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【オーズ】火野とアンクと欲望と

アンクのことが好きだと、思う。
でなきゃ抱きたいなんて思わないし、そもそも一緒に居て何もかも世話焼いて、なんてできるはずないでしょ。
なんて自分に対して言い訳を並べてみたりして。
アンクが言うには俺には欲望がなさすぎて、ヤミーに変える価値もないって。
そう言うけどさ、アンク。
俺にだって、欲望はあるんだけどな。
だってこれは人間の根源でしょ、好きな相手を抱きたいなんてさ。
いや、それだけじゃない。
抱く、なんて生易しい表現じゃなく、アンクのちょっとした仕種とか。
態度なんかを見てると、夜に見る泣き顔や肌の匂いなんかを思い出して。
ソコがぐちゃぐちゃのドロドロになるくらい、アンクが泣いて許しを求めるくらい抱いて犯して、目茶苦茶にしたいって欲望が湧いてくるんだ。
ケダモノ以下なんじゃないかって、グリードであるアンクよりも明らかに。
こっちのこの、どす黒いドロドロの欲望は強いと思う。
夜にやってるコトを見れば、わかると思うんだけどな。
アンク、お前いい加減、俺に騙されてるって気付かない?
お前に誘われなくても毎晩のように押し倒しちゃってる現実、この意味わかる?
今のアンクの身体は刑事さんのものだけど、俺が抱きたいのは刑事さんじゃない。
アンクだ。
アンクが好きだから。
だから快楽を欲しがってたアンクに誘われたフリをして、お前を抱いたんだ。
俺の欲望がパンツ欲しがるだけだなんて、そんなわけないだろ。
悪いけど、俺だって立派に男なんだよね。
どんどん好きになってる相手に自重できるほどは大人でもないし。
だからアンク。
もう少し警戒しないと俺、アンクのこと壊しちゃうかも知れないんだよ。
だから

「エージ…おい、映司?」
はっと我に返ると、アンクがいつもの不機嫌そうな顔で俺を見てた。
屋根裏部屋の、申し訳程度に点いてる明かりでも、旅先ではローソクしか明かりがなかったりなんて当たり前の俺には普通にアンクの姿が見える。
「…何なんだよさっきから、ヒトの顔見ながらぶつぶつ何か言いやがって」
うわ。どうやら心の声が若干口から出てしまっていたらしい。
「ごめんごめん。ちょっとさ、考えごと…かな?」
「俺の顔見ながらってのが、ワケわかんねぇんだよ」
抱えていた携帯端末を放り出して、アンクが定位置のベッド?から飛び降りてくる。
毎回思うけど、鳥のメダルを持つグリードなのにアンクは猫っぽいところが多々ある気がする。
「いやだって、考えてたのアンクのコトだし」
「あァ?」
俺を見るアンクの視線に険が混じる。ごめんちょっとその目、ゾクッとくるんだけど。
「…っなんかさ、昨日のアンクの姿とか思い出してたらムラムラしてきちゃって」
「はぁ!?何言ってんだテメェ!」
「俺にだって欲望くらい、あるって…」
言わなかったっけ、と囁いて、耳たぶを軽く噛んでやった。
ここまで露骨にされて、アンクが誘いに乗らなかったことはないから…その辺はやっぱり欲望の塊なんだなぁ、なんて思う。
ついでに腰や首筋なんかを軽く撫でてやれば、元が敏感なアンクはすぐに甘い吐息を漏らした。
「しょうがねーから付き合ってやるけど…痛くすんなよ」
夜だけドSになりやがって、と憎まれ口を叩く口を軽く塞いで、俺はアンクの服を脱がしにかかった。


『206』‐4



朝日が差し込む部屋をすり抜けるようにして浴室に入り、僕は溜息を吐いた。
今までに見た姿や昨日のビジョンから考えて、彼が命を絶ったのがこの浴室であることは明らかだ。
びっしょりと掻いていた汗でべとつく身体を、熱めのシャワーで流していく。
シャワーの温度を上げたのは目を覚ます為以外にも理由がある。
夜の間に見た彼の記憶と、できるだけ重ならないようにするためだ。
意識を共有した直後に同じ行動をすることは引きずられやすくなってしまう気がして、僕はいつも意図的にそれを避けていた。
それでも、彼の想いは…記憶は、かなり強烈だった。

