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猪瀬知事「標準時を2時間早める」。ロシア人、ウイグル人の気持ちがわかるかも

 今日はヒマねたで。
 猪瀬東京都知事が、日本の標準時を2時間早めることを提案したというニュース がありました。


 これ自体は、実現可能性ゼロのどうでもいいニュースです。
 金融市場だけのために日本人全員の生活に大きな影響を与える標準時の変更など、理解が得られるわけがありません


 ただ、私は中学生の頃から地図帳は標準時のページを最初に読むという標準時マニアなので、ちょっと食いついてみたくなりました。


 標準時の図を熟読していると、いろいろ疑問がわいてきて興味が尽きません。
 今回は、私が標準時について長年疑問に思っていた小ネタを吐きだしてみます。


http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/a/ad/Standard_time_zones_of_the_world.png
霞が関公務員の日常



1.ロシアはなぜか2時間早い
 ウラジオストクは、日本の広島あたりの経度なのですが、日本より2時間早い時間(グリニッジ標準時+11時間)を使っている。
 それだけじゃなくてロシア全土が、経度から普通に計算される時間より、だいたい2時間早い時間を使っている。何でだろう。


 サンクトペテルブルク 東経30度(+2.0時間)   +4時間
 モスクワ         東経38度(+2.5時間)   +4時間
 エカテリンブルク    東経61度(+4.0時間)   +6時間
 ノボシビルスク     東経83度(+5.5時間)   +7時間
 クラスノヤルスク    東経93度(+6.2時間)   +8時間
 イルクーツク      東経104度(+7.0時間)  +9時間
 ウラジオストク     東経132度(+8.8時間) +11時間


(※)「東経〇度」の後ろの括弧内の「+〇時間」は、経度を15で割ってグリニッジ標準時より〇時間分早い場所にあるという数字。実際の標準時との差を見てください。


 つまり、猪瀬知事の提案は、ロシアと同じことをするということですね。


 ちなみに、私がいま持っている5年前の地図帳では、ロシアが早いのは1時間。これは昔からそうで、長年の疑問でした。
 さらにその差を2時間にしたのは、2011年から。「冬の朝がつらい」「欧州サッカーの試合が深夜になる」など、不満続出 のようです。



2.中国には標準時は1つしかない。しかも北京時間
 中国って、経度的には標準時を3つに分けるのが普通なのに、1つしかない。
 しかも、真ん中の四川省あたりの時間に合わせりゃいいのに、よりによっていちばん東の北京の時間に合わせてる。ウイグルの人がかわいそうだよね。


 猪瀬知事の提案を実行すると、ウイグル人の気持ちが味わえるのですね。


 北京     東経116度(+7.8時間) +8時間
 ウルムチ  東経88度(+5.9時間)  +8時間


(なお、シルクロード好きの私の友人によれば、ウイグルでは北京より2時間遅れのウイグル時間を使う風習もあるらしい。へぇー)



3.ヨーロッパ大陸は基本的に同じ時間。ポルトガルだけ仲間外れ
 東はスウェーデン、ポーランド、旧ユーゴスラビア、西はフランス、スペインまで、同じ時間(グリニッジ+1時間)を使っている。


 フランスやスペインは、経度的にはイギリスと同じ時間にする方が自然なのに、大陸は同じ時間の方が便利なのでしょうか。
 ポルトガルだけがぽつんとイギリスと同じ時間なのが、何か寂しいです。


 パリ     東経2度(+0.1時間)  +1時間
 マドリード  西経4度(-0.3時間)  +1時間
 リスボン   西経9度(-0.6時間)  ±0時間


 つまり、フランスやスペインでも、ロシアと同じように標準時を1時間早めたのと同じことが起きているのですね。
 なお、夏はサマータイムのため、そこからさらに1時間早めることに。



4.アルゼンチンもなぜか1時間早い
 ブエノスアイレス  西経58度(-3.9時間) -3時間


 ブエノスアイレスはアルゼンチンの東端で、国土のほとんどは西経60度より西。
 それなのに、なぜか全土で-3時間を採用しています。何でだろう。



5.全体的に早めの時間にしている場所が多い
 標準時の地図全体を俯瞰的に眺めると、経度から普通に計算される時間よりやや早め(東)の時間にしている場所が多い気がします。


 上に貼り付けた地図で西から順に見ていくと、


 アラスカは経度的にはほとんどが-10時間のエリア内なのに、-9時間。
州都のジュノーが-9時間のエリアにあるためでしょうか。


 アメリカのテキサス州、カナダのサスカチュワン州、メキシコシティは経度的には-7時間のエリアなのに、-6時間。
 同様に-5時間の標準時も、経度的な西端となるはずの西経82.5度より西側でもだいぶ使われている(五大湖のあたり)。

