子供の頃から、LCソファに、サヴォワ邸に強く惹かれ。Le Corbusierは大好きな作家である。

ずっと気になっていた、六本木ヒルズ森アートミュージアムにて展示中の、ル・コルビュジェ展 を訪れた。


ル・コルビュジエの生誕120周年を記念し、ライフワーク、生活、アートワーク・・・

様々な角度から、彼の人間としての魅力を表現しようとしたもの。

建築、絵画、家具までの多彩な業績を約300点の作品で紹介されている大規模な展示。


こういったことの運と引きは、非常にいいようで。

午前中の彫金を終え、前職同僚との夕食の時間まで、ぽろっと空いた2時間。

偶然居合わせた六本木で、足を向けたのであるが。


ちょうど、週一度のミュージアムガイドツアーのタイミング。

2on1で、恐ろしく質問攻めにしてしまって恐縮だったが、あれこれと話を聞けた。(お手柔らかに、と言われてしまった・・・)

さらには。偶然、その場に南條館長が居合わせ。どなたかVIPの方に、レクチャーをなさっていた。

コルビュジェコレクターでも名高い館長のレクチャーも同時拝聴することができ。なんて、ラッキー。


コルビュジェの人格、夫婦、弟子との関係。本当は、画家になる夢を抱きつづけた話。

立体造形とは乖離した、模倣や迷いのある平面絵画たち。

網膜はく離の話、日本とのつながり、日本の弟子たち。

そんな裏話を聞きつつ堪能。あっという間に2時間が経過した。




圧巻は、原寸そのままに再現した3つの模型展示。


1つ目は、コルビュジェが毎日向かったと言うatelier。

両サイド天窓を配し、石造りの壁は充分な光が降る。

独特かつ機能的な本棚等、忠実に再現されていた。

↓この奥はデスクだが、この脚の配置もコルビュジェらしい。




2つ目は、マルセイユ・ユニテのCube総合住宅。

メゾネットタイプ(2階建てアパート)の内部再現。


いずれも、採光にこだわったコルビュジェらしい

光と自然を絶妙に感じる窓の配置が印象的。

これはベッドルームとベッド。↓





メゾネット構造であるが、細長いL字のユニットを重ねたアイデアで

それぞれが、天井までの吹き抜けと大きな窓を持つ。

床高2.38の80㎡とは思えぬ、窮屈さの無い空間。

白い箱のイメージが強いコルビュジェの作品だが

キッチンのタイル、タペストリ等に配された鮮やかな色彩は

まるでピカソをモチーフにしたかのような

彼の絵画に端を発しており。住宅を鮮やかに彩る。

今でも現存するこの住宅、一度訪れてみたいものである。


また、183センチの体躯の人間が快適に過ごせるようにと。ダ・ヴィンチの黄金比のような動線が描かれている。

これは、コルビュジェが183cmだったためだそうだが、館長も偶然同じ183センチだそうで。

Casa Brutus を見ると、その前に立っていらっしゃるそうだ。


さらには、彼の終の棲家で日本初公開となるカップ・マルタンの休暇小屋(ともにフランス)。


それぞれ、まるでテーマParkのように中へ入り、全身でル・コルビュジエの空間を体感できる空間。


特に、子を持たなかったコルビュジェが、晩年愛する妻と過ごした海の小屋。

日本サイズで表現すると、およそ8畳程度の空間。シャワーも無く、ベッドの頭にカーテントイレ。

それでも、快適で暖かい、人にとっての「ミニマム」な空間。鮮やかな色彩と簡素な構造。

コルビュジェの目指した空間を垣間見たような気がした。


その後、会場を出るとセミナーが開催されており。こちらも、面白い話をうかがうことができた。


何たるラッキーな時間。





いまやカッシーナの稼ぎ頭となってしまった

3代目LCシリーズであるが。原型は深いものがある。


あー。やっぱりLC欲しいなあ。。。。


この来場で知ったのだが、日本を代表する名だたる建築家が

コルビュジェを語るセミナーが開催されていた。


近日開催の安藤忠男さん論じるコルビュジェを

ぜひとも拝聴したかったのだが、もう満席。残念~。

結局、黒川紀章さんの会だけが空いていた。

嫌ですよ、ポリティカルな話をされては。


やっぱりもう少し早く行けばよかった・・・・。