(2022年5月更新)

 

夫の海外赴任が突然決まり、「お金」に関する悩みに直面するプレ駐在妻。そして、海外生活をスタートさせた後にも、「お金」の悩みを抱えながら日々過ごしている駐在妻。

FP資格を持つ駐在妻による、駐在妻のためのGlobal FP Salonでは、こうした悩みを解決し、ライフプランニングを考える際のヒントをお伝えしていきます。

 

前回は、「留守宅管理」について紹介しましたが、今回は、「確定拠出年金-前編-をお伝えします。

 

個人型確定拠出年金(iDeCo)(以下、個人型DC)と企業型確定拠出年金(以下、企業型DCについて、前編と後編の2回に分けてお伝えしますが、前編は主に個人型DCについて、後編は主に企業型DCについてお伝えします。

 

 

「個人型確定拠出年金(iDeCo)」は、個人型DC DCとはDefined Contribution Planの略)のことで、確定拠出年金法に基づいて実施されている私的年金の制度です。20171月から個人型DCの加入者の範囲が大幅に拡大されたことで、皆さんも一度は聞いたことがあるのではないでしょうか? また、2022年5月から加入できる年齢の要件などが拡大し、基本的に20歳以上65歳未満のすべての人が加入できることになったため(今までは60歳未満)、働き方が変わっても老後資金の継続的な積立が可能になりました。更に国民年金に任意加入されている海外居住の方であっても、個人型DCに加入可能になりました。そのため、国際結婚後に海外で生活を続けていらっしゃる方で日本の国民年金に任意加入されている方であっても、個人型DCに加入可能となり、将来に備えて資産運用を継続することができるようになりました。iDeCo公式サイトでも紹介されていますので、更に詳しく知りたい方は是非ご覧ください。

掛け金に対して所得税や住民税の課税はなく、運用における配当や利子、値上がり益といった運用益に対しても非課税のため、税制上でも大きなメリットがありますので、このような要件の緩和は海外で生活を続けている方にとっては朗報ですね。

 

上記のような改定から、仕事を辞め、海外帯同した場合(駐在妻になった場合)であっても、掛け金を拠出し続けることが可能となりました。そのため、以下の文章については、過去からの経緯も分かるように、打消し線を引いております。

 

20171月からの改定で、専業主婦であっても掛け金を拠出できるようになったため、掛け金を拠出し続けることができるのでは? と感じておられる方も多いと思います。しかし、残念ながら非居住者(1年以上の予定で日本を離れる人のこと)になった場合、原則、毎月の拠出(掛け金)はできなくなり、投資信託などの運用商品の入れ替え(運用指図)のみ可能となります。

 

(2019年10月23日追記)

こちらのブログを発信した当初は、非居住者になれば運用指図者のみ、拠出は不可とお伝えしました。しかし、投稿いただいたコメントの通り、楽天証券であれば、海外帯同に伴い退職後、個人型確定拠出へ移管し、帯同後も国内連絡先(実家など郵便が届く住所)があれば、非居住者でも拠出も出来るそうですが、証券会社によって対応が異なる可能性もありますので、ご自身がお取引されている証券会社へ直接問い合わせされることをおススメします。なお、コメントいただいた方は、日系企業にお勤めのご主人の海外赴任に伴い、勤めていた会社を退職し、年金は第3号被保険者とのことです。実家を郵便物等の受け渡し場所に指定されたそうです(住民票には「海外転出」)。

 

 

毎月の拠出をする・しないに関わらず、口座管理料は必要です。手数料や口座管理料は、金融機関によって異なりますので、特定非営利活動法人確定拠出年金協会が運営している「iDeCoナビ」の「取扱金融機関比較」のコーナーで確認くださいね。

 

また、元本確保型商品だけで運用している場合、現在のような低金利の市場環境では、手数料を支払うことで資産が目減りする可能性があります。そのため、海外転居の手続きなどの際に、運用商品の見直しをおすすめします。

企業型DCの場合は、口座管理手数料などの口座維持手数料はたいてい会社が負担してくれます。しかし、個人型DCの場合は、上記でお伝えしたように手数料が発生しますので、帯同前に勤めていた企業で企業型DCに加入し、退職後に個人型DCに資産を移管した場合には、手数料にも注意が必要です。

また、原則、60歳まで年金の引き出しはできませんので、こちらも注意が必要です。

 

 

そこで気になるのが、ご主人の個人型DCですよね。

 

こちらについては、次回(後編)、企業型DCについての説明と合わせてお伝えします。

 

 

また、長期の資産形成という観点から、今回の確定拠出年金の手続きに加え、「海外帯同する(駐在妻になる)前にしておきたい手続き⑩ ―NISA口座手続き―」併せてご覧ください。

 

 

最後にお知らせです。

 

〝駐在妻にとって海外生活を楽しく、有意義に過ごせる手助けに少しでもなれば″、との思いを込めて、『夫の海外赴任を「自分ごと」にする:グローバル駐在妻の選択―“転機”をチャンスにー』(デザインエッグ社)を2018年に発刊しています。ぜひ、こちらもご覧ください。

 

 

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「海外帯同する(駐在妻になる)前にしておきたい手続き」に関して、疑問に思ったことや分からないところがございましたら、“Global FP Salon”へ「メッセージ」を送信してくださいね。また、個別メール相談(場合によっては、Zoom等での個別相談)も行っております。ご希望の場合は、globalfpsalon@gmail.com へ、お気軽に問い合わせくださいませ。

 

 

次回は、「海外帯同する(駐在妻になる)前にしておきたい手続き⑦~確定拠出年金-後編-」をお伝えします。

 

 

次回もお楽しみに!

 

 

 

 

(注)記事の無断転載・転写はお断りします。