霞が関公務員の日常 ←「五大湖」のイメージ画像


 アフリカでも、±0時間を使っているセネガルやモーリタニア、+1時間を使っているアルジェリアやナイジェリア、+3時間を使っているスーダンやタンザニアは、経度的にはもう1時間後ろの方が自然。


 こういう丸々1時間ずれている国・地域だけでなく、どちらを使ってもよさそうな微妙な地域でも、軒並み早い(東)方の標準時を使っている印象。

 逆に、遅め(西)の時間を使っている地域は皆無。

 日本は+9時間ですが、東経135度が通る兵庫県明石市は、日本の中心よりやや西。国の中心より西寄りの時間を使っている珍しい国という印象です。

 そういう意味では、猪瀬知事の提案も、必ずしも的外れではないのかもしれませんね。(2時間はさすがにないだろうと思うが、1時間なら)




 ということで、標準時マニアが猪瀬知事に釣られてみました。


 皆さんもぜひ、地図帳の標準時のページを熟読してみてください。いろいろ発見があって、興味が尽きないと思います。

歴史認識、慰安婦問題に関する私の考え

 歴史認識問題とか、慰安婦問題とか、いろいろ物議をかもしていますね。
 「誰が何を言った」系のニュースにも思うことはありますが、よく知らない他人の発言を云々するのは好きではないので、自分の考えだけ書いておきます。


 「これが正しい」と主張したいわけではなく、自分の現時点での考えを備忘録的にまとめたものです。



Q1歴史認識問題について、基本的にどのように考えるか


A1.日韓併合、満州事変、日中戦争はいずれも、相手国に対する不当な侵略行為であったと考える。謝罪すべき立場にあるのは当然のことと思う。
 ただし、賠償は解決済。つまり「本当に申し訳なかった。心からおわびする。(これ以上お金を払うつもりはないけど)」と言えばいいということ。



Q2.もう何十回も謝罪している。まだ謝罪が必要なのか


A2.「日本は悪くなかった」という発言をする政治家が何度も現れ、本当に謝罪の意思があるのか疑われる限り、謝罪が求められ続けるのは避けられないと思う。
 これ以上謝罪をしたくないなら、有力政治家は謝罪の意思を否定するような発言をやめた方がいいと思う。


 その点、村山談話、河野談話は絶好の武器。
 「村山談話のとおり」「河野談話のとおり」と言い続ければ、謝罪の意思は否定しない一方で、繰り返し「ごめんなさい」とは言わずに済む。その結果、近隣諸国からの謝罪要求も出てこなくなる。この2つの武器を徹底的に使い倒すべき。



Q3.日韓併合は「植民地支配」ではなく、日本本土への併合であり、その結果、韓国の利益にもなったのではないか。また、満州事変や日中戦争は、学術上「侵略」とは確定されていないのではないか。


A3.私は学術上も「植民地支配」「侵略」に該当すると思うが、それ自体は政治的にはさして重要ではない
 「申し訳ない、謝罪に値する」行為であったかどうかが、政治的には問題の本質。


 「申し訳ない、謝罪に値する」と考えているのであれば、政治的には、些細な学術上の問題にこだわるのではなく、「申し訳なかった。謝罪する」とだけ言うべき
 学術上の問題を学問の世界で解決することも有益ではあるが、それで政治がやるべきこと(謝罪)は何も変わらない。



Q4.「植民地支配」「侵略」という学術上の論争ではなく、そもそも「申し訳ない、謝罪に値する」行為ですらなかったのではないか。


A4.私は「申し訳ない、謝罪に値する」行為だったと思うが、そういう意見もあることは否定しない。仮にその意見が成立すれば、政治的にも謝罪する必要はなくなるので、大きな意味がある。


 ただ、これは日本国内で議論していても無意味。諸外国(アメリカ、ヨーロッパ、アジア)にそういう論争を仕掛け、勝ってはじめて意味がある。


 日本の政治家には、そういう徹底論争を仕掛ける人はいないように見える(いったん仕掛けても、アメリカで旗色が悪くなるとすぐに村山談話に逃げ込む)。
 だとすれば、この意見は負け犬の遠吠えでしかない。

霞が関公務員の日常 ←「遠吠え」のイメージ画像


 そもそも、歴史認識論争は、国際的にはどう考えても、戦争に負けた日本にとって不利な場。
 中国・韓国は、不利な領土問題を有利な歴史認識論争とつなげる戦略をとっているのだから、日本は「不利な歴史認識ではひたすらお詫び、でもそれは領土とは無関係」という戦略をとった方が有利だと思う。



