カナダのモントリオールを本拠地として世界各地で開催されている、2021年モントリオール国際音楽コンクールのピアノ部門(公式サイトはこちら)。
5月12日は、ファイナルの第3日。
ネット配信を聴いた(こちらのサイト)。
ちなみに、2021年モントリオール国際音楽コンクール(ピアノ部門)についてのこれまでの記事はこちら。
2017年モントリオール国際音楽コンクール(ピアノ部門)が終わって
(2020年モントリオール国際音楽コンクール(ピアノ部門) 出場者発表)
以下、使用されたピアノはいずれもスタインウェイである。
03. Yoichiro CHIBA (Japan, 1997-)
SCHUMANN: Kreisleriana, Op. 16
BURGE: Three of the Twenty-Four Preludes
- Allegro energico • Spring Thaw • Off-beat Waltz
SCARLATTI: Sonata in B minor, K. 87
STRAVINSKY: Three movements from Petrushka
シューマン、外連味のないストレートな解釈に始まり、終曲の中間部に情熱の頂点を持ってくるのが印象的。
現代曲も他の人よりキレがあるし、スカルラッティもセンスが良い。
そしてストラヴィンスキー、難曲だがよく弾けており、第1楽章の右手連続オクターヴも第3楽章の大きな跳躍も丁寧に決めている。
また、特に第3楽章の表現に工夫が凝らされていて、冒頭をさざ波のような最弱音にしたり、「行商人と二人のジプシー娘」部分の左手オクターヴのリズムを故意に崩して滑稽なダンスを模したり、グリッサンドに大きくルバートをかけてデリケートに取り扱ったりと、ただ難曲に挑戦するというにとどまらない表現意欲がある。
最後にはオクターヴ・グリッサンドさえ出てくる(少し滑ってしまったのはご愛敬)。
10. Ying LI (China, 1997-)
BURGE: Three of the Twenty-Four Preludes
- Spring Thaw • Off-beat Waltz • Allegro energico
MOZART: Sonata No. 13 in B-flat major, K. 333
BRAHMS: Variations and Fugue on a Theme by Handel, Op. 24
細かく整ったタッチを持つタイプのピアニストではなく、現代曲の最初の「Spring Thaw」という曲のハノン第1番ふうの音型など、千葉遥一郎の後だけにムラが目立ってしまう。
しかし、モーツァルトはしっかりと歌になっているし、ブラームスも味わいがあって、ともに彼女の明るいロマン性がよく出ている。
選曲に成功している印象を受けた。
そんなわけで、ファイナル第1~3日の6人の演奏を気に入った順に並べると
1. 03. Yoichiro CHIBA (Japan, 1997-)
2. 14. Chaeyoung PARK (South Korea, 1997-)
3. 20. Marcel TADOKORO (France, 1993-)
4. 08. Su Yeon KIM (South Korea, 1994-)
5. 10. Ying LI (China, 1997-)
6. 02. Alice BURLA (Canada, 1996-)
といったところか。
皆それぞれのやり方で成熟した音楽になっており、順位付けは難しい。
そんな中で、技巧面などを勘案して並べ、千葉遥一郎を一番上に挙げてみたが、どうなるだろうか。
次回(5月13日)はファイナルの第4日。
ついに最終日である。
千葉遥一郎の良い結果を祈りたい。
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