(チョ・ソンジンの新譜 ショパン ピアノ協奏曲第2番 スケルツォ第1~4番) | 音と言葉と音楽家  ~クラシック音楽コンサート鑑賞記 in 関西~

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クラシック音楽の鑑賞日記や雑記です。
“たまにしか書かないけど日記”というタイトルでしたが、最近毎日のように書いているので変更しました。
敬愛する音楽評論家ロベルト・シューマン、ヴィルヘルム・フルトヴェングラー、吉田秀和の著作や翻訳に因んで名付けています。

今回は演奏会の感想ではなく、別の話題を。

好きなピアニスト、チョ・ソンジンの新譜が発売された(Apple MusicCD)。

曲目は、ショパンのスケルツォ全曲、ピアノ協奏曲第2番、革命のエチュード、即興曲第1番、ノクターン第2番である。

詳細は以下の通り。

 

 

 

 

 

 

圧倒的才能、さらに極まる!
繊細な抒情を完璧な美音で奏でる名手による至高のショパン。


2015年第17回ショパン国際ピアノ・コンクールで優勝した名手による待望のショパン・アルバム。4曲のスケルツォは、ショパンの全創作の中でも、その激しさや深刻な曲調において非常に際立った世界を形作っています。ピアノ協奏曲第2番は、若きショパンが満を持して作曲した最初の大作で、随所に創意が凝らされ、片思いの初恋の想いを込めた第2楽章が有名な非常にロマンティックな作品です。チョ・ソンジンは完璧にコントロールされたタッチによる研ぎ澄まされた美音と、抑制の中から溢れる豊かな情感により、ショパン作品の情緒と美しさを最大限にひき出しています。
 協奏曲は、2016年録音の『ショパン:ピアノ協奏曲第1番』でも好サポートを示したノセダ指揮ロンドン交響楽団との共演。(輸入元情報)

【収録情報】
フレデリック・ショパン
1. スケルツォ第1番ロ短調 Op.20
2. スケルツォ第2番変ロ短調 Op.31
3. スケルツォ第3番嬰ハ短調 Op.39
4. スケルツォ第4番ホ長調 Op.54
5. ピアノ協奏曲第2番ヘ短調 Op.21


 チョ・ソンジン(ピアノ)
 ロンドン交響楽団(5)
 ジャナンドレア・ノセダ(指揮:5)

 録音時期:2021年3月
 録音場所:ハンブルク(1-4) ロンドン(5)
 録音方式:ステレオ(デジタル/セッション)

 

 

 

 

 

以上、HMVのサイトより引用した(引用元のページはこちら)。

 

 

 

 

 

ショパンのスケルツォで私の好きな録音は

 

【第1番】

●チョ・ソンジン(Pf) 2021年6月18日ヴッパータールライヴ(動画)

 

【第2番】

●チョ・ソンジン(Pf) 2009年11月17日浜コンライヴ盤(CD)

 

【第3番】

●山本貴志(Pf) 2005年10月ショパンコンクールライヴ盤(CD

●藤田真央(Pf) 2019年2月11-13日セッション盤(NMLApple MusicCDYouTube

●フルネル(Pf) 2021年5月7日エリザベートコンクールライヴ(動画) ※動画の13:44~

●チョ・ソンジン(Pf) 2021年6月18日ヴッパータールライヴ(動画)

 

【第4番】

●山本貴志(Pf) 2005年10月ショパンコンクールライヴ盤(CD

●チョ・ソンジン(Pf) 2009年11月17日浜コンライヴ盤(CD)

 

あたりである。

チョ・ソンジンの少しすましたようなロマン性は、スケルツォにぴったりだと思う。

 

 

そして今回のチョ・ソンジン盤は、上記名盤に匹敵するものであった。

デッドな音質だったヴッパータールライヴ(その記事はこちら)に比べると今回の新盤は残響が多めで、第1番など細部があまりよく聴きとれないのが残念だが、演奏のキレ自体は同等である。

 

 

