(2024年2月6日追記)

NISA制度に関する制度改正があり、2024年1月からNISA制度が大きく変わっております。新しいNISA制度については、「海外帯同する(駐在妻になる)前にしておきたい手続き⑪―NISA口座手き―」をご覧ください。

なお、今までのNISA口座をお持ちの方は、新しいNISA口座も並行してご利用いただけますが、今までのNISA口座での新規買付はできませんので、ご留意ください。

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皆さん、こんにちは。

 

前回までは、「駐在妻生活を始めたら」のシリーズを①~⑤までお伝えしてきましたが、

「海外帯同する(駐在妻になる)前にしておきたい手続き④ 金融関係の手続き」でお伝えしていました通り、昨年、少額投資非課税制度のNISA口座について制度見直しが行われました。制度見直し内容や手続き等の詳細が分かりましたので、今回は「海外帯同する(駐在妻になる)前にしておきたい手続き⑩ ―NISA口座手続き―」についてお伝えします。

 

 

NISA(ニーサ)」とは、20141月から始まった少額投資非課税制度のことです。「つみたてNISA」と区別するため、「一般NISA」とも呼ばれています。証券会社や銀行、郵便局などの金融機関で、少額投資非課税口座(以下、NISA口座)を開設して、その口座内に設定する一般NISA勘定において上場株式や株式投資信託等を購入すると、本来20%(復興特別所得税を含めると20.3150%)課税される配当金や売買益等が、非課税となります。購入できる金額は年間120万円まで、非課税期間は5年間です。

また、「つみたてNISA」とは、20181月から始まった積立型の少額投資非課税制度のことです。証券会社や銀行、郵便局などの金融機関で、NISA口座を開設して、その口座内に設定する累積投資勘定(つみたてNISA勘定)においてETF(上場投資信託)や株式投資信託を購入すると、本来20%(復興特別所得税を含めると20.3150%)課税される分配金や売買益等が、非課税となります。購入できる金額は年間40万円まで、購入方法は累積投資契約に基づく買付けに限られており、非課税期間は20年間です。

なお、「一般NISA」と「つみたてNISA」は選択制になっており、同一年中は両方を設定することはできません。

 

 

今までの制度であれば、非居住者(1年以上の予定で日本を離れる人のこと)になった場合、NISA口座で持っていた株式などは課税対象の口座に払い出され、NISA口座自体も廃止されていたため、非課税の恩恵を受けられないだけでなく、長期の資産形成が難しい状況でした。しかし、今回の改定では、非居住者になった場合でも、NISA口座で最長5年間まで非課税で口座を持てるようになりました。上記で説明した「一般NISA」と「つみたNISA」が対象となります

 

出国後も引き続きNISA口座を保有し、非課税の適用を受けたい場合は、出国日の前日までに、NISA口座を開設している金融機関に「(非課税口座)継続適用届出書」を提出することが必要です。また、帰国後にNISA口座で非課税の適用を受けることを希望する場合には、NISA口座を開設している金融機関に「(非課税口座)帰国届出書」を提出する必要があります。

 

また、「一般NISA」と「つみたてNISA」には、以下のような注意点もあります。

 

✔ 海外滞在期間中は「一般NISA」で新規の買い付けができない。「つみたてNISA」の投資信託等の積立設定も解除される。

 

✔ 非課税の適用を受けられる期間は、「(非課税口座)継続適用届出書」を提出した日から5年を経過する日の属する年の1231日までの期間となる。

【例】2020130日に書類提出の場合、20251231日までが非課税適用期間

 

✔ 海外滞在期間中に、NISA口座での保有商品の非課税期間が終了した場合は、一般口座(課税対象の口座)へ移管される。

 

✔ 非課税の適用を受けられる期間の終了までに「(非課税口座)帰国届出書」を提出しなかった場合は、NISA口座は廃止され、NISA口座での保有商品は一般口座へ移管される。

 

✔ 「つみたてNISA」の場合、NISA口座の非課税の適用が受けられる期間(5年間)までに帰国すれば、引き続き、投資した年から最大20年間、非課税の取り扱いを受けられる。また、新たな買付も可能。

【例】2018年にNISA口座を開設し「つみたてNISA」で年間40万円を買付設定後、20201月に海外在住開始、202312月に帰国の場合。

 

 

 

なお、「ジュニアNISA」(子供の将来に向けた資産運用のための制度であり、019歳の方が口座開設可能。親・祖父母等が拠出した資金で親権者等が子どものために代理して運用を行うことが可能)対象外となりますので、今まで通り、口座閉鎖の手続きが必要となります。また、証券会社に口座を保有されている方は、特定口座を開設されている場合が多いと思います。特定口座については、一般的には口座閉鎖手続きを行う必要がありますが、一部の証券会社においては、出国前に手続きを行えば、特定口座自体は継続(休眠扱いとし、出国中は特定口座での保有商品は一時的に一般口座に振替え)可能な場合もあります。その場合、帰国後に金融機関で所定の手続きを行えば、出国中に一般口座で保有していた商品を特定口座へ振り戻すことが可能です。証券会社によって対応が異なりますので、お取引されている証券会社へのお問い合わせをお勧めします。

 

 

様々な注意点があるものの、昨年までであれば、出国により非居住者となった場合、NISA口座は閉鎖(廃止)され、NISA口座内にある上場株式や株式投資信託等は一般口座に移管され、非課税の適用を受けることができませんでした。5年間という制限はあるものの、非課税の恩恵を受けつつ、運用継続できるようになったことは、長期の資産形成にも利点がありますので、NISA口座を保有されている方は、ぜひ口座継続手続きを行うことを、お勧めします。また、長期の資産形成という観点から、今回のNISA口座の継続保有が可能になったことに加え、「海外帯同する(駐在妻になる)前にしておきたい手続き⑥~確定拠出年金-前編-」も併せてご覧ください。

 

 

今回は、久しぶりに「海外帯同する(駐在妻になる)前にしておきたい手続き」の続編をお伝えしましたが、いかがでしたでしょうか。金融関連の情報は、税制改正等により日々変化していることが、今回の記事でもお分かりになったかと思います。できる限り最新の情報を盛り込みたいと思いますが、中には追いつかない場合もあると思います。最終的には皆さんご自身で確認する必要が出てくる場面も多々あるかもしれませんが、少しでも皆さんのお役に立てる情報発信になれば嬉しいです。

 

 

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また、個別メール相談(場合によっては、Zoom等での個別相談)も行っております。一つのご相談案件につき、15,000円となっております。例えば、資産運用を考えているがどうしたらよいか、ということに対してのご質問であれば、このご相談を一件とカウントし、メールをやり取り開始させていただきます。過去のご相談例として、「海外赴任に伴う保険や資産運用について」・「海外金融機関の口座について」・「資産運用(ポートフォリオの見直し)について」など様々なご相談がございましたが、ほとんどの場合、メールでのやりとりで完結しています。

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次回は、再び、「駐在妻生活を始めたら」をお伝えします。

次回もお楽しみに!

 

 

(注)記事の無断転載・転写はお断りします。