2021年リーズ国際ピアノコンクールが終わって | 音と言葉と音楽家  ~クラシック音楽コンサート鑑賞記 in 関西~

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クラシック音楽の鑑賞日記や雑記です。
“たまにしか書かないけど日記”というタイトルでしたが、最近毎日のように書いているので変更しました。
敬愛する音楽評論家ロベルト・シューマン、ヴィルヘルム・フルトヴェングラー、吉田秀和の著作や翻訳に因んで名付けています。

イギリスのリーズで開催された、2021年リーズ国際ピアノコンクール(公式サイトはこちら)が、終わった。

これまで、ネット配信を聴いて(こちらのサイト)、感想を書いてきた。

とりわけ印象深かったピアニストについて、改めて備忘録的に記載しておきたい。

ちなみに、2021年リーズ国際ピアノコンクールについてのこれまでの記事はこちら。

 

2018年リーズ国際ピアノコンクールが終わって

2021年リーズ国際ピアノコンクール 出場者発表

2021年リーズ国際ピアノコンクール 1次予選通過者発表

2次予選 第1日

2次予選 第2日

2次予選 第3日

セミファイナル 第1日

セミファイナル 第2日

セミファイナル 第3日

ファイナル 第1日

ファイナル 第2日

 

 

 

 

 

Arash ROKNI (Iran, age 28) (動画はこちら

 

明快な対位法処理を得意とする個性派タイプ。

 

 

Xiaolu ZANG (China, age 21) (動画はこちら

 

洗練された歌を持つスマート系技巧派タイプ。

 

 

Thomas KELLY (United Kingdom, age 22) (動画はこちら

 

今大会の第5位。

細部にはあまりこだわらない、大柄で豪快な演奏をする。

 

 

Ariel LANYI (Israel, age 23) (動画はこちら

 

今大会の第3位。

澄んだ美音を持つリリシスト。

今大会で演奏を初めて聴いたピアニストの中で、最も印象的だった。

 

 

Hyunjin ROH (South Korea, age 20) (動画はこちら

 

パワフルで情熱的な技巧派タイプ(彼女のような人が次々出てくるのだから韓国ピアノ界の層は本当に厚い)。

 

 

Ryan DRUCKER (Belgium, age 27) (動画はこちら

 

近現代音楽向きの、冷静で均整の取れた演奏をする。

 

 

Elizaveta KLIUCHEREVA (Russia, age 22) (動画はこちら

 

ロシアらしい華やかな音とともに、シャープな音楽性を持つ。

 

 

Kaito KOBAYASHI (Japan, age 25) (動画はこちら

 

今大会の第2位。

また、私の中での個人的な今大会のMVP。

ピアノ上で“歌”を表現することのできる一人。

それもショパンではなく、モーツァルトやシューベルトで、シェーンベルクやクルターグでそれを行うことができる、日本(というより東洋)にはそう多くないタイプの人である。

室内楽(ドヴォルザーク)や協奏曲(バルトーク)でのアンサンブル力も大したもの(実際に室内楽賞を受賞した)。

 

 

Dmytro CHONI (Ukraine, age 28) (動画はこちら

 

今大会の第4位。

力強さとともに、弱音部での繊細さが印象的なピアニスト。

 

 

Álim BEISEMBAYEV (Kazakhstan, age 23) (動画はこちら

 

今大会の優勝者。

パワフルな名人芸タイプだが、ペダルは意外と薄めにして音の明瞭度を上げるなど、いわゆる爆演とは違った良さがある(そのぶん音の滑らかなつながりが犠牲になる箇所もあるが、そこにはあまり拘泥していないのかもしれない)。

 

 

Yike (Tony) YANG (Canada, age 22) (動画はこちら

 

洗練された歌を持つスマート系技巧派タイプ。

最有力優勝候補の一人と思われたが、二次で落ちてしまった。

 

 

 

 

 

以上のようなピアニストが、印象に残った。

リーズはやはり“音”そのものを重視していて、音よりも表現の繊細さを強みとするスマート系技巧派ピアニストには厳しい、ということを前大会と同じく今大会でも感じた(先日のブゾーニコンクールなどとは毛色が異なる印象)。

もちろん、小林海都はそれにとどまらない“音”の持ち主と言っていいだろう。

 

 

また、リーズではファイナルで古典派協奏曲、ロマン派協奏曲のいずれを演奏するかを審査員が直前に指定するそうだが、この指定で結果の大半が決まってしまうような気がする。

今大会優勝者のÁlim BEISEMBAYEVがもし古典派協奏曲に当たっていたら、結果は違ったものになりはしなかっただろうか。

審査員の曲指定の公平性、透明性の担保が望ましいように感じた。

 

 


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