あの、浴室でナイフを振るう記憶が強すぎて、他の記憶が殆ど再生されないのだ。
おかげで僕は一晩中、あの紅と暗闇の記憶を見続ける羽目になった。
けれどそれは、彼がそれだけその記憶に縛られていることの証明でもある。
断片的に見えた他のことが、ひどく曖昧になってしまうくらいに彼は…苦しんでいる。

ミルクティー色の髪をした、優しげな少女の姿。

彼の視点から見えたもので、唯一優しいのはその少女だった。

他には、学生服の少年たち。
校舎裏で取り囲まれる記憶。
体育倉庫や教室、揺れる視界。

それらが死の記憶の中に、フラッシュバックするようにちりばめられていた。

明確なのは、あの優しい少女が「妹」だってこと、それから、
彼を自殺にまで追い込んだ原因は恐らく、いじめ…それも相当、悪質で酷いものだったんだということ。

そこまで考えてふと自分の腕を見た僕は、危うく悲鳴を上げそうになった。

左腕が、真っ赤に濡れていた。

慌ててシャワーを当てて洗い流すと傷なんて何処にもなくて、僕は安堵の息を吐く。
振り返ると彼がいた。
此処で見る彼はそのときの、
死んだ時そのままの姿なのだろう。
真っ赤に染まったシャツ、血の滴る左腕。
顔にまで飛び散った血痕は、彼がナイフを何度もなんども振り下ろした結果なのだろう。

