【電 王】ももりゅう☆きっす | geteiltさんのブログ

【電 王】ももりゅう☆きっす

「モモタロスー、くまちゃん知らない?」
ある晴れた朝、リュウタロスが言いました。
他のイマジンは愛称で呼ぶのに、未だにモモタロスは呼び捨てです。モモタロスは不機嫌に知らねぇよと返しました。
「熊のことだからまた冬眠でもしてんじゃねェのかぁ?」
「でもぉ、部屋にも食堂車にもいなかったよ?」
いっしょに遊ぼうと思ったのに~、と段々リュウタロスも不機嫌になってきました。
「じゃあじゃあっ、かめちゃん知らない?」
リュウタロスは言い募ります。どうあってもモモタロスを遊び相手に選んではくれないようです。
モモタロスは更に不機嫌になってきました。
「知らねェよ!風呂で流されてんじゃねぇのか?」
「お風呂に入ってたのは正しいけど、流されてはいないなぁ」
突然割って入る声。流麗なる詐欺師様のご登場です。
モモタロスの不機嫌メーターがまたも上昇、否下降しました。実はモモタロス、朝からリュウタロスがじゃれついてきたのが結構嬉しかったのです。
それなのにリュウタロスは他のイマジンのことばかり探しているし、揚げ句の果てに今は邪魔でしかないウラタロスの乱入。
これで不機嫌にならなきゃおかしいとモモタロスは思いました。
「あ~っ、かめちゃん見ぃつけたっ!おっはよぉ!」
「おはようリュウタ。今日も元気みたいだねぇ」
のんびりと会話を始める二人に、今度はモモタロスの怒りメーターが上昇します。
「ちょっと待てカメ!小僧ォ!お前ら俺には挨拶のひとつもねぇのか、あァ!?」
沸点が低すぎるモモタロスの言葉に、ウラタロスは嫌々、リュウタロスはきょとんとして振り向きました。
「も~センパァイ、朝から怒鳴らないでくれる?」
「あれ、ぼくおはようって言わなかったっけ。」
かめちゃんには今言ったよね?と首を傾げるリュウタロスに、今度はウラタロスが溜息をつきました。
「リュウタ…まぁたセンパイにおはよう言うの忘れたの?」
センパイって結構細かいこと気にするタチなんだよねぇ。
そう言って頭を振るウラタロスに、モモタロスがまた怒鳴ります。現在のモモタロスの沸点はどうやら、室温より低い様子です。
「テメーも挨拶してねぇだろうが!もっとウヤマえ俺を!!」
嗚呼、モモタロスの苛々がMAXです。
怒りメーターを上げる理由はリュウタロスとの会話を邪魔されたからなのですが、そこは意地っ張りのモモタロス。口が裂けても言えません。
しかし、詐欺師様にはそんなこと、当の昔にお見通しでした。
「リュウタぁ、センパイ拗ねちゃったよ?リュウタがおはようのキスでもしてあげたら機嫌、直るかもねぇ?」
もちろん僕にもしてくれるよね?と付け加えて、ウラタロスはニヤリと笑います。
「え~っ?やだよぉ、なんでぼくが!」
空気を読まないお子様はもちろん反論しますが、そこは上手のウラタロス。
「ほ~ら、早くしないとこのテンションのセンパイと一緒に朝ご飯だよ?」
落ち着いて食べられないのは嫌だよねぇ?と意味深な笑みを浮かべて、リュウタロスを促してみせました。
抗議しようとしていたらしいリュウタロスは頬っぺを軽く膨らませると、「わかったよ~」と渋々頷きます。
勿論おはようのキスなんて日常ではしていないのですが、お子様は詐欺師の策略にまんまと流されてしまったようです。
「おはよ、モモタロスっ」
ちゅっ。
左の頬っぺに小鳥がついばむようなキスをされて、モモタロスは一瞬にして石化してしまいました。
ウラタロスの乱入に苛ついていた心が良い感じにお花畑です。
リュウタロスのくちびるが触れた頬っぺたに手を当てて、モモタロスは至福を味わっていました。
『間もなく朝ご飯の時間でーすっ。オナカが空いている方は急いで食堂車に集合しましょー!』
「あーっ、ゴハンだぁっ!」
朝食の時間を告げるナオミちゃんの車内放送に、キスの余韻などどこ吹く風でリュウタロスが駆け出します。
ぴょこぴょこと走っていく小さな背中を見送って、ウラタロスはまだ石化状態が解けていないモモタロスをちらりと見遣りました。
「僕の分のキス、貰い損ねちゃったなぁ。」
はぁ~、とまた溜息をついて、ウラタロスも食堂車へと歩きだします。
「センパイだけが幸せそうなのって、なーんか割に合わないよねぇ…」
食堂車に続くドアが開いて、また閉まってもモモタロスは硬直したままでした。
本人は気付いていないけれどデンライナー組がみんなして、リュウタロスを取り合っている状況の中。
リュウタロスからのかわいらしいキスを貰ったモモタロスは、今日の運勢は最高に違いないと確信していました。
そして幸せに浸っていたモモタロスは、朝ご飯を食いっぱぐれてしまうのでした。


おしまい。





>も も り ゅ う
が、かわいくかけた!かめちゃんが貧乏くじでした。