Q5村山談話、河野談話は事実も確定していないのに、自虐的な表現で日本をおとしめており、問題ではないか。


A5.まずは、村山談話河野談話 の全文を読んでみてください。


 村山談話は、全体の中でお詫びはごく一部分で、未来に向けた誓いというトーンが色濃く出ている。また、なかなか格調高い文章でもあります。
 全文を通読すると、意外なほど「自虐」というイメージからは遠い。


 河野談話は、前半の「強制」「軍の関与」の事実関係を述べるくだりに、様々な異論があるのはわかる。
 ただ、結論は「数多の苦痛を経験され、心身にわたり癒しがたい傷を負われたすべての方々に対し心からお詫びと反省」。慰安婦の実像がどんなものであったにせよ、女性たちが「苦痛を経験し、心身に傷を負った」ことへの異論は少ないのではないか。


 また、両談話とも、法的責任につながる「謝罪」という言葉を避け、「お詫びと反省」という、責任をやや弱める言葉で統一していることにも注目すべき。


 個人的には、
村山談話は、お詫びと反省をしつつ日本の体面も保った、格調高い名文
河野談話は、やや軽率な表現もあり同意し難い人がいるのもわかるが、これでアメリカを含む諸外国を納得させられるなら、政治的には安いもの
だと思っています。



Q6.植民地支配、侵略、慰安婦など、他国もいくらでもやっているではないか。


A6根本的に「他国もやっている」は何の反論にもならない。よそはよそ、うちはうち。日本がやった行為をどのように考えるのかがすべて。


 それが大前提ではあるが、「他国も同じようなことをやっていた」のだとすれば、確かに日本の責任を軽く見せられることも事実。

 ただ、日本と他国がやっていたことは本当に同程度だったのか、検証が足りない


 例えば慰安婦について言えば、どの程度の数の慰安所を設け、働く女性をどう確保し、現地での女性の扱いはどうでといった事実関係について、日本と他国の正確な情報がなければ、日本の責任が他国と比較して重いのか軽いのかの判断はできない。


 第2次世界大戦期について言えば、日本と同程度の規模で、その職業にもともとついていなかった女性を、本人の意に沿わない形で集め、遠方に運ぶような形で、慰安婦を設けていた国はなかったのではないか。


 こういう事実関係について、単なる個々の事実のつまみ食いではなく、学問的な裏付けを持った検証が必要で、単なる「軍に公娼はつきもの」という一般論では、日本の責任を軽く見せることにまったく役立たない。


 そして繰り返しになるが、大前提として「他国もやっている」は反論にならない。
 よそはよそ、うちはうち。



Q7.靖国神社参拝をどう考えるか。


A7.一言で言えば、「戦争へのお詫びと反省を疑われないための工夫とセットであれば、靖国参拝には必ずしも反対ではない」。


 靖国神社は、戦時中は戦意高揚に利用され、A級戦犯が合祀され、また、遊就館の展示から日本の戦争を正当化する意思を持っていることも明らか。
 こういう場所に多数の政治家が参拝することは、戦争へのお詫びと反省の意を疑わせるに十分であり、あまり賛成できない。


 靖国神社以外で、誰もが納得できる戦没者の慰霊の場を設けられれば、ベスト。
 ただ、過去の経緯から、靖国神社こそが英霊の眠る場所であり、他の場所では代替できないという意見もよくわかる。


 そういう意見を尊重して、靖国神社を中心に戦没者の慰霊を行い、政治家も参拝するという形も、1つの選択肢だとは思う。
 しかし、そうするならば、戦争へのお詫びと反省の意を疑われないようにするための徹底した工夫が必要で、今はその工夫が足りなさすぎる。


 少なくとも、参拝する政治家が、
参拝に当たり戦争へのお詫びと反省の意は持っている。A級戦犯の行為を正当化するつもりは一切ない」と常に表明する
・靖国神社に対し、日本の戦争を正当化するような展示、発言は一切しないことの確約を求め、遊就館の展示内容を国の見解に沿うものに修正させる
などをすることが必要だと思う。


 できれば、A級戦犯の分祀もした方がベターでしょう。

 これは、別に他国への配慮のために行うものではありません。


 戦争へのお詫びと反省の意を持った政治家が、国に命を捧げた人々に敬意を表するという純粋な気持ちで、靖国神社に参拝しようとすれば、A級戦犯の合祀や遊就館の展示がお詫びと反省の意に沿わないことが、自然と気になるはずだと思います。


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 以上、歴史認識などについての自分の考えを、備忘録的にまとめてみました。


 「これが正しく、他は間違っている」と言うつもりは毛頭ありません。
 こういう意見も正反対の意見も含め、多様な意見が交わされることを期待しています。

クイズ大会「天5」の感想(おまけ・クイズ能力の数値化試案)

