6月のとある日。ドタキャンと言う、なんとも私らしい顛末で迎えたNY2日目。(前日の記事 参照)



結局。アパートに戻ってシャワーを浴びるが、もう外は明るく、眠る気すら起こらない。

完全に、放心状態。

2日後の朝には、出発。実質自由な時間なんて、今日明日しかないのに。

もう、お昼も過ぎて。どこか遠出をするには、ちょっと遅い時間。


しかも、この時はまだドタキャンされることを想定しておらず。

昼過ぎまでしか、時間が無いと思っていた。


MoMAで開催中のRichard Serraが観たい!

あるいは、イサムノグチまで足を延ばそう!!

と思っていた心積もり、あえなく変更。


あー、今日何しよう。

Fultonに住む友人に電話をし、

「一目会えたら」とVoiceMailを残し。

Fultonの近くと言えば、私の定番。

もやもや解消にBeachSandalを買おうと思い立ち、

貧乏人のお約束、Centuryに繰り出も。


落ち着かない。


こころ、ここにあらず。手にとってもちゃんとMDできず、買う気になれないのだ。

そう。なんだか時間ばかりが気になって、やる気になれない。

ここは、気合がないと買えないお店なんです。


あーーーーーーーーー今日はだめだわ。と思い、手ぶらでお店の外に出た瞬間。

そう。例のドタキャンメールが入ってきた。


いいんだ、いいのだよ。これで、良かったのだよ、キミ。

と言うわけで。全てが吹っ切れたということで。売り場に戻って戦いを挑む。



← Missoniのプラットサンダルと

LULU GUINESSのウェッジSandalと、

Margielaコレクションライン、Distressゴールドパンプス

コットンの下着と、プッチの帽子

プッチのシルクのバギーパンツ

Melissaのプラットフォームビーサン。


嵐の如く、それだけ買って、1時間で退散。

え?充分???


