この録音、通常のホールより狭いところなのか変な残響が付き纏っています。この録音はRER(高速郊外鉄道)C線の Kennedy-Radio France の駅前にあるラジオ・フランスの中にあるホールで、通常放送用のコンサートなどが安価で開かれています。録音スタッフものちのラムルーとの録音と違いますから、放送用の音源レベルの録音ではないでしょうか。そのため、打楽器間人が変に篭っていて、ここで使われるぷヴァンス太鼓などの音は妙にこもっています。よくこんな演奏が商業化されたものだと思ってしまいます。コレではタイトルの「FRENCH SPECUTACULAR」が恥ずかしいわなぁ。
多分この時期知られていたのはこの「妖精コマネチ」のテーマではないでしょうか。元々は1971年の米映画『動物と子供たちの詩(Bless the Beasts and Children)』(スタンリー・クレイマー監督)の挿入曲“Cotton's Dream”として、ペリー・ボトキンJrとバリー・デ・ヴォーゾンによって作曲された曲です。それが、1976年のモントリオール・オリンピックで「10点満点」を連発したルーマニアの「妖精」ナディア・コマネチがTVに登場する場面でしばしばこの曲が使用されたことから、“Nadia's Theme”として再評価され、イージーリスニング系アーティストの競作となったものです。下の冬芽の中ではこの曲の聴きどころも紹介されていますからチェックしてみてください。
「映像」は「ジーク」、「イベリア」、「春のロンド」から構成される作品ですが、2曲目の「イベリア」はさらに「街の道から田舎の道から (Par les rues et par les chemins)」、「夜の薫り (Les parfums de la nuit)」、「祭りの日の朝 (Le matin d'un jour de fête)」の3つのパーツで構成されています。ルイ・ド・フロマンの残念なのはちょうど同じ時期にマルティノンがEMIに同様なドビュッシー」の管弦楽作品集を録音したことでしょう。それで、こちらのセットは霞んでしまいました。また、日本ではちょうど契約がコロムビアからワーナー・パイオニアに変わった頃で発売窓口がなかったことも影響しているのでしょう。マルティノンとの比較は苦しいところですが、こちらもフランスのお隣ということでは木管楽器のレベルも高く、結構ハイレベルの演奏を聴かせてくれます。