怒涛のように、ジェットコースターのような1週間強



例のクリエイター男に翻弄される私。


急激な温度変化は、必ず揺り戻しが来るものだと知ってはいたが。

あまりに早い展開についてゆけず。


この男との一部始終を全て知っている後輩ちゃんと、ある晩飲んでいた。

この男との一部始終を、報告させられていた。


そのとき。彼女が「私にも、誰か紹介してくださいってお願いしてくださいよー」

と言い出したので。

そんなものは、自分で頼めと、私の携帯を手渡した。


電話が通じないと、電話を戻されたので。

じゃ、メールしたら、とアドレスを入れ、真っ白な新規メールの画面を出して手渡した。


酔っていた彼女の状態に気づくべきだったのだが。時既に遅かった。


着信に気づいた男から、電話がかかってくる。

「今日は撮影中だから、行けないし、迎えにも行けないよ、ごめんね」


それにぶーたれる私を見た後輩が、どうも彼にメールを書いたらしかった。


特に気に留めず、飲んでカラオケをして、自宅のベッドに寝ていた朝7時。

メールの音で目が覚めた。


彼からのメール。開けてみると、異常に長い。内容を見て、目を疑った。

思わずそこに居直り正座し、メールをScrollすると。




「きみのことは大好だよ。でも今はまだ、答えを出すには時期尚早。

気持ちは嬉しいけど。もう少し2人で時間を過ごしてから考えたかった。

彼女と付き合う前に再会していたら、とか色々考えちゃうけれど、

今は前の結婚で痛手もあるし彼女を裏切れない。ごめんなさい。」



要は、告白もしていないのに。一方的に、突然ふられたわけである。


一方的に口説かれていたのにも関わらず。


何も、答えていないのに。


全く状況がつかめず、呆然。



ふと気づき、送信メールを見ると。



あった。


後輩が送ったメール。



「今すぐ、来てラブラブもうちょっと、ちゃんと私と向き合ってくれたら嬉しいな。 ちょっと、切ないですしょぼん



おい!こら!!!!


ありえない展開だが、自己管理の領域。もう、歯車は動き出してしまったのだった。

脱力し、後輩にも彼にもコンタクトをする気も失せる。



昼過ぎ、後輩から電話。

「昨日は、すみませんでした!かなり激しく酔って覚えてませんでしたが、帰れましたか?」


かるーく、「ふられた」と笑って言ってみると。

彼に、メールしたのは私だと弁明します!と言い出す。


それは、プライド君である彼にとってCriticalすぎるし、恥をかかせるだけなので。と断るが

彼女はどうも、メールをしたらしい。


その後、何度も彼からメールが入った。


「昨日の22:36のメールは、彼女?それともきみ??」

「あれはキミの本心なの?それとも酔っていたの??」


全て放置。


私はこの夜、コンサートだったため。電話が通じない環境にいた。

表に出ると、メールが来つづけ着信があった。


どのように対処するか考えつつ、恵比寿にてイタリアンとワインを堪能。


酔った勢いで、メールを入れた。


「あれは、彼女のいたずら。でもそれは、きっと運命のいたずらでしょう。」


電話が鳴った。無防備に出てしまった。


「本心だったかもしれないし、そうじゃないかもしれない。もはや判断することはできないよ。

そもそも、私がハートの絵文字とか使うと思う?そんなこと、言うと思う???」

「このまま放置し終わりにしようと思ったけれど、それも悲しいでしょ。

ほんとはね、メールじゃなくて会って話したかったけれどね。」そう告げると


彼は「少し、一人で考えさせて。でも、ちょっと嬉しかったんだよ。」

そう言って、今から家に帰ると電話を切った。ちょっと前なら、間違いなく迎えに来た状況で。


ひとりでかんがえる


それは、もう答えは決まっているのだ。


どうやって終結するか、それを考えるだけなのだ。

自分が乱されないように。自分の生活を護るために。何かを、失わないために。



数日後。やはり想像どおりのメールが来た。


「しばらく、会うのはやめよう。3ヶ月経ったら、すべていい思い出になるよ。」

「タバコみたいなもので。辞めちゃえばなんてこと無いんだよ。」

「お互い落ち着いたら、また映画でも観に行こう」


思ったとおりの展開。


こうなると、突然いとおしくなってしまう私の弱さ。

突きつけられた別れに直面することが出来ない弱さ。


「メールで終わるのも、なんだか味気ないし無粋なので。30分会って話さない?」と投げてみた。


「会いたくて会いたくて仕方ないんだけど、今会うのは、キミのためにならないよ」

「キミは言ってた。不器用で真っ直ぐだから。だからそれに答えなきゃ、と思ったんだよ。」


なんて、勝手な男。


そう送りつけたメールに重ねて、「今どこ?何してるの??」そう言ってくる狡さ。


それでも、それに答えてしまう、私の弱さ。

会って、メールの件に関しては特に何も話さず。触れることさえなく。

いつもと同じように飲んで話して、いつもと同じように品川駅で別れた。


前夜、携帯から彼のデータを消去した。そして、プライド君に最後の一言。それを告げた。

彼は、「そうなんだ。そっか、消したんだね。」それだけ言った。


そのまま背を向けて、振り返らずにエスカレーターを上った。


また、台風直撃。残ったのは、壊れた気持ちだけ。

ピンクのエッセンスは、新しいおもちゃは。あっという間に壊れてしまった。

やっぱり、簡単に手に入るものはダメなんだ。もうちょっと、楽しく遊びたかっただけのに。

ん?本当にそう??思わず、自分が深く入り込みすぎたんじゃない??


また。入梅と同時に私の生活もグレーの泣きそうな曇り空になっただけ。