・・・私にしては、買い控え感あり。



なんだかぐったりとして、ランチを取ろうと、足を伸ばしてKatz's Deli へ。

ぼけーーーーーーーーっとサンドウィッチをつまみつつ、電話を眺める。

その後、本屋で立ち読み(B&N)、ヒールの取れたキャップのリペア等を済ませる。


続いてMoMAブックストアのセールや、Jewish Street、

あちこち行く心積もりが多々あったのだが、断念。


夕方4時ごろには、アパートへ戻りお洗濯と掃除に精を出す。

バスタブにお湯を張って、ゆっくりマッサージ。

そうこうしているうちに6時。部屋の主から呼び出し。

お天気もいいし、オープンテラスで飲もうよ!とのこと。

本日夜には、また屋移りを控えているため。

慌ててパッキングして、待ち合わせに向かう。

ぷらぷらと歩き、近隣のHigh-LineProjectを眺めつつ、

MPDの"the PARK "へ。

彼女のdarlingと、そのおにいちゃまと4人で一杯ビールを飲む。

食事をしないかと誘われるも、今日は昨日まで一緒だった友人が帰ってくる。

一緒に夕食をとる約束をしていたので、早めに切り上げる予定でお断りをしたのだったが。


この、おにいちゃま(DogTherapist)。かなり私を気に入ってくれていると前回から知っていたが。

今回は、残念ながら(?)弟カップルと一緒に登場してはくれなかった。

どうも、遅れてくるのがクールだと思っているようだ。と弟と彼女は笑っていたが。

やはり、もう我々がチェックを済ませ、出店しようかと思ったその時

彼は恥ずかしそうに現れた。おっと、時間だぜベイベーと焦る私をよそに。

霞を喰っているかのように、雲の上の彼の微笑み。止むを得ずもう一杯お付き合い。


引き止める彼らにお詫びをし、19時、私と友人は焦って帰宅。

彼女のBaby(ミニチュアダックス、1歳)と戯れ→

今日の報告。楽しいひととき。そして本日はまた、屋移り。


元々、今回はいつもお世話になる彼女の家には

泊まらない予定だった。

彼女は、しばらくVacationでハンプトンに行くため、

この翌日から1ヶ月、知人に家をレントすると聞いていた。


それでも、突然宿を失った私に、

彼女は当然でしょと快く、部屋を貸してくれた。

もちろん、もろもろの準備やクリーンアップがあるに違いないのに。

ほんとうに、男には恵まれないが、友人には死ぬほど恵まれていると痛感。


女2人でリフト無しの3階(しかも階段が恐ろしく狭い)から荷降ろし。


お礼のお菓子とカードをそっとベッドルームに隠し、急いでタクシーを捕まえて北上。


次なるジプシーの行き先:友人の家は、Uptown。

8Aveを上がると、昨日のあのホテルが目に入ってきた。


彼は、まだあそこに。明日の朝までは、いるはず。


立ち寄りMessageを遺そうか、一瞬躊躇した。

いや、そんなことをしても無駄。

何より、急いでいるのだ。

タクシーの窓に流れる景色を見ながら、自分自身につぶやく。


「ばいばい」



その後、すっかり待ちくたびれ疲れ果てた友人に詫びつつ、

NYの夏らしい路上のレストランで夕食。


この数日、元々いけてない自律神経の不調を感じていた。

田舎ツアー中にも、のぼせたり、冷え切ったり。

この日もNYは暑い夜だったが、食事中のスコールと、

立寄ったDeliの冷房で、吐き気がするほど体が冷える。


気遣われつつ家に戻りバスを使わせて頂くのだが、

今度はのぼせてしまう。

せっかく開けてくれたワインも、

1グラスほど口をつけて、もうねむねむ状態。


ソファで眠り込んでしまい、友人に起こされベッドへ倒れこむ。
翌日は仕事の飲みだとか。ゆっくり話すのは今日しかないのに、失礼な私。

本当に、申し訳ないです。。。。。。


NYの夜は更け。あまりに快適なアパートで、冷え切ったからだをあっためて眠る夜。


明後日には、またこの街ともお別れ。明日は、何をしよう。


学生時代の友人と、久々に2人で夕食。


本日は、夏らしく宮崎料理!冷や汁!!!!


ということで。渋谷は宮益坂中ほど。

渋谷郵便局向かいの、「魚山亭 」へ。

すずき、〆鯖、マグロ等のお刺身。

冷トマト

馬刺し

生蛸


夏らしいメニューを堪能。焼酎ロックと、冷や汁で〆。



豚や鶏なども、宮崎料理を代表するようなのであるが

私はもっぱら肴は魚派。

生蛸が喉に詰まって死にそうになりましたが、

手を加えず素材を味わう鮮魚はやっぱり美味ですわ~。


赤坂見附の某店と並び、好きなお店です。


お友達、ごちそうさまでした!



おなかいっぱいになったところで、白金Quien に移動し飲みなおし。



ワインとchampagneを頂く。こちらでも、オーナーGさんと絡みつつ、飲みすぎ感あり。
梅雨の夜はこうして酒とともに更けてゆくのでありました。

子供の頃から、LCソファに、サヴォワ邸に強く惹かれ。Le Corbusierは大好きな作家である。

ずっと気になっていた、六本木ヒルズ森アートミュージアムにて展示中の、ル・コルビュジェ展 を訪れた。


ル・コルビュジエの生誕120周年を記念し、ライフワーク、生活、アートワーク・・・

様々な角度から、彼の人間としての魅力を表現しようとしたもの。

建築、絵画、家具までの多彩な業績を約300点の作品で紹介されている大規模な展示。


こういったことの運と引きは、非常にいいようで。

午前中の彫金を終え、前職同僚との夕食の時間まで、ぽろっと空いた2時間。

偶然居合わせた六本木で、足を向けたのであるが。


ちょうど、週一度のミュージアムガイドツアーのタイミング。

2on1で、恐ろしく質問攻めにしてしまって恐縮だったが、あれこれと話を聞けた。(お手柔らかに、と言われてしまった・・・)

