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『ツキアカリイノリウタ』5~フユノウミハ~



『ツキアカリイノリウタ』5~フユノウミハ~



既にメールや電話の送受信、発信履歴はルルーシュの名で埋まっていた。
昼間ギターの練習をして、合間にメールを送る。
夜は直接会うか、無理ならば電話で話をする。
そんな日々を送るようになって、気付けば年末…12月30日を迎えていた。
『大晦日って予定ある?』
たった今送信したメールが、これだ。
ルルーシュのメールレスポンスは、早い。数分で返事が返ってきた。
『特にはない。家族も出掛けるって言ってるし』
『じゃあさ、夜海に行こうよ。初日の出見よう!』
『広い場所で歌うのも、気持ちいいかもしれないよ!』
暫くの沈黙の後、携帯がぶるぶると震えた。電話の着信だ。
『…もしもし、スザク?』
「あ、うん…ごめん、迷惑…だった?」
『そうじゃない、大晦日から元旦って、お前こそ家族と…』
心配そうな声が、スザクの家族を気遣ってくれている。
「…僕は大丈夫だよ。」
部活以外家に閉じこもってることの多い僕が友達と出掛けるなんて、逆に喜ぶと思う。
そう言うと、溜息の後に微かに笑う気配がした。
『変わった…家だな。俺の方は問題ないから、明日の夜…行くか?』
「……!う、うんっ!待ち合わせはいつものとこで良い、よね?」
『ああ』
電話を切って、どきどきする胸を押さえる。
大晦日から初日の出、二年越しでルルーシュと居られる…彼の歌も、聴くことができる。
スザクの機嫌は鰻登りの状態だった。
ルルーシュにも言ったが、家族を説き伏せるのは難しいことでもないし信頼だってある。
「ここから一番近い海っていうと…」
笑顔のまま地図を取り出して、スザクはうきうきと頁を捲った。
中学生が行ける範囲は限られてくるし、なるべく人の少ないところが良いのだけれど。
「ここ…かな」
目星をつけた場所へのアクセスを携帯で検索して、メモを取るとスザクはギターの練習に戻った。

大晦日。世間が大掃除だ年越しだと騒がしい中、スザクは一心不乱にギターの練習に打ち込んでいた。
待ち合わせの時間は八時半、それまでに基本コードだけでも頭に入れておきたかった。
ルルーシュの歌と…一緒に演奏するために。

やがてあたりは暗くなり、時刻は八時を指す。
少し早いけれどとスザクは予め荷物を詰めておいたリュックを手に家を出た。
—まだ中学生なんだから気をつけなさいよ?
—何度も言ってるだろ?友達と一緒だから大丈夫だよ。
出掛けに交わした母親との会話を思い出し、小さく笑う。過保護なわけではないが、子供にとってはこういう時の親とは欝陶しいものだ。
いつも待ち合わせている街路燈までの十数分を歩いている最中、スザクはどうしても上手く弾けないコードをルルーシュに尋ねてみようと考えていた。
ギターそのものは持って来てはいないが、教本は持って来た。
ルルーシュに尋けば、コツくらいは掴めるかも知れないと何となく思えていた。

八時半、時間ぴったりにルルーシュはやってきた。心なしか、いつもよりも荷物が多い。
スザクの姿を見付けると、ルルーシュは少し嬉しげな顔をして歩み寄ってきた。
「早かったな…意外と几帳面、なのか」
「意外とは余計だよ。楽しみにしてたからさ…」
ちょっと早く来ちゃって、と笑って見せると、ルルーシュが苦笑する。
「俺の方は…少し準備に手間取って、な」
海で年を越すなら寒いだろうと思って、そう言ったルルーシュは確かにいつもはしていないマフラーを巻いていて、白いカシミアのそれは彼にとてもよく似合っていた。
「スザクも、今日は少し重装備だな…」
ふわりとマフラーを揺らして、ルルーシュが微笑む。
スザクが着ているのは相変わらずダウンだが、今日着ているのはロング丈のものだ。黒いコートを基調としているルルーシュに合わせたつもりだったが、可笑しかっただろうか。
「…似合ってるよ」
心を見透かしたように、ルルーシュが呟く。
「電車が混む…早く行こう」
「う、うん…」
どうも、ルルーシュの機嫌は良いようだった。
大晦日に外で過ごすことが、嬉しいのかも知れないとスザクは思う。
彼の足どりが、何処と無く軽やかだったから。
自然と笑顔になりながら、スザクも歩き出した。


