どれほどのものかは

 

見ればわかる ―――

 

空手道に限らず、道場の内外で、

 

恩師に言われたことを思い出します。

 

恩師はなんでもよく見ていました。

 

何か気になることがあると、

 

口元を結んであごを引き、

 

目をしっかりと見据えてやや沈黙する。

 

そのあとには、

 

恩師ならではのお話ぶりで評されるのです。

 

空手道の見極めはもちろん、

 

他の武道やスポーツにとどまらず、

 

上野の大道芸人から、

 

ある大本山の僧侶、奈良の仏像まで。

 

道場の外での記憶も

 

私のなかで薄れることはありません。

 

 

而して、

 

武道では何を見るのか、

 

一見すれば手に取るように分かるものであり、

 

理屈でないところもありますが、

 

その立ち姿と足の運びからくるものには

 

一つ、表れるものがあります。

 

接地している面全体から足腰が立ち上がり、

 

軸を保ちながら外に広がって、

 

それと同時に内に引き締められている、

 

漂う佇まい、

 

醸し出される雰囲気とも

 

いえるようなもの。

 

 

先日の稽古では、

 

指導員の大きな成長を感じました。

 

キャリア20年を経てよい若者となり、

 

ものの見方や考え方にも着実な進歩がみられ、

 

呼吸と心身の動きが合致した稽古の本質、

 

その修練に真面目に取り組んできていることが

 

しっかりと伝わってきます。

 

これほどうれしいことはありません。

 

 

視力が弱ってきた頃の恩師も、

 

やはり口元を結んであごを引き、

 

耳を澄ましながら

 

その呼吸や空気の揺れを感じ、

 

両の手のひらを上げて

 

何かをつかむような、

 

包むようなしぐさをしながら、

 

心のこもった言葉をかけてくれたものです。

 

すべては私たちのため。

 

 

そして、

 

長年、支えや応援をいただいてきた私が、

 

いま、支え応援する側となっている。

 

一人ひとり、それぞれの特性を生かして、

 

大きく成長し輝く存在となっていくためには

 

どうすれば良いのか、

 

なにが最適なのか。

 

確固たるものを持てているようであり、

 

模索を続けている自分もいます。

 

 

洋の東西を問わず、

 

古来より一貫している人の本質は、

 

自分の芯となるもの、

 

絶対的な己の軸をつくることが

 

相対的にもゆるがない

 

確かな自分を形づくっていくということ。

 

恩師の理念でもあり、

 

当会の本分とするものにつながっていることを

 

この若者の心身の確かな成長に

 

見ることができました。

 

 

    ガチっと引き締められた姿に努力の結実をみる

 

 

そして、

 

ものの違いはあれども、

 

そこには誰がいるのか、

 

この時を誰とともに過ごしたいのか。

 

日ごろ、切磋琢磨している内外の仲間と

 

このことを大切にする機会が

 

これまで以上に増えてきたように思います。

 

それは、自分本位ではない、

 

周囲の人たちに何かしらの刺激や幸せを...

 

という存在でもあるべきという、

 

これもお互いに共有できる

 

その場に臨む際の一致している想いです。

 

 

すでに秋は深まり、

 

一年の終わりを意識する季節となってきました。

 

継続こそが力であり

 

努力は必ず実を結びます。

 

よい時季です。

 

 

追記

 

ある仲間からの言葉。

 

この命も、

 

生きているということも、

 

自分の限界、充実感や達成感も

 

モノではないので目には見えない、

 

手で触れることもできない

 

どんなモノよりも大切で尊いもの。

 

だが、

 

森さんと全力でやりきると

 

これらを身近に感じることができる、

 

触れることもできるように思う。

 

これからも、ともに。

 

 

以上は要約です。

 

マラソンのシーズンに入りました。

 

市民マラソンに参加する方々は、

 

なぜそんなに苦しいことを、

 

という類のつまらない質問をよく受け、

 

学問の面でも、

 

数学や物理を究めようとしている方々に

 

変わり者かのような質問がなされて

 

毎度、辟易する中身のない会話になったりと。

 

 

話題にこと欠いて言う

 

場をつなぐコミュニケーションのつもりでも

 

センスのないことこの上なし。

 

なんのことはありません。

 

何かに継続して取り組むこと、

 

自分に挑戦して

 

自分の人生を生きること、

 

人生を深めるとはどういうことかを

 

知っているかいないか、

 

想像できるかどうかだけの違いです。

 

 

まわりには、

 

ステキな人たちがたくさんいます。

 

道半ばであり、

 

学びの途上の身としては、

 

恥じ入ることも少なくありません。

 

改めて感謝の気持ちです。

 

 

5つ、再掲します。

 

己を成す、生かされている

 

人から人へ

 

生涯にわたって軸となる

 

生涯にわたり、生涯ののちも

 

立禅