OBA-Q「天5」作戦記録(おまけ)



<クイズプレーヤーの能力の数値化(試案)>


 さて、前回で連載を終えましたが、今回はおまけ。


 前回、私の脳内にある架空のプロフェッショナル・クイズの世界では「作戦を考える仕事」「選手の能力を測定し、組み合わせて編成する仕事」が生まれると書きました。


 「作戦を考える仕事」については、そのまねごとの成果を連載中にいろいろ書いてきました。
 もう1つの「選手の能力を測定し、組み合わせて編成する仕事」についても、触れておきたいと思います。


 あるクイズプレイヤーが、どれぐらい強いのか、どういう形式に強いのか、どのジャンルに強いのか。
 そういうのって、何回か一緒にクイズをすれば感覚でだいたいわかって、そんなに外れませんよね。


 でも、私の脳内にある架空のプロフェッショナル・団体戦クイズの世界では、その数値化が必要です。だって、年俸決めなくちゃいけないですから。
 そういう、クイズプレイヤーの能力の数値化に1回チャレンジしたことがあるので、ここでその成果を紹介しておきます。


 やったのは4年前。天3の対策会の場でした。
 私はなかなかの出来だと思いましたが、評判はよくありませんでした。だって、仲間だからだいたいわかってるし、詳しいデータになっても使い道がないからねぇ。


 計測に使ったクイズのルールは、12人参加、1〇1×、9人が正解か誤答で抜けて残り3人になるまで続ける、というセットを延々と続ける形でやりました。

 65セットぐらい、スルーを除き573問。


 別に能力の数値化のためにやったわけではなく、単にそういうクイズをしたのを私が勝手に記録を起こし、数値化しただけです。



(1)誤答率
 いちばん簡単でかつ必要なのは、誤答率(誤答数/解答権獲得数)です。
 本当は、ゆっくり押した場合と突っ込んで押した場合など、場合分けして計測する必要があると思いますが、そこまではできませんでした。


名前  誤答率  正解  誤答

--------------------------
 A    3.2%   61   2
 B    7.7%   60   5
 C   11.3%   55   7
 D   12.3%   57   8
 E   12.5%   49   7
 F   15.8%   16   3
 G   19.0%   34   8
 H   21.2%   26   7
 I    23.1%   30   9
 J   25.0%   18   6
黒川  27.3%   40  15
 K   30.0%   35  15
-----------------------------

合計  16.1%  481  92


 誤答率の低い上位4人、A~Dさんは、正解数の多い4人でもあります。強い人は誤答も少ないということですね。
 私は、正解40問、誤答15問で、誤答率27.3%。恥ずかしすぎる。



(2)「何人力指数」
 ずばり「クイズの強さ」をどのように数値化するべきでしょうか
 同じ場所で同じ人達でずっとやり続ければ、正解数のみで比較できますが、違う場所で違う人達がプレーするのをどう比較するか、という条件で。


 私は「何人力指数」というのを考えました。これは、1人で何人分に相当する正解を出したかを数値化したものです。


 10人早押しをやったとして、全員で10回正解する間に自分が1回正解するのが平均的ですね。これを「1人力」と定義します。
 2回正解すれば2人力、20回中1回しか正解できなければ、0.5人力です。


 では、例えば、6人早押しに5問、4人早押しに3問参加し、2問正解した人は、何人力でしょうか。
 答えは、2÷(5/6+3/4)= 24/19 = 1.26人力です。


 式にすると、分子が正解数、分母が期待正解数(n人早押しに1問参加すれば期待正解数1/n問として、その累計)という割り算になりますね。
 なお、スルー、誤答の問題数は、分子からも分母からも除外します。


 え? 強いメンツとやる場合と弱いメンツとやる場合で全然違う?
 おっしゃるとおりです。確かに、プロ野球と草野球の打率は比較できません。


 しかし、それなりに高いレベルでのクイズを多数回繰り返せば、打率や偏差値のように、「同じ場で1度もクイズをしていない人同士の実力を比較できる」指標になるはずです

 「あの人は○人分の正解を出せる実力の持ち主だよ」という形で。

                 (a)    (b)  
名前  指数 正解数 8人以上 7人以下  (b)÷(a)

-------------------------------------------
 B   2.56  60   2.54    7.00    2.76
 A   2.17  61   2.08    3.05    1.47
 D   1.87  57   1.81    2.62    1.45
 C   1.68  55   1.64    1.95    1.19
 E   1.37  49   1.28    1.90    1.48
黒川  1.14  40   1.02    1.70    1.67
 K   1.00  35   0.94    1.39    1.48
 G   0.71  34   0.50    1.18    2.36