『……たすけて』

蚊の鳴くような微かな声で、彼は懇願する。

『…たすけて……』

今にも泣いてしまいそうな彼の瞳が切なくて、僕は彼を腕の中に抱き込んだ。
触ることが出来るなんて思わなかったんだろう、彼が驚いたように目を見開く。

「君の…名前を教えて?」

「今日から、君がこんなになった理由を調べるから」

「君のことが、知りたいんだ…」

死者を相手に、こんなに必死で語りかけたのなんて初めてだ。
それは、そう。
恋、に似ていた。

彼の姿が歪む。
怯えた瞳が僕を見て、薄れていく。

「隠れないでっ…君の」

『………ルルー…シュ……』


ぽた、と半透明になってしまった彼の瞳から、一滴の血が流れ落ちる。

涙を流せないらしい彼は、血でそれを表現したらしかった。

『…ルルーシュ……』

もう一度そう呟いて、彼は腕の中からすり抜けて消えてしまった。

ルルーシュ。
それが彼の名前なら。


調べるべき内容を整理しながら、僕は出しっぱなしだったシャワーに向き直る。

ルルーシュ。
僕が君を、助けてみせるよ。


浴室の中には、真新しい血のにおいが漂っていた。




【電 王】ももりゅう☆きっす

「モモタロスー、くまちゃん知らない?」
ある晴れた朝、リュウタロスが言いました。
他のイマジンは愛称で呼ぶのに、未だにモモタロスは呼び捨てです。モモタロスは不機嫌に知らねぇよと返しました。
「熊のことだからまた冬眠でもしてんじゃねェのかぁ?」
「でもぉ、部屋にも食堂車にもいなかったよ?」
いっしょに遊ぼうと思ったのに~、と段々リュウタロスも不機嫌になってきました。
「じゃあじゃあっ、かめちゃん知らない?」
リュウタロスは言い募ります。どうあってもモモタロスを遊び相手に選んではくれないようです。
モモタロスは更に不機嫌になってきました。
「知らねェよ!風呂で流されてんじゃねぇのか?」
「お風呂に入ってたのは正しいけど、流されてはいないなぁ」
突然割って入る声。流麗なる詐欺師様のご登場です。
モモタロスの不機嫌メーターがまたも上昇、否下降しました。実はモモタロス、朝からリュウタロスがじゃれついてきたのが結構嬉しかったのです。
それなのにリュウタロスは他のイマジンのことばかり探しているし、揚げ句の果てに今は邪魔でしかないウラタロスの乱入。
これで不機嫌にならなきゃおかしいとモモタロスは思いました。
「あ~っ、かめちゃん見ぃつけたっ!おっはよぉ!」
「おはようリュウタ。今日も元気みたいだねぇ」
のんびりと会話を始める二人に、今度はモモタロスの怒りメーターが上昇します。
「ちょっと待てカメ!小僧ォ!お前ら俺には挨拶のひとつもねぇのか、あァ!?」
沸点が低すぎるモモタロスの言葉に、ウラタロスは嫌々、リュウタロスはきょとんとして振り向きました。
「も~センパァイ、朝から怒鳴らないでくれる?」
「あれ、ぼくおはようって言わなかったっけ。」
かめちゃんには今言ったよね?と首を傾げるリュウタロスに、今度はウラタロスが溜息をつきました。
「リュウタ…まぁたセンパイにおはよう言うの忘れたの?」
センパイって結構細かいこと気にするタチなんだよねぇ。
そう言って頭を振るウラタロスに、モモタロスがまた怒鳴ります。現在のモモタロスの沸点はどうやら、室温より低い様子です。
「テメーも挨拶してねぇだろうが!もっとウヤマえ俺を!!」
嗚呼、モモタロスの苛々がMAXです。
怒りメーターを上げる理由はリュウタロスとの会話を邪魔されたからなのですが、そこは意地っ張りのモモタロス。口が裂けても言えません。
しかし、詐欺師様にはそんなこと、当の昔にお見通しでした。
「リュウタぁ、センパイ拗ねちゃったよ?リュウタがおはようのキスでもしてあげたら機嫌、直るかもねぇ?」
もちろん僕にもしてくれるよね?と付け加えて、ウラタロスはニヤリと笑います。
「え~っ?やだよぉ、なんでぼくが!」
空気を読まないお子様はもちろん反論しますが、そこは上手のウラタロス。
「ほ~ら、早くしないとこのテンションのセンパイと一緒に朝ご飯だよ?」
落ち着いて食べられないのは嫌だよねぇ?と意味深な笑みを浮かべて、リュウタロスを促してみせました。
抗議しようとしていたらしいリュウタロスは頬っぺを軽く膨らませると、「わかったよ~」と渋々頷きます。
勿論おはようのキスなんて日常ではしていないのですが、お子様は詐欺師の策略にまんまと流されてしまったようです。
「おはよ、モモタロスっ」
ちゅっ。
左の頬っぺに小鳥がついばむようなキスをされて、モモタロスは一瞬にして石化してしまいました。
ウラタロスの乱入に苛ついていた心が良い感じにお花畑です。
リュウタロスのくちびるが触れた頬っぺたに手を当てて、モモタロスは至福を味わっていました。
『間もなく朝ご飯の時間でーすっ。オナカが空いている方は急いで食堂車に集合しましょー!』
「あーっ、ゴハンだぁっ!」
朝食の時間を告げるナオミちゃんの車内放送に、キスの余韻などどこ吹く風でリュウタロスが駆け出します。
ぴょこぴょこと走っていく小さな背中を見送って、ウラタロスはまだ石化状態が解けていないモモタロスをちらりと見遣りました。
「僕の分のキス、貰い損ねちゃったなぁ。」
はぁ~、とまた溜息をついて、ウラタロスも食堂車へと歩きだします。
「センパイだけが幸せそうなのって、なーんか割に合わないよねぇ…」
食堂車に続くドアが開いて、また閉まってもモモタロスは硬直したままでした。
本人は気付いていないけれどデンライナー組がみんなして、リュウタロスを取り合っている状況の中。
リュウタロスからのかわいらしいキスを貰ったモモタロスは、今日の運勢は最高に違いないと確信していました。
そして幸せに浸っていたモモタロスは、朝ご飯を食いっぱぐれてしまうのでした。


おしまい。





>も も り ゅ う
が、かわいくかけた!かめちゃんが貧乏くじでした。