さらには。偶然、その場に南條館長が居合わせ。どなたかVIPの方に、レクチャーをなさっていた。

コルビュジェコレクターでも名高い館長のレクチャーも同時拝聴することができ。なんて、ラッキー。


コルビュジェの人格、夫婦、弟子との関係。本当は、画家になる夢を抱きつづけた話。

立体造形とは乖離した、模倣や迷いのある平面絵画たち。

網膜はく離の話、日本とのつながり、日本の弟子たち。

そんな裏話を聞きつつ堪能。あっという間に2時間が経過した。




圧巻は、原寸そのままに再現した3つの模型展示。


1つ目は、コルビュジェが毎日向かったと言うatelier。

両サイド天窓を配し、石造りの壁は充分な光が降る。

独特かつ機能的な本棚等、忠実に再現されていた。

↓この奥はデスクだが、この脚の配置もコルビュジェらしい。




2つ目は、マルセイユ・ユニテのCube総合住宅。

メゾネットタイプ(2階建てアパート)の内部再現。


いずれも、採光にこだわったコルビュジェらしい

光と自然を絶妙に感じる窓の配置が印象的。

これはベッドルームとベッド。↓





メゾネット構造であるが、細長いL字のユニットを重ねたアイデアで

それぞれが、天井までの吹き抜けと大きな窓を持つ。

床高2.38の80㎡とは思えぬ、窮屈さの無い空間。

白い箱のイメージが強いコルビュジェの作品だが

キッチンのタイル、タペストリ等に配された鮮やかな色彩は

まるでピカソをモチーフにしたかのような

彼の絵画に端を発しており。住宅を鮮やかに彩る。

今でも現存するこの住宅、一度訪れてみたいものである。


また、183センチの体躯の人間が快適に過ごせるようにと。ダ・ヴィンチの黄金比のような動線が描かれている。

これは、コルビュジェが183cmだったためだそうだが、館長も偶然同じ183センチだそうで。

Casa Brutus を見ると、その前に立っていらっしゃるそうだ。


さらには、彼の終の棲家で日本初公開となるカップ・マルタンの休暇小屋(ともにフランス)。


それぞれ、まるでテーマParkのように中へ入り、全身でル・コルビュジエの空間を体感できる空間。


特に、子を持たなかったコルビュジェが、晩年愛する妻と過ごした海の小屋。

日本サイズで表現すると、およそ8畳程度の空間。シャワーも無く、ベッドの頭にカーテントイレ。

それでも、快適で暖かい、人にとっての「ミニマム」な空間。鮮やかな色彩と簡素な構造。

コルビュジェの目指した空間を垣間見たような気がした。


その後、会場を出るとセミナーが開催されており。こちらも、面白い話をうかがうことができた。


何たるラッキーな時間。





いまやカッシーナの稼ぎ頭となってしまった

3代目LCシリーズであるが。原型は深いものがある。


あー。やっぱりLC欲しいなあ。。。。


この来場で知ったのだが、日本を代表する名だたる建築家が

コルビュジェを語るセミナーが開催されていた。


近日開催の安藤忠男さん論じるコルビュジェを

ぜひとも拝聴したかったのだが、もう満席。残念~。

結局、黒川紀章さんの会だけが空いていた。

嫌ですよ、ポリティカルな話をされては。


やっぱりもう少し早く行けばよかった・・・・。




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ゴルフバーpivot


初めて来ましたが、かなり真剣

難しいです。ハマります。球が上がらないと飛距離が出ませんので、いい練習です。


お家に欲しい!

怒涛のように、ジェットコースターのような1週間強



例のクリエイター男に翻弄される私。


急激な温度変化は、必ず揺り戻しが来るものだと知ってはいたが。

あまりに早い展開についてゆけず。


この男との一部始終を全て知っている後輩ちゃんと、ある晩飲んでいた。

この男との一部始終を、報告させられていた。


そのとき。彼女が「私にも、誰か紹介してくださいってお願いしてくださいよー」

と言い出したので。

そんなものは、自分で頼めと、私の携帯を手渡した。


電話が通じないと、電話を戻されたので。

じゃ、メールしたら、とアドレスを入れ、真っ白な新規メールの画面を出して手渡した。


酔っていた彼女の状態に気づくべきだったのだが。時既に遅かった。


着信に気づいた男から、電話がかかってくる。

「今日は撮影中だから、行けないし、迎えにも行けないよ、ごめんね」


それにぶーたれる私を見た後輩が、どうも彼にメールを書いたらしかった。


特に気に留めず、飲んでカラオケをして、自宅のベッドに寝ていた朝7時。

メールの音で目が覚めた。


彼からのメール。開けてみると、異常に長い。内容を見て、目を疑った。

思わずそこに居直り正座し、メールをScrollすると。




「きみのことは大好だよ。でも今はまだ、答えを出すには時期尚早。

気持ちは嬉しいけど。もう少し2人で時間を過ごしてから考えたかった。

彼女と付き合う前に再会していたら、とか色々考えちゃうけれど、

今は前の結婚で痛手もあるし彼女を裏切れない。ごめんなさい。」



要は、告白もしていないのに。一方的に、突然ふられたわけである。


一方的に口説かれていたのにも関わらず。


何も、答えていないのに。


全く状況がつかめず、呆然。



ふと気づき、送信メールを見ると。



あった。


後輩が送ったメール。



「今すぐ、来てラブラブもうちょっと、ちゃんと私と向き合ってくれたら嬉しいな。 ちょっと、切ないですしょぼん



おい!こら!!!!


