こんばんは!まずは皆さん、乾杯っ!![]()
草津のつつじ亭での夕食シリーズ、ついに4本目。前回までの「伯楽星 純米吟醸」「水芭蕉 純米吟醸」「土田 生酛 純米吟醸」に続く、群馬地酒飲み比べセットの最後の一杯です。今回いただくのは「群馬泉 淡緑(うすみどり)山廃純米吟醸」![]()
「群馬泉」という銘柄自体は名前を聞いたことがあったのですが、「淡緑」というラベルは初めて目にしました。ラベルには大きく「淡緑」と筆書きされ、その下にちいさく「うすみどり」とふりがなが添えられています。なんとも涼やかで美しい名前。せっかくの群馬旅行ですからね!一杯でも多くの群馬のお酒を味わいたいと思っていたので、知らない銘柄に出会えるのは嬉しい限りです。
すでに伯楽星・水芭蕉・土田と3杯を重ねてきて、正直なところ酔いはかなり回ってきています。下戸の身としては4種飲み比べはなかなかの挑戦なのですが、和らぎ水をしっかり挟みながら、最後の一杯をゆっくり味わっていきます。グラスに注ぐと、透明感のある液体が蛇の目の利き猪口の底でくるりと輝きました![]()
この「群馬泉」を醸すのは、群馬県太田市の島岡酒造。実は太田市で唯一の日本酒蔵で、利根川と渡良瀬川という2本の大河に挟まれた土地にあります。山廃造りにとことんこだわる蔵としても知られていて、群馬地酒飲み比べの最後を「ザ・山廃」で締めくくれるとは、なかなか味な構成です。伯楽星のキレ、水芭蕉の包容力、土田のクリアな酸、と続いて、ラストが山廃の乳酸。4本の個性がまったく被らないのが面白い![]()
つつじ亭の窓辺に4つのお猪口が並ぶ光景は、なかなかに壮観でした。下戸の私にとっては相当ハードな夜でしたが、それぞれの蔵の個性をじっくり比べられた、この上なく贅沢な時間。さあ、最後の一杯です。
群馬泉 淡緑 山廃純米吟醸とは?
「群馬泉 淡緑 山廃純米吟醸(ぐんまいずみ うすみどり やまはいじゅんまいぎんじょう)」は、群馬県太田市に蔵を構える島岡酒造株式会社が手がける、看板銘柄「群馬泉」の季節限定酒。「淡緑(うすみどり)」という名前のとおり、若葉のような爽やかさと、山廃由来の若い酸を併せ持つ、フレッシュな一本です。
島岡酒造の創業は1863年(文久3年)。160年以上の歴史を持つ老舗で、現在は六代目蔵元杜氏・島岡利宣(しまおか としのり)氏が蔵を率いています。蔵があるのは群馬県太田市由良町。太田市で唯一の日本酒蔵であり、利根川と渡良瀬川に挟まれたミネラル豊富な土地に位置しています。仕込み水には赤城山の湧水(硬水)を使用。この硬水が、島岡酒造の力強い酒質を支える土台になっています![]()
島岡酒造を語るうえで欠かせないのが、「生酛系山廃造り」へのこだわり。ほぼ全量を山廃で仕込むという、現代の日本酒蔵としてはかなり珍しい徹底ぶりです。山廃造りとは、人工的に乳酸を添加せず、蔵に棲みつく天然の乳酸菌と、冬の寒さ、そして自然の力を借りて酒母を育てる伝統製法。手間も時間もかかりますが、その分、奥行きのある複雑な味わいが生まれます。さらに島岡酒造は、造った酒の大半を1〜2年熟成させてから瓶詰めするという、これまた個性的なスタイル。熟成由来の落ち着いた甘い香りと、燗にしたときの伸びの良さで、玄人筋に根強い人気を誇る蔵です。
そんな「熟成・燗向き」の島岡酒造のなかで、「淡緑」はちょっと異色の存在。山廃で仕込みながらも、新酒の爽やかさとフレッシュな若い酸を前面に出した季節限定酒なのです。原料米は群馬県産の「若水」、精米歩合は50%と吟醸クラスでしっかり磨いています。アルコール度数は15〜16%、720mlと1800mlの展開。なお島岡酒造は、蔵元自身が「酵母名をラベルに明記することに興味がない」と公言しているユニークな蔵で、使用酵母は公表されていません。「山廃なのにフレッシュ」という、ありそうでなかなかない立ち位置を狙った、面白い一本というわけです![]()
受賞歴も見事で、フランスの日本酒コンクール「Kura Master」では、この「群馬泉 淡緑」が2017年にプラチナ賞、2021年・2022年に金賞と、複数回にわたって受賞しています。160年の伝統に裏打ちされた山廃の技術が、国際的にも高く評価されている証です。
群馬泉 淡緑 山廃純米吟醸をチェック!
