、俺とその女だけだった。


つぶやきは俺に向けられているか。


ペットボトルの飲み物を、ぽこぽこと音を立てながら飲んでいる。


ちらりと、顔を盗み見る。


愛嬌のある顔をしてるが、どこか疲れが滲んでいた。


「まいったなあ」


今度はハッキリと女が言った。


その後のつぶやきは、何を言っているのか聞き取れなかった。


声をかけたいような、気分になっていた。


それでも、女の方に視線を向けることは出来なかった。



ひとしきり資料を読んでいたが、女はバックに資料を詰め込むと立ち上がり、図書館を出た。


俺はすぐには立ち上がらず、少し時間をおいて立ち上がった。


外に出て、駐車場を見回したが、女の姿はすでになかった。


映画「リプレイスメント」 The Replacements

典型的なハリウッド映画である。

アメフトのスター選手たちが、契約金交渉のこじれからストを起こしたため、

穴の開いたチームをリプレイスメント(代理選手)で埋め合わせ、プレイオフを目指すという話。

例によって、とんでもない選手ばかりが集まってくる。

元サッカー選手。泥棒。相撲取りなどなど。

チャーリーシーン主演の野球映画(題名は失念)と、どこか似た感は否めなかった。

しかし、ジーンハックマンと、キアヌリーブスが好きな俺は楽しんでみることが出来た。

肝心なときに力を発揮できない主人公のファルコ(キアヌ)。

結局は、彼の力によってチームは勝つのだが、翌日から彼らは普通の生活に戻っていく。

もっとも、映像ではチームが勝ったところで終わり、後日談はジーンハックマンのナレーションが流れるだけなのだが、そこが良かった。



映画の中で、

~今の自分と、理想の自分が出会ったとき、最高の力を発揮する。

 そんな感じの台詞だったろうか。

 それを聴いたとき、この映画を観て良かったと思った。