ありえない展開だが、自己管理の領域。もう、歯車は動き出してしまったのだった。

脱力し、後輩にも彼にもコンタクトをする気も失せる。



昼過ぎ、後輩から電話。

「昨日は、すみませんでした!かなり激しく酔って覚えてませんでしたが、帰れましたか?」


かるーく、「ふられた」と笑って言ってみると。

彼に、メールしたのは私だと弁明します!と言い出す。


それは、プライド君である彼にとってCriticalすぎるし、恥をかかせるだけなので。と断るが

彼女はどうも、メールをしたらしい。


その後、何度も彼からメールが入った。


「昨日の22:36のメールは、彼女?それともきみ??」

「あれはキミの本心なの?それとも酔っていたの??」


全て放置。


私はこの夜、コンサートだったため。電話が通じない環境にいた。

表に出ると、メールが来つづけ着信があった。


どのように対処するか考えつつ、恵比寿にてイタリアンとワインを堪能。


酔った勢いで、メールを入れた。


「あれは、彼女のいたずら。でもそれは、きっと運命のいたずらでしょう。」


電話が鳴った。無防備に出てしまった。


「本心だったかもしれないし、そうじゃないかもしれない。もはや判断することはできないよ。

そもそも、私がハートの絵文字とか使うと思う?そんなこと、言うと思う???」

「このまま放置し終わりにしようと思ったけれど、それも悲しいでしょ。

ほんとはね、メールじゃなくて会って話したかったけれどね。」そう告げると


彼は「少し、一人で考えさせて。でも、ちょっと嬉しかったんだよ。」

そう言って、今から家に帰ると電話を切った。ちょっと前なら、間違いなく迎えに来た状況で。


ひとりでかんがえる


それは、もう答えは決まっているのだ。


どうやって終結するか、それを考えるだけなのだ。

自分が乱されないように。自分の生活を護るために。何かを、失わないために。



数日後。やはり想像どおりのメールが来た。


「しばらく、会うのはやめよう。3ヶ月経ったら、すべていい思い出になるよ。」

「タバコみたいなもので。辞めちゃえばなんてこと無いんだよ。」

「お互い落ち着いたら、また映画でも観に行こう」


思ったとおりの展開。


こうなると、突然いとおしくなってしまう私の弱さ。

突きつけられた別れに直面することが出来ない弱さ。


「メールで終わるのも、なんだか味気ないし無粋なので。30分会って話さない?」と投げてみた。


「会いたくて会いたくて仕方ないんだけど、今会うのは、キミのためにならないよ」

「キミは言ってた。不器用で真っ直ぐだから。だからそれに答えなきゃ、と思ったんだよ。」


なんて、勝手な男。


そう送りつけたメールに重ねて、「今どこ?何してるの??」そう言ってくる狡さ。


それでも、それに答えてしまう、私の弱さ。

会って、メールの件に関しては特に何も話さず。触れることさえなく。

いつもと同じように飲んで話して、いつもと同じように品川駅で別れた。


前夜、携帯から彼のデータを消去した。そして、プライド君に最後の一言。それを告げた。

彼は、「そうなんだ。そっか、消したんだね。」それだけ言った。


そのまま背を向けて、振り返らずにエスカレーターを上った。


また、台風直撃。残ったのは、壊れた気持ちだけ。

ピンクのエッセンスは、新しいおもちゃは。あっという間に壊れてしまった。

やっぱり、簡単に手に入るものはダメなんだ。もうちょっと、楽しく遊びたかっただけのに。

ん?本当にそう??思わず、自分が深く入り込みすぎたんじゃない??