 I    0.56  30   0.42    0.83    1.98
 H   0.55  26   0.39    0.93    2.38
 J   0.34  18   0.29    0.46    1.59
 F   0.31  16   0.29    0.34    1.17


 Aさんの方が正解数が多いのに、Bさんの方が何人力指数が高いですね。
 これは、1〇1×でBさんの方が先に抜けることが多かったため。同じ正解1でも、12人の初期状態から1問目で抜ければ12人力、2問目なら6人力ですから。


 もう1つ、私が重要な指標と考えているのは、何人力指数が、多人数早押しと少人数早押しでどう変化するか
 天5で言えば、多人数に強ければ2回戦や準決勝、少人数に強ければ1回戦や決勝に向いていることになります。


 8人以上の場合と7人以下の場合でそれぞれ何人力指数を作り、後者を前者で割ったのが、いちばん右側の数字。大きい方が、少人数に強い人です。
 Cさんの低さと、G・Hさんの高さに注目してください。Cさんは特定のジャンルに鬼のように強く、G・Hさんは知識に穴が少ない人。その特徴が出ています。


 この数値が小さくなる(多人数に強い)のは、難問に強い、知識の幅は狭いが絶対の得意ジャンルがあるといった人。
 この数値が大きくなる(少人数に強い)のは、易問に強い、知識の幅は広いが絶対の得意ジャンルはない、同じポイントでガチャンと押す場合の指が早い人。



(3)ジャンル別「何人力指数」
 この何人力指数は汎用性が高くて、ジャンル別でも取ることもできます。
 ジャンルの区分は頭を悩ませますが、そのときは次の8つに区分しました。苦しいのもありますが、できるだけ問題数を等分にするための工夫なのでご容赦を。


 政治・経済・社会
 生活・食べ物・言葉
 文学・芸術
 歴史・地理
 芸能
 音楽・サブカル
 科学
 スポーツ


名前 総合 政経社 生活 文芸 歴地 芸能 音サブ 科学 スポ

------------------------------------------------------
 B  2.56  3.46  2.83  3.16  3.45  1.34  1.52  3.79  0.75
 A  2.17  1.70  2.48  2.77  2.99  1.15  2.88  2.07  1.10
 D  1.87  1.96  1.93  2.61  1.06  0.62  2.80  3.47  1.03
 C  1.68  1.49  1.71  0.74  3.51  1.86  1.37  1.31  1.11
 E  1.37  1.45  1.30  1.36  1.21  1.88  1.67  0.34  1.41
黒川 1.14  1.54  0.48  0.74  1.67  0.31  0.00  1.95  2.54
 K  1.00  0.61  1.22  0.72  0.51  1.19  0.82  0.63  2.25
 G  0.71  0.84  0.64  0.17  0.60  0.34  1.06  0.72  1.50
 I   0.56  0.26  0.83  0.64  0.12  1.59  0.56  0.47  0.17
 H  0.55  0.91  0.91  0.84  0.14  0.37  0.87  0.25  0.18
 J  0.34  0.39  0.20  0.17  0.51  0.51  0.38  0.00  0.55
 F  0.31  0.25  0.10  0.34  0.00  1.38  0.00  0.25  0.35


 緑が得意ジャンル(本人の総合指数の1.3倍以上かつ+0.4以上)
 赤が苦手ジャンル(本人の総合指数の0.7倍以下かつ-0.4以下)


 何人か、特徴的な人をチャートにしてみましょう。
 強い人は強いだけで面白くないので、中堅どころのC、E、黒川の3人をチャート化してみます。



 Cさんは「穴なし1点豪華型」。特別に弱いジャンルはない一方で、歴史・地理で絶対の強さを誇ります。しゃもじのような形が特徴です。


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 Eさんは「1点だけ大穴型」。どのジャンルもほぼ均等な強さなのに、唯一、科学だけが極端に弱くなっています。口をあんぐりと開けたパックマンのような形が特徴です。

霞が関公務員の日常


霞が関公務員の日常 ←「あんぐりと開けたパックマン」のイメージ画像



 私は「穴と得意ジャンルしかない型」。8つのジャンルのうち、4つが得意で4つが苦手です。手裏剣のような形が特徴です。


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 以上、能力の数値化のチャレンジの成果です。
 労多くして益は少ないので、現実世界で同じことをやるのはお勧めしませんが、私の脳内の架空のプロクイズ界では、とても重要な指標として重んじられています。


クイズ大会「天5」の感想(その7.エピローグ)