電車とバスを乗り継ぎ、静かで暗い海辺に着いたのは大分遅い時間だった。
尤も、日の出を見るつもりで来たのだから遅い分には構わないのだが…
海岸沿いの小道、スザクはルルーシュに尋ねようと思っていたギターのコードを思い出す。
「ね、ルルーシュ。ギターのコードでよくわからないのがあるんだけど…」
「ギターで?」
本当に練習していたのかと、ルルーシュの眼が柔らかな笑みを宿す。
でも、と彼はくるりと背を向けて海岸へと歩き出した。
「朝まで居るんだ、時間はいくらでも…あるだろう?」
そう言って、砂浜に置かれたベンチ…正しくはただのブロックなのだろうが、其処に腰を下ろす。
「お前も座ったらどうだ?朝まで、立っているつもりなのか」
柔らかなテノールに呼ばれてスザクも隣に…寒さの中、雛鳥みたいに身体をくっつけて座った。
二人の体温で温め合うように。
「なんかさ、船とか待ってるみたいだね」
「船…?」
そう、とスザクは遠い水平線を指差す。
「あっちの方から大きな船が来てさ、僕ら遠く…遠くに行くんだ」
くすり。
肩を密着させたまま、ルルーシュが小さく笑いをこぼす。
「…笑わないでよ」
急に照れ臭くなって目を逸らすと、彼は笑いをおさめて遠くを見詰めるように呟いた。
「それも…いいかも知れないな」
振り向くと、ルルーシュはスザクが指差していた方向を見ていた。
「誰もいない、誰も俺達を知らない…そんな場所で歌うのも、良いかも知れない。…お前となら」
「っ………!」
暗闇の中、僅かに白く浮かぶ彼の、ルルーシュの顔が声が酷く綺麗で、スザクは言葉に詰まる。
お前となら、と言ってくれた…彼と彼の歌と、共に在っても良いのだろうか。
暫く、沈黙が続いた。
けれどそれは重苦しいものではなく、寒い海辺に居るというのに優しく温かいものだった。
「そういえば…弾けないコードが有るって、言ってたな」
ふと思い出したように、ルルーシュが呟く。
「お前なら指も長いから、弾けないことはないと思うんだが…」
猫のように小首を傾げて、ルルーシュが問う。紫水晶の瞳が、遠くにある明かりに煌めいて見えた。
「うん、右手と左手で違う動きするのは何とかなったんだけど…弦を押さえる指が結構難しくて」
内心少しどぎまぎしながらも左手で、うまく弾けないコードの形を示す。
「指が長いから、って言ってるだろう?」
俺はギターはあまり得意じゃないが、と前置きして、ルルーシュは繊細な指先でコードの形を示して見せた。
「全部の指で違う動きをできるようにする。其処から始めればいい」
手を動かす練習をしていれば出来るようになるんじゃないかと、言ってからルルーシュは再度呟く。
「…俺は、ギターは得意って訳でもないけどな」
「うー…ルルーシュならコツくらい伝授してくれるかと思ったのに」
眉を顰めて指をわきわきと動かしてみるスザクに、ルルーシュは自分の力でやってみろと言って、微笑んだ。
そして、鞄の中から金属製の水筒を取り出す。
「指が冷えてたら、練習も何も無理だろう?」
カップになっている蓋を受け取ると、其処に注がれたのは温かい湯気の立つ紅茶だった。
これをいれてたから遅くなったんだと苦笑して、もう一つのカップに紅茶を注ぐ。
「普通なら、酒でも持って来るんだろうが…」
そう呟くルルーシュを見ながら紅茶を一口飲んでみて、スザクは目を丸くした。
「でもこれ…お酒の味がするよ?」
仄かな甘味と、深い香り。普通の紅茶じゃないのと目で尋ねると、ルルーシュは目を細めて頷いた。
「少しだけど、蜂蜜とブランデーを入れてあるんだ。身体が温まるように」
「…紅茶にそんな飲み方があるなんて、知らなかったよ」
ルルーシュはなんでも知ってるんだね。スザクがそう言えば、そうでもないとルルーシュはまた、笑う。
日の出までの時間は恐らく五時間程。
スザクはふと、もう一つの目的を思い出した。
「…ねえルルーシュ、此処で、歌ってくれないかな?」
止むことの無い波の音を伴奏にした、ルルーシュの歌が聴きたかったのだ。
彼が好んで奏でるせつなげなメロディは、波と合わせたらきっと綺麗だと思っていた。
真っ暗な夜、スポットライトのような月明かりも今はないけれど。
「うた…か。俺も…歌いたいって、思っていた」
するりと、猫のような身のこなしでルルーシュが立ち上がる。
「この海とさっきのお前の言葉に、ぴったりな歌があるんだ」
ざわりと、海風がスザクとルルーシュの髪を揺らした。
歌って欲しいと囁くように。
ルルーシュは目を伏せ、息を吸う。
彼が歌い出すときの癖。
自然とスザクの耳は、その声を聴く態勢になっていく。
海風に乗せるように、それは始まった。