緑瓶に白のラベル。右上に小さく「群馬泉」、中央に大きく筆書きの「淡緑」。
窓辺の森を背景にした、つつじ亭の客室での一枚。
蛇の目(じゃのめ)の利き猪口に注がれた淡緑。
透明感のある液体が、白地に紺の同心円に映える。
| 銘柄 | 群馬泉 淡緑 山廃純米吟醸(ぐんまいずみ うすみどり) |
|---|---|
| 品目 | 日本酒 山廃純米吟醸(季節限定酒) |
| 原料米 | 若水(群馬県産) |
| 精米歩合 | 50% |
| 使用酵母 | 非公表(蔵元方針により酵母名を明記せず) |
| 酒母 | 山廃酛(蔵付き天然乳酸菌を活用) |
| アルコール分 | 15〜16% |
| 日本酒度/酸度 | +3.0/1.6(販売店表記・公式公表なし) |
| 内容量 | 720ml / 1800ml |
| 参考価格 | 720ml=2,420〜2,795円前後(販売店により異なる) |
| 仕込み水 | 赤城山の湧水(硬水) |
| 受賞歴 | Kura Master プラチナ賞(2017年)/金賞(2021・2022年)※いずれも「群馬泉 淡緑」での受賞 |
| 蔵元杜氏 | 六代目 島岡利宣氏 |
| 製造者 | 島岡酒造株式会社(群馬県太田市由良町375-2) |
| 創業 | 1863年(文久3年)/太田市唯一の日本酒蔵 |
群馬泉 淡緑 山廃純米吟醸を飲んでみての評価
4本目、つつじ亭の群馬地酒飲み比べもいよいよ大トリです。すでに伯楽星でキレを、水芭蕉で包容力を、土田でクリアな酸を味わってきた舌で迎える「淡緑」。蛇の目の利き猪口に注ぐと、透明感のあるきれいな液体。「山廃」と聞くと、どっしり重くてクセの強い味わいを想像してしまいがちですが、ラベルの「淡緑(うすみどり)」という涼やかな名前の通り、香りはふんわりと軽やか。これは飲む前の予想を、いい意味で裏切ってくれそうな予感がします。
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若い酸が、口の中をさっぱり洗い流す。
口に含むと、まず感じるのがわずかな甘みと酸味。この最初のタッチが、なんとも気持ちいいんです。そして、そのあとを追いかけるように山廃らしい乳酸の風味と、シャープな辛さがやってきて、口の中をすーっとさっぱり洗い流してくれる。「山廃なのにフレッシュ」という蔵が狙ったコンセプトが、舌の上で見事に再現されているのを感じました![]()
飲み比べてきた4本を振り返ると、それぞれの個性が本当にくっきり違いました。伯楽星はシャープなキレ、水芭蕉は包み込むまろやかさ、土田はクリアな旨味、そして淡緑は若い酸のさっぱり感。同じ群馬の山あいの宿で(伯楽星だけ宮城ですが)味わった4本が、これだけ違う表情を見せてくれるのは、日本酒という飲み物の奥深さそのものだなあと、しみじみ思います。特に淡緑は、山廃でありながら重くなりすぎず、新酒のフレッシュさを残した「軽やかな山廃」という稀有な立ち位置で、飲み比べの締めくくりにぴったりの爽やかさでした。
正直に書いておくと、4杯目ということで酔いはかなり進んでおり、繊細なニュアンスを完璧に捉えきれてはいません。けれど、「口当たりのわずかな甘酸っぱさが心地よくて、山廃の乳酸と辛さで後味さっぱり」という大きな骨格は、酔った舌でもしっかり伝わってきました。むしろ、ほろ酔いで疲れてきた舌に、この爽やかな酸がリセットをかけてくれて、「もう一杯飲めそう」と思わせてくれる——食中酒というよりは、宴の流れを整えてくれる「箸休め的な名脇役」という印象です![]()
下戸の私の評価は★★☆。山廃由来の乳酸と辛さは、日本酒初心者にはほんの少しだけ個性的に感じられるかもしれませんが、「淡緑」はその中でもかなり軽やかで親しみやすい部類。山廃に興味があるけど重いのは苦手、という方の「最初の山廃」としても、すごくおすすめできる一本です。次は素面のときに、じっくり味わってみたい![]()
今日は音楽でペアリング!