OBA-Q「天5」作戦記録



7.エピローグ ~私にとってクイズとは~
(1)実はほとんど役に立っていない作戦参謀
 私は、天2、天3(市川くんと共同で)、そして今回の天5と、OBA-Qチームの作戦参謀役を務めてきました。
 それがどれぐらいチームの役に立っているのか、自分でもわかりません。


 あすかさんに言わせれば「そんなことより時事問題300問覚えろ~っ!」という感じでしょうか。


 たぶん、それは正しいと思います。私が作戦参謀とか言ってごちゃごちゃやるようなことは、クイズの勝敗にはほとんど影響を及ぼしていないでしょう。

 私が1プレイヤーとして時事問題を300問覚える方が、確かにチームに貢献できる度合いは大きいと思います。


 それがわかっていながら何で、時事問題を覚えることより優先して(いや、それなりには覚えたけどさ)こういうことをやっているのか、今回はそういうお話をしたいと思います。



(2)クイズに近づきすぎると嫌いになる
 私がクイズを始めたのは大学に入ったときですから、もう22年になります。


 当時は強かったんですよ。でも、長続きしませんでした。興味のないことを覚えるのが苦痛なのです。
 クイズに強くなるには、あらゆる分野の知識を覚えないといけない。でも、私には、それができませんでした


 何度か、本気でクイズに強くなってみよう、そう思った時期はありました。
 そのたびに、がんばってモノを覚えようとし、そのたびに苦しくなって挫折しました。


 特に、知識をクイズの形式にして、この文章はここで押せばこれが正解になる、そういうのを覚えることを継続できませんでした。


 もちろん、それこそがクイズというものです。

 そういう作業を突き詰めてできる人を、私は尊敬しています。でも、私にはできないのです。


 クイズは大好きなのに、勝ちたくなって近づきすぎると嫌いになる。
 そういう私が、クイズの世界で飽きずに続けられることとして見つけたのが、プレイヤーとして強くなるのをあきらめ、団体戦での作戦を突き詰めて考えて、チームを勝利にわずかに近づけるという遊びです。


霞が関公務員の日常 ←「団体戦」のイメージ画像


 遊び、そう、ただの遊びです。300問の時事問題を覚えるより価値の低い、ただの自己満足です。
 そういうつまらない自己満足に本気でつきあってくれるOBA-Qの仲間に、本当に感謝しています。



(3)作戦が重要な意味を持つ、架空のクイズの世界を夢想しながら
 そんな自己満足、何が楽しいのと言う人がいるかもしれません。


 自己満足の楽しさに理由はないのですが、あえて理由をつければ、仮に莫大なお金が動くプロの団体戦クイズというものがあったらと、そういう世界をイメージして、まねごとをしている気分になっているから。


 もしそういう世界があったら、選手個々の実力を鍛錬により引き上げることに加え、作戦、マネジメントといった分野が重要になっているはずです。


 例えば、実戦面では、見ておもしろくするための戦略性の高いルールが導入され、それに対応するための多様な作戦を考えるという仕事が生まれるでしょう。
 また、ドラフト・トレードなど戦力均衡の仕組みが整えられ、その仕組みの中で、選手個々の能力を測定し、組み合わせて編成するという仕事も生まれるでしょう。


 もちろん、そんな日は永久に来ませんが、私は夢想家なので、そういうまねごとをする気分になるだけで、頭の中でかなり楽しく遊ぶことができます。


 それが、私が時事問題を覚えることより優先して、団体戦の作戦を考えている理由ということになるでしょうか。
 よくまとまりませんが、そんな感じです。



(4)天6に向けて
 さて、今回は準優勝という予想以上の結果が出て、大いに満足しました。


 でも、自分のプレイヤーとしての弱さが、あまりに情けなかったのも事実。

 次回、天6に向けては、もう少しプレイヤーとしてがんばってみようか、という気にもなっています。


 ダンナやあすかさんの行動や考え方に触れてそう思うようになった、というところが大きいでしょうか。
 2人には感謝しないといけないですね。


 とはいえ、生来、怠惰な性格なので、本当にやるかは大いに怪しいのですけど……(と予防線を張っておく)。




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 以上で、OBA-Q「天5」作戦記録、8回の連載を終わりにしたいと思います。


 いかがだったでしょうか。
 これを読んだ方の中から、クイズの団体戦の作戦というものに興味を持ち、考察を深めて、「天6」以降で実践される方が出てくれば、本当にうれしいです。


 もしそういう方がOBA-Qと対戦する日が来たら、300問の時事問題を覚えた私が、容赦なく返り討ちにしてみせますから、お楽しみに!