「冬の海は遊泳禁止で……」

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【R-18】アルコールと歪む愛憎


『アルコールと歪む愛憎』


彼に何があったのか。
何をしたいのか。
自分を責めたてることで、何を得ようとしているのか。
恐怖に霞む頭で、ルルーシュはそんなことを考えていた。
ホテルの一室、ベッドにすら寝かせてはもらえずに服を剥ぎ取られ、シャツで腕を縛り上げられて床に転がされ。
強引に開かされた脚の間でゆっくりと服を脱いだスザクは、酷くも優しい笑みを浮かべてルルーシュを見下ろしている。
その手には、備え付けの冷蔵庫から取り出したばかりのビール瓶。
彼がコップを用意しなかったことと、ルルーシュの秘部に指が押し当てられたことで、自分がこれから何をされようとしているのかがわかった。
わかってしまった。
「す、スザク…その、冗談…だよな…?」
恐怖に引き攣る声を、なんとか絞り出す。
いくらなんでもそんなことはと、スザクを信じたいと願う心が叫ぶけれど、彼はにっこりと残酷な微笑みを返してきた。冗談ってなんのこと?と、妙に無邪気な声で言う。
「だってルルーシュ、こっちのクチからならたくさん飲めるかも知れないでしょ?」
試してみようよ。
残酷な宣言に、ルルーシュは今度こそ絶望した。
「やっ…やだ、無理…嫌だっ……っ!」
身をよじって何とか逃れようとするルルーシュの腰を軽々と持ち上げて、スザクはそっとそこに瓶の口をあてがう。
そして、そのまま瓶の先端がナカに押し込まれた。
「ひっ…!いやあぁぁぁ…っ!!」
こぷこぷと、冷たい液体が胎内に注ぎ込まれる。
敏感な粘膜にびりびりと染み渡り刺激を与える、アルコールと炭酸。
「ひっ、あ、あァ…いや、ぁ…あぅ…イタ…っ」
スザクの熱を受け入れる時とはまた違う感覚に、ルルーシュは涙を零して喘いだ。
腸壁が急激にアルコールを吸収しているのか、すぐに意識が朦朧としてきて、同時に冷え切った腹部がぎりぎりと痛みを訴え始める。
瓶の中身を最後の一滴までもルルーシュの胎内に流し込んだスザクがそこから瓶を引き抜くと、ちゅぽ、といやらしく濡れた音が響いた。
「…ほら。全部飲めたじゃない?」
零したらもったいないよねと呟くスザクの手には、いつの間にかアナルプラグが握られていて。
「や、やだ…あっあ、ふ…つめたっ、や、だぁ…!」
止まない炭酸の刺激にびくびくと身を震わせながらのルルーシュの懇願は聞き入れられることなく、ずぷりと蕾にプラグが押し込まれる。
そっと腰がおろされると、今度は強烈な排泄感がルルーシュを襲った。
「っひ…!?や、おなか…冷たっ…痛いぃっ!」
身体中を痙攣させて、ルルーシュは悲鳴を上げた。
アルコールが回って赤くなった頬にくちづけを落としたスザクが、あは、と無邪気な笑い声を漏らす。
「ルルーシュ、ほら。可愛いおなかになったよ?」
見ればルルーシュの薄い腹部は、注ぎ込まれた酒に少し膨れて、孕んだばかりの女性を連想させるものと化していた。
きゅ、と指先で押されて、ルルーシュは圧迫感に悲鳴を上げる。
「やっ…いた、おなか、痛いっ…!も、出、させ、てぇっ……!」
腸が引き攣る痛みに、ふつふつと鳥肌が立つのがわかった。
スザクは愛おしむように膨らんだルルーシュの腹部を撫で、状況に合わぬ優しい笑顔を浮かべている。
「せっかく可愛くなったのに、もう出しちゃうの?」
残念だなぁと溜め息をついて、ふと思いついたように目を輝かせる。
「そっか、此処で…僕の前で、出すとこ見せてくれるんだね?」
「っ…え……?」
予想外のことば。トイレか、悪くても浴室に連れていってもらえると思っていたルルーシュは、ぴくりと身を強張らせた。
そんな、と声にならない呟きが漏れる。
蕾に突き立てられたままのプラグを抜けば、胎内に満たされたビールがきっと一気に排出される。
もしかしたら排泄物が混じるかも知れないそんな光景を、彼は、スザクは見たいと言うのだろうか?
「や…やだ、それは…それだけはっ…!ぅぁ、くぅっ……!」
嫌だと拒絶しようとして、襲いくる腹痛に顔を歪める。
なんだ見せてくれないのと、スザクは明らかに楽しんでいる様子で唇を尖らせて見せた。
「それじゃあ、しばらく我慢してるしかないね?」
にっこりと笑って、スザクはそう言った。
辛いつらいツライ。
でもここで、こんなところで排泄する姿を見られるよりはと、ルルーシュは唇を噛み締めた。
もしかしたら、少し耐えていれば飽きてくれるかもしれないと、淡い期待を抱いて。
けれど彼にはわかっていた。
こんな風に笑っているときのスザクは、ルルーシュの苦しむ姿を見飽きたりはしないのだと。