第2番は、上記浜コンでのライヴ盤がすごすぎて、ショパンコンクールでの彼の演奏にも満足できないほどだったのだが(中間部のホ長調のアルペッジョ風のパッセージの繊細さなどが及ばなかった)、今回の新盤は浜コンと同等の繊細さを実現していると思う。

 

 

第4番での羽根のような軽やかさも、浜コンライヴ盤に並ぶ出来。

ただ、第2番も第4番も、浜コンライヴ盤ほどの美しい音色は聴かれず、近年のドイツ・グラモフォンにありがちな艶消ししたような魅力の薄い音質なのは残念。

 

 

 

 

 

ショパンのピアノ協奏曲第2番で私の好きな録音は

 

●ポリーニ(Pf) 井上道義指揮 シュトゥットガルト放送響 1973年頃ライヴ盤(CD)

●小林愛実(Pf) プリマ・ヴィスタ弦楽四重奏団 2011年1月13日ショパンコンクール in Asiaライヴ盤(CD) ※弦楽四重奏伴奏版

 

あたりである。

 

 

これらの名盤に聴かれる、滴るような情感の豊かさ。

今回のチョ・ソンジン盤はさすがにそこまでではないけれど、整然とした表現の中に秘められたロマン性はしっかりと感じられる。

上記2盤に次いで好きな内匠慧、牛田智大、チョ・ソンジン(ライヴ)、三浦謙司、ジョナタン・フルネル(その記事はこちらこちら)などには並ぶ出来。

チョ・ソンジンの整然としたスタイルはどちらかというと第1番向きのように思うが、それでも今回の第2番も十分に素晴らしい。

 

 

 

 

 

アンコール風に配された残りのショパンの小品で私の好きな録音は

 

【エチュードop.10-12「革命」】 → その記事はこちら

●リヒテル(Pf) 1960年2月21日プラハライヴ盤(CDYouTube

●ポリーニ(Pf) 1972年1,5月セッション盤(NMLApple MusicCDYouTube

●チョ・ソンジン(Pf) 2010年8月13日ドゥシニキ=ズドゥルイライヴ(音源)

 

【即興曲第1番】

●チョ・ソンジン(Pf) 2014年10月24日東京ライヴ(音源

●藤田真央(Pf) 2019年2月11-13日セッション盤(NMLApple MusicCDYouTube

 

【ノクターン第2番】

●コルトー(Pf) 1929年3月19日セッション盤(CD

●コルトー(Pf) 1949年11月4日セッション盤(NMLApple MusicCDYouTube

●フアンチ(Pf) 2016年セッション盤(NMLApple MusicCDYouTube

 

あたりである。

 

 

今回のチョ・ソンジン盤も、これらに並ぶものだと思う(ただし即興曲第1番だけはややバタついている印象があり、上記の旧音源のほうが滑らかさや優雅さの点で優っている)。

今回のアルバムは彼得意のショパンだけあって、どの曲もそれぞれのトップを争うお気に入りの演奏となったが、私にとってこんなことは一枚のアルバムにつき一曲あるかどうかの稀なことであり、当アルバムの質の高さに嬉しい驚きを覚えた。

 

 

 

 

 

Chopin: Piano Concerto No. 2; Scherzi - YouTube

 

※YouTubeのページに飛ぶと全曲聴けます。飛ばない場合は以下のURLへ。

https://www.youtube.com/watch?v=RxmcjL7M_C0&list=OLAK5uy_mzEWMX3ATu1tu-7L7s8cdZZy5YThpX3wg

 

 

 

 

 

なお、チョ・ソンジンのこれまでのCDについての記事はこちら。

 

チョ・ソンジンの新譜 ドビュッシー ピアノ曲集

チョ・ソンジンの新譜 モーツァルト ピアノ協奏曲第20番 ピアノ・ソナタ第3、12番

チョ・ソンジンの新譜 シューベルト さすらい人幻想曲 ベルク リスト ピアノ・ソナタ

ゲルネ&チョ・ソンジンの新譜 ヴァーグナー プフィッツナー R.シュトラウス 歌曲集

 

 


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