読みました
第169回芥川賞受賞作『ハンチバック』
ハンチバックとは…せむし
背骨が大きく曲がる障害だそうです。
市川さんもこの障害の当事者で
小説の主人公 井沢釈華も
右肺を押しつぶすかたちで極度に湾曲した
S字の背骨 を持っています。
マックのバイトがしてみたかった
高校生活がしてみたかった
という釈華は
親の遺した大層な財産で
金銭的には何の心配なく暮らせる状況ながら
ポルノ記事を書いて
収入を得ています。
私のような重度障害者など、
家から出られない人にとっては
良いバイトです。
いかがわしい記事で稼いだ収入は全部、
居場所のない少女を保護する
子どもシェルターやフードバンクや
あしなが育英会に寄付していますけど。
釈華は自らを
ハンチバック(せむし)の怪物 と
自虐的に呼びますが
普通の人間の女のように
子どもを宿して中絶するのが私の夢です
と呟き
妊娠することで人間になることを
確認しようとし
親の遺産を使ってある人物と
性行為の取り引きをしようと
持ちかけます。
以上のことからも
なかなか衝撃的な内容で
好き嫌いが分かれるのかもしれませんが
私は好きです
障害者のルサンチマンが
散りばめられているのかと思いきや
ルサンチマンってこの小説で知った言葉です
それも確かにあるのでしょうが
ユーモアも感じられる
より高みからの目線で
書かれているように感じます。
まさに釈迦(釈華)の視線のように…
という読みはどうなのか別として
「好書好日」では
「小説の中身はもちろん外側の戦略―社会の流れの中で作品がどう受け取られ、どうアピールするか――も私はちゃんと考えて各賞に応募していたんですよ。」
とお話されている
戦略家です。
20年書いて
『相転移』という言葉と意味を
教えてくれた人
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