「群馬泉 淡緑」には、森高千里さんの名曲「渡良瀬橋」(1993年)とのペアリングをお勧めします。理由は、地理的なつながりがとても綺麗だから。歌のタイトルになっている渡良瀬橋自体は栃木県足利市にかかる橋ですが、その渡良瀬川は、島岡酒造のある群馬県太田市にも流れています。太田市は、南に利根川、北に渡良瀬川という2本の大河に挟まれた土地。名曲が歌った同じ川が、群馬泉を育む土地の風景の一部にもなっている——そう思うと、この一杯と一曲の縁を感じずにはいられません![]()
「渡良瀬橋」は、夕暮れの渡良瀬川にかかる橋と、そこで過ごした日々の記憶を、淡々と、けれど深い情感をたたえて歌い上げる名バラード。派手なドラマではなく、何気ない日常の風景——床屋の角の公衆電話、八雲神社、夕日に染まる空(いずれも足利市内に実在する風景です)——を丁寧に描くことで、聴く人それぞれの「あの頃」を呼び覚ます曲です。この「淡々とした風景描写の積み重ねが、じんわり胸に沁みる」感覚は、群馬泉 淡緑の「わずかな甘酸っぱさが心地よく、後味さっぱり」という、押しつけがましくない味わいとよく似ています。
そして、もうひとつ。「淡緑(うすみどり)」という色の名前と、「渡良瀬橋」が描く夕景の空気感。どちらも、原色のような強い主張ではなく、淡く、澄んだ、移ろいゆく色合いを感じさせます。山廃造りという伝統的で力強い製法を使いながら、あえて「淡緑」という軽やかな表現にたどり着いた島岡酒造のセンスは、ありふれた光景を名曲に昇華させた森高千里さんの表現力と、どこか通じ合うものがあります![]()
おすすめの楽しみ方は、夕方、少し気温が下がってきた時間帯に、冷やした淡緑を蛇の目の猪口に注いで、「渡良瀬橋」をそっと流すこと。1番のサビ、2番の歌詞、と曲が進むごとに、若い酸がさっぱりと舌をリセットしてくれて、また次の一口、また次のフレーズへと自然に進んでいく。群馬旅行の締めくくりに飲んだこの一杯だからこそ、渡良瀬川の流れる土地への想いも込めて、しみじみ味わいたくなる組み合わせです。群馬という土地を、舌と耳の両方で感じてみてください![]()
下戸の酒好き評価点
※下戸の酒好き評価は味の良し悪しを計るものではありません。
下戸で酒初心者の私があくまで個人的な感覚で評価したものになります。
★★☆
★★★ … 下戸にも酒初心者にもオススメしたい
★★☆ … 下戸、酒初心者に丁度良く幅が広がる
★☆☆ … 下戸、酒初心者には少し理解が難しい
群馬泉 淡緑 山廃純米吟醸の価格&どこで買える?
「群馬泉 淡緑 山廃純米吟醸」の参考価格は、720mlで税込2,420〜2,795円ほど、1800mlサイズもラインナップされています。山廃純米吟醸で精米歩合50%、そしてKura Master 金賞の実績を考えると、このクオリティでこの価格は十分に納得感があります。「淡緑」は季節限定酒なので、出会えるタイミングが限られるのも、ちょっとした特別感を演出してくれます。
島岡酒造は群馬・北関東を中心とした酒販店で取り扱いがあり、楽天市場やAmazonでも比較的入手しやすい銘柄です。「淡緑」だけでなく、島岡酒造の真骨頂である熟成系の「群馬泉 山廃本醸造」「群馬泉 超特撰純米」なども、燗向きの実力派として高く評価されています。淡緑のフレッシュさが気に入ったら、次は熟成タイプの「群馬泉」を燗で味わってみると、同じ蔵のまったく違う表情に出会えるはず![]()
群馬・太田方面に足を運ぶ機会があれば、利根川と渡良瀬川に挟まれた島岡酒造のある土地の空気を感じながら飲むのも、また格別。「渡良瀬橋」を口ずさみつつ、群馬泉を傾ける——そんな贅沢な時間も、ぜひいつか味わってみてください![]()
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