また。入梅と同時に私の生活もグレーの泣きそうな曇り空になっただけ。

結局、お察しの通りに。

あの日、その後 の私は。代理店男の誘いを3回断るも。映画を観に行くことになった。


しかも、勝手に決まっていた。

車だと飲めないから、まずは家に車を置こうと言うことになる。

ここで気づくべきだったのだが、あまりに馬鹿正直に了解してしまった。

飲んだら、送ってもらえないということに。


映画を観て、車を取りにタクシーで家に戻る。当然、直ぐには運転できない。


しばらく時間を潰そうということで、部屋で彼の作品集を観ていた。

自分は飲まないけれどと言いながら、彼はワインを開け、私の前にグラスが置かれていた。


我々友人の間では、ふざけて「お洒落君」と揶揄される彼。

部屋も、やはりお洒落であったし、私が5年前にプールで撮った写真が飾られていた。

私でも知っている広告賞のトロフィーや賞状もひしめき、彼の自慢話は強ち嘘でもないらしい。


昔の写真、撮影で行った様々な国の写真を見ながら、話を聞いていた。

1人でワインを半分ほど飲んだ時。かなり眠たくなってきた。


「もう、帰らないと。眠たくなってきたし。」流れる甘い空気を断ち切るように、ソファから立ち上がる。





「うーん、まだちょっと運転するのは危ないよ。近くだったらいいけれど、ちょっと遠いし」

「眠いなら、とりあえずシャワーでも浴びて目を覚ますか、ちょっと仮眠すれば?」


なんて周到なストーリー。さすがプランナー。既に詳細までプロットは描かれていたのか。

いや、私が、なつかしの「HotDogPress」並に、セオリーどおりに口説かれるのがいけないのだろう。


しばらくの押し問答の後。

結局、言われるがままにシャワーを浴びソファーで仮眠することになってしまう。


目覚めると、もう月曜日の朝。既に9時を回っている。


まんまと、罠にかかる。飛んで火にいる夏の虫。


コーヒーを受け取り、身支度を整える。

眼前の男は、ランチをどこに食べに行こうか、1人楽しげに話している。


私は何となく、騙されたような腑に落ちない気分と、自分の弱さの味の悪さに。

重たい気持ちを抱えつつ、ぼんやりと頭の回転数を上げるスイッチを入れた。


週末中に返事をしなくてはならない案件があったはずである。

慌てて彼のMacを借り、メールを数件打つ。


結局、この日のブランチはパンケーキを食べることに決められていた。

遠足のように楽しげな男を横目に、既に昼時のサラリーマンで溢れ返る帝国ホテルへ。

パークサイドダイナー(exユリイカ)は、既に満席で、席が空くのを待つ。

その間も、帝国ホテルの裏話や下らない小ネタを、互いに披露しあう。



この人、仕事に行かなくていいんだろうか。


ふと不安になり問うてみると。今日は夕方まで打ち合わせが無いんだそうだ。

今は仕事と仕事の狭間で、特に大きなネタを入れていないと言う。

超忙しいと思われているので、細かい打ち合わせや仕事を振られないんだそうで。

出世頭なので小さな仕事はしないし、金にならない仕事や、面倒な仕事も受けない。

会社の柱となるクライアントしか選ばないし、全ての社内人事も掌握しているらしい。

そんなことを臆面も無く言ってしまう男を、ちょっと苦笑しつつ眺めてしまう。


30分ほどソファで時間を潰し、漸く席に通される。

手を引かれ店内を歩くと。真ん中のソファー席に座るスーツ軍団が目に入る。

足元には、某代理店の紙袋が山積。彼と同じ代理店である。


気まずく手を引っ込めようとした私をよそに。手を繋いだままそのテーブルの前を通過。

真ん中に座る最年長のメガネ男に話し掛けられ、彼は立止まる。

私は、手を振り解き先に席へと向かった。


遅れて席に着いた彼は、「奴らはウチの会社では珍しく、血気盛んなチームなんだ」

