ヘルガ・シュトルクの
モーツァルト
曲目/モーツァルト
1.フルートとハープのための協奏曲ハ長調K.299
9:59 8:12 9:01
2.
3.グラス・ハーモニカのためのアダージョK.617a 4:08
フルート/ジャン・パテロ
ハープ/ヘルガ・シュトルク
オルガン/ヘルムート・リリング
こちらは本家アメリカのターンナバウト盤で発売されたアルバムです。1966年ごろの録音ですが、片面は確かに新譜なのですが、もう片面は既出のアルバムから音源を持って来ているオムニバス盤になっています。この当時、イェルク・フェルバーはこのヴェルテンベルク室内管弦楽団と盛んにVOXに録音していました。国内盤も発売されたことがありますが、カップリングはクラリネット協奏曲とのものでした。ダイヤモンド1000シリーズでモーツァルトの管楽協奏曲シリーズの第4集としてMS1088VXとして発売されています。今考えると、このシリーズの第1集がミュールバッハーのホルン協奏曲全集だったようです。
日本での初出時のアルバム、こちらがオリジナルの組み合わせのようです。
ここではヘルムート・リリングのオルガン曲とブルーノ・ホフマンのグラス・ハーモニカの演奏が収録されています。そうそう、ハープのヘルガ・シュトルクはドイツのハーピストでケルン放送交響楽団、ハンブルク国立歌劇場、ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団などの首席ハープ奏者として活躍しました。ここで、フルートを吹いているジャン・パテロ(1926-2012)についてはほとんどネットにも情報がありません。フランスのフルーティストで何冊かのフルートの教則本も出しているようです。1960年代のアルバムデザインはノンサッチ盤と見分けがつかないですなぁ。
演奏は、落ち着いた感じのフルートに堅実な感じのハープが絡んでいきます。フェルバーの指揮もこの頃はあまり特色がありませんし、オーケストラの響きもちょっと薄いような気がします。日本での初出時は全く批評の対象にもなっていませんでした。こんな演奏です。
さて、このヘルガ・シュトルク、後にフランス・ブリュッヘン/18世紀オーケストラとフルートのコンラート・ヒュンテラーと組んでフィリップスに再録音しています。こちらはブリュッヘンということでピリオドスタイルの演奏です。ヒュンテラーはここでは木製のフルート・トラヴェルソを吹いていますが、響き的にはジャン・パテロのフルートはしっとりとしていて同質の響きを感じられます。
2曲目は、ヘルムート・リリングの演奏でK.608が収録されています。モーツァルトはオルガン曲も作曲していますが、そのほとんどが自動オルガンのための作品です。注文主は美術収集家のヨーゼフ・ダイム伯爵(ミュラーとも呼ばれている)という人物で、伯爵は蝋人形館を開いて機械仕掛けの楽器のコレクションを展示し、楽器の自動演奏を聴かせていたといいます。曲はこんな感じの作品です。それにしてもリリングがヴォックスにこんな録音を残していたとは知りませんでした。
最後はブルーノ・ホフマンのグラス・ハーモニカの演奏によるアダージョK.617aです。こちらのオリジナルのレコードはこちらで取り上げています。モーツァルトが書いたグラスハーモニカのための作品は、作品として残っているのはK617だけですがフルート、オーボエ、ヴィオラ、ヴァイオリンとチェロのための五重奏曲としてのアダージョとロンドと単独のグラスハーモニカのためのアダージョだけです。