不可思議な夢
こんなはずじゃなかったのに
そんな言い訳は通用しない
羽を捥がれた天使たち
幸せそうに地を歩く
そんな姿に疑問を抱き
僕は不可思議な夢に堕ちる
昔のことは忘れてしまえばいい
そんな楽天的な考えには
とうていなれそうもないけれど
こんな夢を見るくらい
僕は強欲なのかも知れない
毎日夜が黒猫のように忍び寄り
その瞳が月となり
あたりは不可思議な眠りに堕ちる
時計仕掛けの僕は
ただそのときを待つだけ
同じように眠り
同じように目覚めるだけ
羽を捥がれた天使たち
その美しい姿に魅せられて
独りぼっちの僕は叫ぶ
不幸とはなんなのか
僕にはとうていわかりそうもない
そして僕は不可思議な夢に落ちる
あなたのいない部屋
どこか知らない場所で空を見て泣くあなたを
愛おしく想いながら今でも時間は過ぎ行く
確かにこの手に降る雪は
暖かな風の中でもまだ白い
僕の心に積もる
これはきっとあなたの涙
薄く懐かしい色を溶かした夕暮れを
いつか二人の手の中に閉じ込めて
永遠に離れないように・・・
そう願ったのは遥か彼方
今でもこの手の中には
寂しい暖かさだけが残っている
あなたを探しに行けたら
どこまでも行くのに
僕の身体が尽きるまで探し続けるのに
呼んでいる声が今でも身体中を響き渡る
そんな虚しさが僕を押しつぶしそう
月明かり照らされて微笑んだあなたが綺麗で
ずっと忘れないよ
そうつぶやいたのはきっと夢かな?
また二人で抱き合えたなら
この宇宙も飛び越えて
煌く時間を止めて
ずっと溶けていられるのに
あなたを探しに行けたら
どこまでも行くのに
あなたの居ない心は冷たすぎて
身体が震えている
そんな凍えるような孤独が僕を押しつぶしそう
lost end
乾ききった僕はその身体を潤したくて
目に見えるものすべて吸い込んだ
巡る情報に目が眩み足元も覚束ない
それでもまだ乾いている
ただそれが苦しくて
明日の空はきっと焼け焦げて
街は廃墟になってるだろう
そんな恐ろしい争いの記憶さえも
僕は貪欲に吸い込んでゆく
人々の叫び声が僕の中を濁していく
ただ必ず朝はやってくる
永遠の終わりなどやってこない
僕らは死に向かって生きている
僕がわかったのは
それだけだった
なすすべも無くその恐ろしい光景を眺め
早く終われと願うばかりで
命が落ちないことだけを祈る
そんな弱小な生き物でも
僕らは神様を信じている
ただ今宵も静けさはやってこない
暗がりの中どこかで響く鈍い音
砕け散る火の粉と
ばらばらに散り行く星
そんな中で僕はまた
明るい世界を夢見て眠る
乾ききった僕の身体が
何もかも吸い込んで
新しい朝の光を
思い切り吸い込んで
僕が土に帰る日は
誰かの笑顔が生まれる日
そんなことを夢見て眠る