GET LOST! -35ページ目

不可思議な夢

こんなはずじゃなかったのに
そんな言い訳は通用しない
羽を捥がれた天使たち
幸せそうに地を歩く
そんな姿に疑問を抱き
僕は不可思議な夢に堕ちる


昔のことは忘れてしまえばいい
そんな楽天的な考えには
とうていなれそうもないけれど
こんな夢を見るくらい
僕は強欲なのかも知れない


毎日夜が黒猫のように忍び寄り
その瞳が月となり
あたりは不可思議な眠りに堕ちる


時計仕掛けの僕は
ただそのときを待つだけ
同じように眠り
同じように目覚めるだけ


羽を捥がれた天使たち
その美しい姿に魅せられて
独りぼっちの僕は叫ぶ
不幸とはなんなのか
僕にはとうていわかりそうもない
そして僕は不可思議な夢に落ちる

あなたのいない部屋

どこか知らない場所で空を見て泣くあなたを
愛おしく想いながら今でも時間は過ぎ行く
確かにこの手に降る雪は
暖かな風の中でもまだ白い
僕の心に積もる
これはきっとあなたの涙


薄く懐かしい色を溶かした夕暮れを
いつか二人の手の中に閉じ込めて
永遠に離れないように・・・
そう願ったのは遥か彼方
今でもこの手の中には
寂しい暖かさだけが残っている


あなたを探しに行けたら
どこまでも行くのに
僕の身体が尽きるまで探し続けるのに
呼んでいる声が今でも身体中を響き渡る
そんな虚しさが僕を押しつぶしそう


月明かり照らされて微笑んだあなたが綺麗で
ずっと忘れないよ
そうつぶやいたのはきっと夢かな?
また二人で抱き合えたなら
この宇宙も飛び越えて
煌く時間を止めて
ずっと溶けていられるのに


あなたを探しに行けたら
どこまでも行くのに
あなたの居ない心は冷たすぎて
身体が震えている
そんな凍えるような孤独が僕を押しつぶしそう

lost end

乾ききった僕はその身体を潤したくて
目に見えるものすべて吸い込んだ
巡る情報に目が眩み足元も覚束ない
それでもまだ乾いている
ただそれが苦しくて


明日の空はきっと焼け焦げて
街は廃墟になってるだろう
そんな恐ろしい争いの記憶さえも
僕は貪欲に吸い込んでゆく
人々の叫び声が僕の中を濁していく


ただ必ず朝はやってくる
永遠の終わりなどやってこない
僕らは死に向かって生きている
僕がわかったのは
それだけだった


なすすべも無くその恐ろしい光景を眺め
早く終われと願うばかりで
命が落ちないことだけを祈る
そんな弱小な生き物でも
僕らは神様を信じている


ただ今宵も静けさはやってこない
暗がりの中どこかで響く鈍い音
砕け散る火の粉と
ばらばらに散り行く星
そんな中で僕はまた
明るい世界を夢見て眠る


乾ききった僕の身体が
何もかも吸い込んで
新しい朝の光を
思い切り吸い込んで
僕が土に帰る日は
誰かの笑顔が生まれる日
そんなことを夢見て眠る