グラスハーモニカの世界 | geezenstacの森

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ブルーノ・ホフマン
グラス・ハーモニカの世界

1.モーツァルト/アダージョとロンドK.617
 Adagio 6:10
 Rondo 9:37
2.モーツァルト/アダージョハ長調 K 617a 4:01
3.ライヒャルト/グラスハーモニカ、弦楽とコントラバスのためのロンド変ロ長調 8:54
4.ローリング/グラス・ハーモニカと弦楽四重奏のための五重奏曲ハ短調 10:28
5.シュッツ/ラルゴハ短調 4:38
6.ノイマン/グラス・ハーモニカ、フルート、ヴィオラとチェロのための四重奏曲ハ長調 11:56

 

演奏
グラス・ハーモニカ/ブルーノ・ホフマン
フルート/K.H.ULRICH
オーボエ/ヘルムート・フッケ
ヴァイオリン/HERBERT ANRATH,WALTER ALBERS
ヴィオラ/ERNST NIPPES
チェロ/HANS PLUMACHER
コントラバス/GERT NOSE

 

MMG VOX PRIMA MWCD 7150

 

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 以前はLPで所有していましたが聴き込んでかなりくたびれてきていたのでCDも購入しました。ここでグラス・ハーモニカを演奏するブルーノ・ホフマンは近年この楽器を復活させた第1人者で、このVOXへの録音の他グラモフォンやフィリップスにも録音しています。ホフマンは1913年にシュトットガルトに生まれました。最初はピアノやオルガンを演奏していましたが60歳代になってからこのグラス・ハーモニカに転向してこの楽器を復活させたのです。現在では、デニス=ジェームスと高橋美智子がこの楽器を演奏してCDを出しています。ただ、2種類の楽器があるようでデニス・ジェームスは機械式、ホフマンと高橋道子はグラスを並べて演奏しているようです。
このアルバムのジャケットは不思議な事にこの機械式のグラス・ハーモニカの写真を使っています。LP時代はイメージ写真のジャケットですが品がありました。


 モーツァルトが書いたグラスハーモニカのための作品は、作品として残っているのはK617だけですがフルート、オーボエ、ヴィオラ、ヴァイオリンとチェロのための五重奏曲としてのアダージョとロンドと単独のグラスハーモニカのためのアダージョだけです。もちもと楽器の制約上早いパッセージの演奏は不可能なのでこのディスクで取り上げられているのもゆったりしたテンポのものばかりです。グラスの奏でるホワッとした音色は夏向きで風鈴代わりに夏場引っ張りただしてきて聴きます。

 

 

 

K,617a

 

 そうそう、身近なところではサンサーンスの「動物の謝肉祭」のなかの水族館という曲でこの楽器が使われるのですが、チェレスタやピアノで代用してしまっているので一般にはあまり知られていません。

 

 モーツァルトの作品はどこが宗教的な香りのする厳粛的な出だしで始まります。まるでフリーメーソンのための音楽のような響きです。幻想的なグラスハーモニカの響きがゆったりとしたα波を醸し出しています。

 

 ライヒャルトの作品は作品のレベル的にはモーツァルトに比べるとちょっと落ちますがチェロの響きがグラスハーモニカに絡むように奏でられ音楽の流れ的には好い曲目の配列になっています。

 

 ローリングや前述のライヒャルト、つづくシュッツの作品は弦楽との組み合わせの曲で響き的にはやや単調になるところがモーツァルトとの作品の質の違いとなって現れています。その点、最後を飾るノイマン(1741-1801)の作品はフルートが加わるだけで和音に幅が出て聴き応えが出てきます。ハ長調の調性もいいのか田園曲風の爽やかなサウンドでこの曲をまとめています。

 

 

 それにしても、CDは2万㎐以上はカットされているため音の伸びという点ではアナログのLPの方が全体としてまろやかに響きます。本来は高周波成分が多いためかえってCDの方が聴きやすいはずなのですが、ここはどうみてもアナログLPのサウンドの方が体には良い響きに聴こえます。これだからLPは処分できません。

 

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 蛇足ですが、グラスハーモニカとはガラスコップのふちを指でこすって天国的な音を出す楽器で、のちに指先の振動のためにあまりの長時間の演奏から神経麻痺なる人が現れ演奏禁止にされたのですが、本当の理由はあまりにもα波が多い天国的な音ゆえに、黒ミサなどの秘密結社に利用されることを恐れた為政者の陰謀だという説もありますね。