武道は哲学にも通ずるものです。

 

考え学ぶことによる豊かさや愉しさは、

 

生涯にわたるものとなります。

 

 

伝統の稽古の一つに

 

連続の受け、突き、蹴りがあります。

 

二本、三本と続き、その先には

 

連続動作、応用移動、高級移動と続きます。

 

受け、突きの手技から、

 

三戦立ち、四股立ち、前屈立ち、

 

軸の移動、運足(足の運び)を伴うものまで

 

幅広く多彩です。

 

 

これらを呼吸法と連動させること、

 

そして段階的に体系立てた稽古とすること。

 

その要諦は内に締めることにあります。

 

始めは体感として強く意識され、

 

修練を重ねるうちに無意識化される。

 

それは、潜在的であったものが顕在化され、

 

いずれ内在化される ―――

 

自分のものとなっていくということです。

 

 

身体の軸、使い方や呼吸法、

 

自律神経から心や魂と呼ばれるもの、

 

精神的な領域に至るまで

 

その応用、展開は自在です。

 

大事なのは手の先や足先ではなく、

 

軸に近い肘や膝であり、

 

そのほか体幹の周囲に位置する全体像です。

 

内に締めるエネルギーは

 

外に向かうものを遥かに上回るもの、

 

派手さやきらびやかさではない、

 

そこに本質があるのです。

 

 

 

               無題

 

 

89歳を迎える恩師から学んできたこと。

 

それは私たちの空手道、

 

武道に限ったことではないという

 

広い視野と理解にもつながっています。

 

一例を挙げれば、音楽は芸術の世界にある。

 

ゆえに、聴覚を失くした音楽家も

 

その感性と学びから無限の創造性を

 

見出すことができるのです。

 

これは音楽家である以上に芸術家としての

 

矜持を持ち続けたベートーヴェンの世界観としても

 

その書簡などからよく知られています。

 

天才という一言ではおさまらない、

 

これこそが考える力であり、

 

まさに哲学的な世界とも言えるでしょう。

 

 

新年度に入り、

 

また一つ年齢を重ねていくなかで、

 

その年代、年代、各世代で

 

学び得られるものがあります。

 

これも恩師を始めとする多くの人生の先輩方に

 

接してきて確信していることです。

 

 

みなでよい一年としていきましょう。

 

 

追記

 

20歳代半ばの青年が

 

この4月から念願の仕事に就きました。

 

将来の夢に向かって何年も努力し、

 

大学を卒業後も学び続けて教育課程の専門性を高め、

 

この春を迎えることができました。

 

稽古にきてこの報告をくれたことが

 

たいへんうれしかった。

 

 

思い返せば、恩師も私の仕事の成果などを

 

喜んでくれて、感慨深く、

 

この道場を続けてきて良かったと

 

笑顔になってくれたものです。

 

長年、私も教えを受けてきて、

 

道場を続ける意味が自分のための稽古から

 

より意義のあるものになってきていることを

 

実感しています。

 

心から感謝しています。

 

 

5つ、再掲します。

 

ヨガ(源流)

 

100万ドルの宝石にも優る

 

基(もと)

 

軸と重心をはかる

 

研究してみるといい