 「おまけ・クイズ能力の数値化試案」に続きます、というか文章としては続いていなくて、独立したコラムをもう1回分ということで。

クイズ大会「天5」の感想(その6.決勝)

OBA-Q「天5」作戦記録



6.決勝
(1)試合前の準備
 準決勝の大逆転勝利の興奮冷めやらぬ中、私の役目は終わった瞬間に次のことを考えること、ってさすがに切り替えにはやや時間がかかったが。



 決勝の相手はわからないが、とりあえずクイズ倶楽部を想定する。
 実力は相手の方が上であろうし、1対1の少人数早押しというのも、OBA-Qが苦手とするルール。正直、苦戦は免れない。


 天2の決勝もそうだった。苦手なルール、相手は実力上位の「A(あ)」、しかも私は出場しないので、ほとんど考えることを放棄して流れに身を任せた。
 6年前のそのことに大きな悔いがあった。


 今回も自分は出場しないし、作戦の工夫の余地の少ないルールだけど、真剣に考えないといけない。
 6年前、決勝の試合開始の直後に「なぜこう言っておかなかった」と悔いた言葉が真っ先に思いつく。


 それは「相手が3周する前に2周することを目指せ」ということ。
 6年前も「たぶん先行される。先行されても焦るな」とは言ってあった。ただ、具体的に何をターゲットにして戦うかを言っていなかった。


 あのときのA(あ)は2周目の天問題で正解したので、結果的には同じだっただろう。
 でも、どの程度まで先行を許していいかを伝えてあれば、誤答を防げたかもしれない。結果、致命的な誤答がいくつか出て、1度も天問題にたどりつけなかった。

霞が関公務員の日常 ←「天問題」のイメージ画像


 やはり今回も、誤答を防ぐために、相手3周の前に2周という目標を伝えることを中心に考えていく。
 ただ、迷いもあった。天2では、1・2周目の天問題は難しめであることが予告されていたが、今回は情報がない。


 1周目から天問題が簡単だったらどうする? いや、それでも、クイズ倶楽部より先に1周目の天問題にたどりつくことは難しい。
 ならば、1周目の天問題は誤答すると信じて、その後確実に天問題にたどりつく方が、勝つ確率は高まるはずだ。


 2周目も同じだ。2周目も先行させる。実力的には、相手の3周目とこちらの2周目がいい勝負になるだろう。そこで勝つ。そして、その天問題を取る。
 それが最も勝利の確率を高める方法だと、自分に信じ込ませた。


 そこまで心に決めた上で、準決勝第2試合を見に会場に向かう。既に最終盤、KQK(慶応義塾大学クイズ研究会)がリーチをかけている。
 ここまでたどりついたKQKも強いのは間違いないが、決勝の相手とすればクイズ倶楽部よりは戦いやすい。このまま勝ってくれ、と祈る。


 しかしその願いは届かず、クイズ倶楽部が勝利。まあ仕方がない。これで、作戦は確定した。
 試合の直前、全員に伝達する。


「先行されても、誤答のリスクを冒して無理に止めに行く必要はない。相手が3周する前に、2周することを目指す。相手は天問題に2回誤答すると信じろ。そして、こちらの2度目の天問題をかすめ取って勝つ。相手が今何番手かは考えず、相手が27問の正解を出す前に18問の正解を出す。そのことだけに集中してほしい」


 順番は当初の予定のまま、春日くん、あすかさん、西村くん、荻島くん、三小田、大村さん、大佐、ダンナ、上野。



(2)「クイズ倶楽部」戦
 そして、決勝戦が始まった。
 特例として西村夫妻の娘さんも会場に入れていただき、子どもの応援もあるなごやかな雰囲気で進む。


 お互い誤答が多く、なかなか天問題に進まない。
 誤答のたびに1番手の春日くん、2番手のあすかさんが登場するが、2人とも好調。安心して見ていられる。


 こちらに痛い、惜しい誤答もいろいろあって、クイズ倶楽部が最初の天問題にたどりつく。

 問題は「地殻とマントルの境界」で始まる。う、そんなに簡単なのか。しかも「クロアチア人」とも言った。レーマン、グーテンベルクは明らかにクロアチア人の名前ではないので、不連続面3択にすらならない。とどめに「不連続面」まで言った。


 クイズ倶楽部のみなさんは自信を持って書いているように見える。終わったか、まあしょうがないな。
 しかし、1人が「モホロビッチ」とまさかの誤答(正解はモホロビチッチ)。


 おおお、助かった。気を取り直して最初から。今回もいくつか誤答は出たが、何とか7番手の大佐にたどりつく。ここがポイント。
 「相手が3周する前に2周することを目指す」という指示の効果で、落ち着いて押してもらえるだろうか。


