過去記事の修正 87
クラシック編
自分の過去の記事を見ていてびっくりするのは、記事の中に真っ白い空白がいくつも存在することです。まるで書籍の文章が黒塗りされているような錯覚になります。それと、削除されてしまったリンク先とか、無駄なwikiコードが記事に残っていたりするとがっかりしてしまいます。中にはこんなレコードやCDを取り上げていたんだと本人が驚くことがしばしばです。そんなこんなで、少しづつ過去記事を修正しています。
取り上げるているは1975年にリリースされた日本コロムビアの「PCM録音へのお誘い」です。これは後に第2集も発売されました。日本コロムビアは1972年にPCM録音機を開発実用化し、スメタナ四重奏団のモーツァルトの弦楽四重奏曲第15番と17番「狩り」を収録したものを第1号として発売しています。これは以前このブログでも取り上げています。今ではこのPCMという言葉は死語になってしまいましたが、一般に言うデジタル録音のことです。この画期的なシステムが産声を上げたのはアメリカでもヨーロッパでもなく日本だったのです。
クレンペラーというのは不思議な指揮者です。若い頃は同時代の音楽を積極的に取り上げていてまるで現代音楽の旗出のような存在でした。しかし、晩年EMIの専属になり、レッグのもとでフィルハーモニアと録音をし始めるとそういう音楽には見向きもせずに、ドイツオーストラリア系の本流ばかりを録音するようになります。実際、今聴けるクレンペラーの遺産というものはそういったものが大半を占めています。思うに、当時のCBSのワルター/コロンビア響に対する対抗意識が働いていたのでしょう。
この全集でのプラッソンの指揮ぶりは、月並みな表現ですが、やはりお国ものは上手いなぁという印象です。ただ、そのすべてが最良というわけにはいかない所がこの指揮者の弱点なんでしょう。特にドビュッシーやフォーレ、ラヴェルなんかは音楽が大人しすぎて、その証拠に日本ではあまり評価されていません。まあ、この人はマイナーな作品に手腕を発揮しているといってもいいのではないでしょうか。その代表がこのオネゲルの様な気がします。
ジャケットを見る限りこれはノンサッチのオリジナルレコーディングのようです。ノンサッチのレコードは録音も良いことでは定評があり、長岡鉄男氏の「外盤A級セレクション」でも取り上げられることが多かったレーベルです。ただし、この一枚は編成が小さく、ちょっとオンマイクすぎるのが全体にぎらつくのが残念です。最初、このアルバムを見つけた時選曲の妙で気に入りました。決してメジャーな作品ではありませんが、それぞれの作曲家が歴として残している作品で、いわば当時の村の楽士達がお祭りなどで演奏したポピュラーな曲なんでしょう。
レコード時代はほとんど評価されることなく、レギュラー盤で出ても直ぐに廉価盤で再発されるのが常というハイティンクなのでした。小生が手元に有るのもハイティンクのパイロット盤として1,300円盤で出たものです。しかし、これを侮ってはいけません、当時のフィリップスの録音は優秀でした。フィリップスでは後にデイヴィス/コンセルトヘボウ盤が発売され、こちらも優秀録音ということで話題になりました。デイヴィスは1976年の録音で、こちらが売れたこともあり、日本では早々に廉価盤に組み入れられたのでしょう。
マゼールは録音歴が長いので、てっきり以前にもこの曲を録音していただろうと思っていたのですが、意外にも初録音なんですなぁ。小曲では交響詩「死の舞踏」は同じCBSににフランス国立管弦楽団と録音しています。そこでは何とヴァイオリン独奏をマゼール自身が務めているという極めつけの演奏になっています。しかし、ここではおとなしくコンサートマスターにその席を譲っています。何でも、ウィーンフィルと決別し、ニューイヤーコンサートに登場するのを止めてしまってからはまったくヴァイオリンを練習しなかったそうな。これではヴァイオリンソロはちょっと無理ですわな。
小沢征爾がこの曲を録音していたなんて知っています?ここではライセンスで販売されたCDを取り上げていますが、もともとLPで発売された時は、この曲とルストワフスキの「管弦楽のための協奏曲」とカップリングされていましたからほとんど話題にはなりませんでした。あまりにもマイナーな曲との組み合わせですからね。まあ、小沢自身は70年頃はレパートリーの拡大に努めていましたからこういうカップリングになったのでしょう。2003年に限定盤で国内盤も出ましたが余程のマニアしか手を出さなかったのではないでしょうか。
今回取り上げたこのCD、何とモーリス・アンドレがマリナーと共演しているではありませんか。そして、レーベルはエラートです。EMI辺りならありそうな組み合わせ(実際にあります)ですが、エラートにこんな録音が有るとは知りませんでした。そして、びっくりです。所有していて気がつかないとは何とも間抜けな話しです。マリナー/アカデミーは古楽器による演奏が一大勢力になる前、バロック音楽を精力的に幾つかのレーベルに録音していました。当時は毎月のようにどこかのレーベルから彼らの録音が登場していました。多分、これもその一つでしょう。
ソニーにこんな音源があるとは知りませんでした。クラウディオ・シモーネがソニーに録音していたとは・・・そして、このCD1992年の発売なんですが未だにカタログに載っています。ユニヴァーサルのようにコロコロ規格を変えないのはさすがコロンビア時代からの伝統のようです。ただし、ジャケットデザインは少々変わりブルーのタイトルバックは白に変わりメトロポリタン美術館所収のGeorge Seuratの絵が大きくなっているようです。
ミュンシュの「ブラ1」といえば晩年のパリ管との録音が代表盤のようにいわれますが、嫌々どうしてこのRCAに残したブラ1も実に堂々とした演奏です。こういう演奏を聴くとベートーヴェン同様、ブラームスの交響曲全集も完成していないのがかえすがえすも残念です。ボストン響の常任を長く務めながら録音されたブラームスは、第3番を除く交響曲、悲劇的序曲、2曲のピアノ協奏曲の録音があるのみで、もったいない話しです。