「海外カブレしていて、パワーランチとかすぐやりたがる。たいした仕事しないのにね」

彼は、ソファ席に背を向けているが。私からは彼らが真っ直ぐ見える位置。

全員の視線を感じつつ、気まずく頷いてみる。


パンケーキと、サンドイッチを、シェアして食べようとオーダー。またも下らぬ話に興じる。

仕事柄、私も都内のラクシュアリーホテルの部屋は殆ど観たし、話も聞いた。

そのホスピタリティの中でも、やはり帝国は古臭いながら特別なものがあるねと。

このレストランのRenovationも、ちょっとダサさを残しているのが帝国らしいと盛り上がる。


2人の前にプレートが置かれ、食べ始める。

私はサンドイッチを食べていたのだが。飽きてきた。

パンケーキが欲しくなった。

お皿を変えてと願い出ると、当然のように。

その目の前の男は、パンケーキを切りフォークに刺し

そのひとかけらは、私の顔の前に突き出された。


再び、5m先に座った彼らの目線を感じた。


「見てるよ、みなさんが」そう言って下を向いたが。


彼は、「全く関係ない。落ちるから早く食べて」と言ってフォークを下ろさず。

躊躇した私に、「早く、ほら!」とテーブルの上の私の手に手を重ね、引っ張った。





私はそのフォークの先についた甘い塊を食べ、男たちの視線に身を硬くした。

しばらくすると、男たちは列になりテーブルに現れ、彼に挨拶をして帰っていった。


「月曜の昼間。いいお天気で、かわいい女の子と、楽しい話をしながら

美味しいランチをするって、幸せだなあ。ありがとう!」


私の鬱々とした思いは全く気づかず。本当に楽しそうに。取った手を離さずに食事をし続け彼は言った。


この日はその後、品川駅まで送られて別れた。

その週も、3回ほど熱心な誘いを受け、デートを重ねた。

「きみとキスすると、気持ちは昂ぶり。体に触ると、何もかもが真っ白になり気がおかしくなりそう」

「小さな顔、細い腰と脚、柔らかな肌、赤ちゃんのような髪、全ては一度触れると忘れられず手放せない」

「豊かな感情、知識や話題が豊富だし、話してて時間を忘れるんだ。何より見つめられるとドキドキする」

会う度、ドラマ仕立てのストーリーは進行し。ドラマティックに口説かれた。



毎日、毎日電話とメールが続いた。

この人、自分の彼女とはいつ会っているんだろう。まったくもって不可解である。


いつも、同じだ。


私はこうやって、マイペースな男に振り回される。ペースを乱される。


彼らは、こうやって私をまるでペットのように連れ歩き。甘やかし見せびらかす。

その期間はとても甘美で、私は夢の中のような、コットンキャンディのような気持ちにさせられるけれど。


私が彼らに気持ちを入れる頃。彼らは私を持て余すのだ。

そんなに真っ直ぐ向き合えないよと。そんな真剣に好きになられても、応えられないよと。


だって、僕らは僕が1番好きなんだもの。私を好きなんじゃない。

私を好きでいる自分が好きなだけで、自分が乱されることや、面倒は嫌いだから。

僕が僕らしくあるために。僕が僕であるために。そのための恋愛でしか、ないのだから。

彼らは、絶対に一線を譲らない。自分のパーソナルスペースを守る達人。

グレーだった生活に突然舞い降りたピンクのエッセンス。
わたしは、この新しいおもちゃで、いつまで遊びつづけられるんだろう。


ぴかぴかに晴れた空の向こうに見える、分厚くて真っ黒い雲が迫ってくるみたいに

今のふわふわした時間を楽しめず、不安ばかりが残る逢瀬なのだから。


諸々の事情から、最近この3ヶ月。女子高生時代の男友達と、タイトである。

軸になる1人の友人クラブを中心に、3ヶ月で10人近く、この仲間たちと再会した。

今年は、幼馴染と再会する年なんだろうか・・・・?