 しかし、大佐は今日初めての出場。動きが固く見える。
 改めてよく考えると、決勝が初めての登場となる人を、誤答のできない7番手に置くのはまったくおかしかった。


 なんで2番手を提案しなかったんだろうと後悔しているうちに、大佐は誤答。
 大佐、済まない。私が悪かった。仮に大佐とほぼ同じ実力の私が出場していたら、2~3番手に置いたくせに。自分には甘いくせに他人には難しいことを要求する、私のミスです。申し訳ない。


 そんなこんなで、クイズ倶楽部が2周目の天問題にたどりつく。
 今度の答は「ツァラトゥストラはかく語りき」。なるほど。モホロビチッチといい、微妙なカタカナ間違いを誘う問題にしてあるのでしょうか。


 これも、1人に非常に微妙な間違いがあり、誤答。おおお、また助かった。
 ちなみに、私もこの問題は正解できませんでした。


 そして、相手の3周目、こちらの1周目とクイズが続く。しばらくすると、大会スタッフが時間を気にするそぶりを見せだす。進行のペースも速まる。
 お、時間を気にしている? 確かに思ったより誤答が多いし、このレベルの天問題で2回間違うとも想定していなかったかもしてない。


 次の天問題は簡単になるというサインだろうか。簡単になるとすれば、3周目のクイズ倶楽部だけだろうか、それとも両方だろうか。
 いずれにしても、クイズ倶楽部を3回目の天問題に進ませたら終わるということだ。当初の目標では相手の3周の前に2周はしたかった。最低、1周はしたい。


 ほぼ同じようなペースで進み、今度は7番手の大佐も正解し、8番手ダンナと相手の8番手の対決となった。
 ダンナは決勝戦には初登場だ。大丈夫か? 


 それに、出場メンバーはスタッフの異変に気づいているのか?
 ここは絶対に逃がすわけにはいかないと気づいているのか? 「ここは絶対に逃がすな。何が何でも誤答覚悟で勝負だ」と声をかけようか。


 ダンナ以外の8人になら、たぶん言っただろう。
 でも、ダンナのクイズには私の言葉はいらない。ダンナの邪魔はしたくない。のど元まで出かけた言葉を、飲み込んだ


 そして出た問題は「弦楽4重奏で唯一2本使われる楽器……」。わからないが、カンで言えば当然バイオリンだ。ダンナ、押してくれ!
 しかし、クイズ倶楽部のランプがつく。「バイオリン」。正解!


 私は、この問題で決勝戦が終わったように感じた。
 その後の9番手の「ナックルパート」も、天問題の「虎」も、囲碁のダメ詰めの手続きをしているようにしか感じられなかった。


 まあ、仕方がない。相手が3周し、こちらは1周もできなかったのだから、誰がどうこうではなく、何も言い訳できない完敗だ。
 6年前の天2に続き、今回も天問題に進むことすらできなかった。前回に比べ、今回はチャンスがあるように見えただけに、残念だった。



(3)戦いが終わって
 ステージ上では、クイズ倶楽部へのインタビュー、メダルの授与などが行われている。放心してぼんやりと眺める。
 横を見ると、西村夫妻の娘さんが泣きじゃくっている。おおお、パパが負けたのがわかるのですね。


 最後に、主催者のMino-Ten(岐阜クイズ愛好会)の松村さんがごあいさつ。
 本当にいい大会をありがとうございました。また、天6でお会いしましょう。



(4)楽しい打ち上げ!
 最後は悔しかったが、よく考えると準優勝は実力以上の結果。わーい。名古屋駅近くに移動して、手羽先屋さんで楽しい打ち上げ。
 いろいろな話をしたけど、私にとって印象に残った会話を3つ挙げておきます。


「準決勝は自分が正解しなくても勝てるので、すごく気楽でした」
緒方さん「自分には絶対に正解しなきゃいけない1回戦を割り振っておいて、ひどいじゃないか。自分に甘すぎないか
「(ぎくっ)それができるのが緒方さんのお力ですから」


上野「準決勝はうちは黒川抜きの実質8人で戦うことになるから苦しい
「(挑発しようったって、その手にゃ乗らないよ)そーだよねー♪」


川上「準決勝に出ていたら『オノマトペ』は取れたと思います」
「やっぱり15人目は私じゃなくて川上を登録した方が楽に戦えたんじゃないか? 私は出ようが出まいが作戦参謀はできるわけだし」
上野「よく言うよ。選手登録しなかったら、真剣にやらなかっただろ。天4のときも何も協力してくれなかったじゃないか」
「(さすが上野。お見通しか)いやいやいや、天4のときは滋賀にいたから、邪魔しちゃ申し訳ないと思っただけで、今回はそんなことはなかったさ」


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 最終回「7.エピローグ ~私にとってクイズとは~」に続きます。