全身から汗が滲む。
こんな状態で放置されて、何分経つのだろう?
5分…10分?
アルコールに霞む頭では、もう堪えることが辛くなっている。
腹痛は、今はただ排泄衝動へと形を変えて腸内を駆け巡っていた。
冷え切ってしまった腹部を時折思い出したように圧迫してくるスザクの目が言っている。出してしまえと。プラグを抜いてと懇願してみろと。
プライドは、もう、保てそうになかった。
「……ぃて…」
震える唇を、必死で動かす。
「これ、抜いて…ここで、すぐ、出させて…っ!」
吐き気がするほどの屈辱に涙が溢れたが、堰を切ってしまった衝動と懇願はもう、止められない。
「お願い、だから…させてっ…!もぉ、しんじゃう…!」
よく言えましたとばかりにスザクがにっこりと笑い、無造作に蕾からプラグを引き抜く。
一瞬、間があいて、
「っくぁ…んあぁぁぁぁあっ!!」
体温でぬるくなったビールがそこから噴き出して、見つめているスザクの足を汚した。
噴水のような勢いで溢れたそれは当然のように排泄物が転々と混じっていて、ルルーシュは霞む思考の中で絶望する。
「…可愛かったよ、よくできました。」
後で掃除するの大変だろうけどね、と悪びれた様子もなく呟いて、スザクは脱力しているルルーシュの脚を抱え上げた。
え、と声を出す間もなく、スザクの熱い楔が蕾を押し開き、めり込んでくる。
「んくっ…ん、んん…ふあぁんっ…!」
酔った頭では、突然与えられた快楽に耐えられよう筈もなかった。
「あっ、あ…あんっ!ひっ、あぁ、あっ!」
弛緩した唇から喘ぎと唾液を漏らし、ルルーシュは奈落のような快楽に酔った。
一向に萎えてこないスザクの性器は敏感になったルルーシュの胎内をえぐり続け、何度も何度も精子が注ぎ込まれる。
ぐちゅっ、ぐちゃっ、と精液が泡立つ音が部屋に響き、感極まったようなルルーシュの叫びが華を添える。
「あっ!あぁっあ…!はぁあんっ!も、イっく…イっちゃ…ひぃぃんっ!」
幾度目かわからない絶頂の直後、ルルーシュは急速に遠ざかっていく意識に気付いた。
ルルーシュ、ルルーシュ、と何度も名前を呼んでくれるスザクの声が、ひどく、遠い。
「あぁ、ぁぅ…ごめ、スザ、ク…もぉ…俺」
呟きながら、ルルーシュの意識は闇に沈んだ。
胎内に精液が注ぎ込まれた、その感覚を最後に。



くたりと力を失ったルルーシュの腕を戒めるシャツを解き、スザクはそっと精液に汚れた痩身を抱き起こした。
それまで、たった今まで続けていた激しい行為の疲れさえ感じさせない優しい手つきで黒髪を撫で、唇を重ねる。
そして、詫びるように、縋るように意識を失った身体を抱きしめて。
「愛してるよ…ルルーシュ……」


呟きは、部屋にたちこめる酒と精液の臭いにまぎれて消えた。