週に1度は飲んだり、月1度はゴルフに行ったり。

懐かしい話をしたり、相変らずのお互いの阿保さ加減を笑い合う。


超コンサバなバックグランドを持つ彼らは皆家庭を持ち、子供を持ち。

すっかりお父さんになりつつも、やはり変わらない。

そんなところも、NYの彼らと同じにおいである。私の生きてきた世界は、こんなところなんだろう。

そもそも、この友人もB男も毎年バリに行く仲間も、グループは違えど皆同窓なのだ。

なんと狭い世界で生きていることか。



あるとき。いつものように定例のアホゴルフに行こうと言うことになった。

まぁ言ってみれば。エロトークや下ネタ、下らないscratchに応じる接待ゴルフみたいなもの。

今回のバディは、これも高校時代に親しかったひとりスペード

会うのは何年ぶりだろうか。誰かの結婚式の2次会だったか、恵比寿の飲み屋でばったり会ったか。

彼は、某代理店にて売れっ子クリエイターとなった彼は、現在バツイチ。

子供の頃は何となく、あまりのマイペースに気難しさや近寄りりがたいものを感じていた。

いつもいつも一緒にいた7,8人のグループの中で、どちらかと言えば遠い存在だった。


我々は、ひとりひとり、誰の中にも大きな波紋を落としたひとつの大きな別れを共有していた。

その別れをいちばん苦しみ、辛かったのはおそらくは彼であると、誰もが口にした。

それ以来、何となくどこかで会っても、どう接していいのか。迷うような気がしていた。


いつも会っている友人クラブが運転をし、早朝のお迎え。

再会したスペード。外見は昔から坊主だったし、相変らず体躯は立派で。

あまり変わらっていないように感じた。


車内、まずは近況報告と自己紹介。

男女の結婚観の違いや、理解不能な部分を朝から熱く語る。


後輩ちゃんダイヤ、30歳。家事手伝い。私が以前紹介したダメ男と付き合っているが、もはや風前の灯。

私は彼なし、職無し。横から、もはや私の近況やダメ恋愛を全て知る男友達が口を出す。

クラブ「こいつの恋愛は面白すぎるけど、とにかくダメなんだよ。ダメ男が好きなんだよ。な?」


代理店男スペードに、私はバツがついているのか聞かれた。結婚はしたことが無いと答えると、


スペード「この年で、それってやばくない?焦らないの??」


と、なんとも下衆で失礼な。そして一般男性の代表のような問いが返ってきた。


「そうね、あせったことが無いから、間際まで行っても結婚できなかったんだと思う。

でも、子供が生みたいと思い始めたから、最近はちょっと真剣に考えなきゃいけないと焦り始めたかも」

「私ねえ、クラブが言うように直球勝負なの。パワーゲームもできないし、好きになったら一本。

だから苦労するし、失敗も多いんだけど仕方ないのね。不器用だから。」そう正直に答えると。

彼らは口をそろえ「俺は、1番好きな女じゃない女と結婚したよ。意外に上手くいくもんだよ」と言い出す。

後輩ちゃんダイヤが、「そんなのおかしいです!私は嫌です!そんなの!!」と女子的意見


私はそれを受け、「じゃあさあ、キミスペードはどうして離婚したの??」と質問してみた。


スペード「相手の時間を、人生を浪費しているような気がして、無駄だと思ったから」。


えーと。あまりにクリエイティブなお答えで理解が難しいんですが。

スペード「相手のこと好きだったし、ちゃんとしてる人だったし。26で結婚して5年一緒に生活して。

その間、全く問題なかったし上手くいってた。殆ど浮気もしたこと無いしね」

「でもなんか。一緒にいて生み出すものが無いような気がしたら。相手を束縛するのが辛くなった」

「もっと幸せでいて欲しいと思ったし、一緒にいる意味が無いような気がした」

「だから急に、一方的に別れを切り出して、相手にはすごく悪いことをしたと、今でも思ってる」

「俺にとっては、あの別れより、彼女との別れのほうが辛かったかもしれない」


聞いても、聞いても。聞けば聞くほどよく分かりません。結婚て、そんなものなんだろうか。


生み出すものが無いのは、生み出す気が無いからなんじゃないか?

もっと幸せであって欲しかったら、自分が幸せにするということはできないのか??

その答えは。別れる、と言うことしかなかったんだろうか。

元奥様に私は会ったことが無いが、なんだかその苦しみとショックを想像するだけで涙が出た。

晴天の霹靂で別れを切り出される辛さは、ちょっとだけ知っていたから。


私は思いをめぐらせて黙ってしまったが

後輩ちゃんダイヤが「え、じゃあ今の彼女とはどうするんですか?」と質問を重ねた。



スペード「絶対に結婚はしない。もう、一度失敗してるし、その傷は深いしね。

彼女もすごくちゃんとした人だから、惹かれた部分はあるんだけど。

ちゃんとしすぎてて入り込む余地も無いし。一緒に住むことすら無理だと思う」

「お風呂場でおしっこさせてくれたら、一緒に住んでもいいと言っているけど、絶対無理だね。」


この人は、自分のエリアに人を介入させないんだろうな。

昔からちょっと、自信とコンプレックスと、理想と夢想と現実のカオスがあって。

確固たる自分を崩してしまうのが、怖いんだと思う。

弱さを容認できなくて、開き直るだけの強さが無い。

だから、自分を追い込んでがむしゃらに努力するし、その努力で必ず結果を出す打算もある。


何となく、そんな気がした。そして、そんなプロファイルの男は死ぬほどたくさん見た気がする。

B男にも、NYの彼にも通じるものがある。と後で気づいた。



その後は、話題が変わり。前夜も徹夜だったと、いかにも業界然とした話。

相変らずのマイペース。彼が製作した、現在どこでもヘビロテ中の某CMの話題が続く。


そのとき、その話題に乗ってしまったのがいけなかったのか。

たまたま、ついてゆける話題だったのがいけなかったのか。

妙に、引きがいいと思われてしまったのかもしれない。


その日のゴルフも、散々なもので。

代理店男スペードと、後輩女子ダイヤは超ビギナーデビュー直後。

例えばボールを見るとか、cart回すとか。

後ろ待ってる時にもOKパット打ったりとか。

ルールを知らずペースが遅い。


私と男友達クラブは、ハンデ無しガチンコ勝負中だったのだが。

そのフォローとお世話ですっかり疲れてしまう。


そんなことを歯牙にも掛けず、気にもとめず。

ずーっと、カルガモ親子のように私にぴったりとくっついてくる、でかい男一名。


スペード「その服可愛いねー。センスイイねー。プッチの帽子可愛いねー」

「ゴルフ、キミに教えてもらうと上手く打てるよー。ルールも教えてよー。」

やたらと、話し掛けては取巻きのようにくっついてくる。


なんだか、気になるのは。

この代理店男スペードのつけているフレグランス、鼻につく。

悪い意味ではないのだが、これ、確実に私が好きな5本のうちのどれか。

昔、親しかった仲のいい、センスのいい男友達がつけていて、教えてもらったかおり。

職業柄、においには敏感で、このあたりのかぎ分けや調香はあまりブレが無いはずである。


そして、この男も。私のつけている体温と化しているこのにおいがツボだったようで

スペード「このスイカのにおい、めちゃくちゃいいにおいなんだけど」

そう言って私の周りをくんくんと子犬のように嗅いで回るのだった。

においの趣味と言うのは、大抵食や感覚の一致に繋がる。

そんな話をしたり、彼の面白おかしな話を聞いたり、疲れながらも楽しいゴルフとなった。


ゴルフも終わり、都内に戻り夕飯のプラン。

この日は、月島でもんじゃを食べよう!と言うことに。


土曜日夕方の月島。5時過ぎに入店し、食べ終わっても7時。

月島の商店街を、ぶらぶらと4人で散歩。

いつもの男友達は、私の後輩ちゃんをお気に入りなので、必然的に代理店男と2人になってしまう。

あれこれと近況や男関係を詮索され、適当に会話を続けた。

やはり、クリエイティブな仕事をするだけあって、

若干鼻につく揮発臭はあるものの。話は面白く尽きない。


その後、もう一軒飲みなおしたいと、後輩の家近くに移動。そこでまた3時間ほど飲んだ。

その間にも。隣りに座る私の足をさわり続け、歩く間も手を繋ぎ。

帰宅後も、あっという間に矢のように、メールが入ってきた。

このあたり、仕事、早いです。そして、さすがのドラマティックな表現。



「昔からキミは可愛くて、何も変わっていないことにも驚いたけれど。

大人になった部分と、賢くなった部分の変化にも驚きました。

どちらも、あまりに素敵で1日ドキドキしっぱなしで、目が離せなくなりました。」

「今週、ご飯でも食べに行こうよ」



西海岸での別れから、3ヶ月。

久々に、ちょっとだけ甘い気持ちになり、生活に張りが出るエッセンスを見つけたような気がしたが。

やはり、これも私にとっては甘い媚薬でありながら、苦い痛みを伴うドラッグのようなものになる。


早速、翌日の日曜。久々に日本に一時帰国した兄さんと軽く飲みに行った帰り。

気づくと、メールが入っていた。「どこで、なにしてるの?」

銀座からの帰途だと伝えると。終電までの30分でいいから、お茶をしようと言い出して聞かない。


私も、なんだか話したいような。会いたいような気がした。

品川で電車を降り、空いている店を探す。FRIDAYSに入った時、彼が車で現れた。

山手線の反対側から来るのに。2回しか信号にかからず、異常に早かったと言いながら。

時計を気にしつつ、私はビール、彼はコーラ。テーブルの上に置いた手を取られる。

そんな状況に閉塞感もあり。私は時計を見て、やや早めに店を出る。


「じゃ、ここで。」と別れを告げると。

「映画観ようよ。送って行くから。ダメ?」

甘えた声で言い出した。


代理店男は、いいかおりも、自己中発言も。色々な意味で鼻につく。

わたしは、相変らずダメな男が好きらしい。


この男も、近々私の俺流ファイルに格納される確信を持ちつつ。

以上、5月30日に気づいたこと。


悪天候にもかかわらず。いや、台風のはずが、晴れ間さえ見える七夕土曜日。

知人の船、ワインセラーにするために買った50フィートFAIRLINEでクルーズ。
朝早く、久里浜から出航。三崎、油壺経由、八景東京湾ツアー。




まずは、三崎でマグロづくし、咲乃屋 へ。
インドマグロと、めばちの食べ比べ。クロムツ、アカムツの食べ比べ。
赤貝、鳥貝、アワビ、平貝の紐と身を食べ比べ。
うーん、お贅沢。美味しいでございます。


ソフトクリームが、マグロ入りと騙されおばちゃんに笑われる。いやね、そんなわけないでしょ。





船上とは思えぬワインセラー。
おそらくは高価であろう、シャトー系飲み放題。
昼には、既に飲んだくれ中

よく分からない私には、豚に真珠。




運転だって、しちゃうもんね 30ノットほど出すと、速い!


船内は豪華です。オールレザーのソファ

バスルームだって豪華。



しかし。揺れる。私は揺れるの大好き大丈夫ですが、既に友人は死亡。

ハーバーに戻り、サーロインステーキを焼き、いよいよムートン75年物やペトリュス同年などが空く。
船上で海の音を聞きながら、星を見てディナー。
Livedoor、楽天、その他川上八巳、瀬島龍三等政財界裏話が出るも、気もそぞろ。

私、21時には東京に帰りたいんです。用があると言ってあります。
それを告げても、誰も意に介さず。

こういった遊びは、気持ちも優雅でなければいけませんね。