バック・トゥ1970/09-2
この頃のレコ芸は、海外誌と提携していたのか、レコーディングに関するプロデューサーからの記事が盛んに掲載されています。もう一人はデッカの「フェイズ4」担当のプロデューサー、トニー・ダマートの寄稿文です。
ワルキューレの騎行の録音スナップ
写真右の女性は奥さんではありません。デッカのJ.ブライトさんです。
10本の指で的確な指示を出すストコフスキー
スコアを入念にチェックするストコフスキー
ダマート氏は御年88歳のストコフスキーの驚異的な統率力とそのカリスマ的なサウンドバランスにやはりマジックを感じていたようです。このワルキューレの騎行はこちらで取り上げています。
この号では指揮者の飯守泰次郎氏が久々に帰国して読売日響を指揮している記事もあります。
ヴァィオリン独奏は小林武史
飯守泰次郎氏はカラヤン指揮者コンクールに入賞してそのままドイツに残り、ブレーメンの歌劇場で副指揮者として活動をしていました。その合間を縫っての5年ぶりの帰国となり読響を振ったのです。そんなことで、タイトルがオペラ指揮者をあゆむ若き獅子という見出しがついています。
さて、このころから日本コロムビアは本格的に1000円盤の告知を行なっています。
丸々1ページを使って「エラート1000シリーズ」の広告です。これは「エラート1000」シリーズの第1回発売分の広告で、ジャケット写真は10枚ですが、13枚のアルバムが発売されています。そう、この当時はエラートは日本コロムビアから発売されていたのです。いずれも名盤揃いです。中には珍しいエドゥアルト・リンデンバーグの「新世界」とかブラームスの交響曲全集の告知がなされています。こんなソースはCDでは発売されたことがないのでレコードを買っておけばよかったなぁと後悔しています。
こちらはレギュラープライスの新譜の告知ですが、その中で一枚だけ「ダイヤモンド1000シリーズ」のリヒテルによるチャイコフスキーのピアノ協奏曲が発売されています。来日記念盤として発売されたものです。この月の月評でも取り上げられていますが、そこでもSTEREO表記されています。ところが、どう聴いてもモノラルなんですなぁ。本当に、評者はこのレコードを聴いて論評したのでしょうかねぇ。このレコードについての顛末はこちらで取り上げています。
さて、この当時桐朋学園オーケストラが東芝にレコーディングしています。これはこの年の秋に東欧諸国を中心にヨーロッパ11カ国を親善訪問する時に、それらの国で販売するためのレコードで、以下の曲が収録されました。
・チャイコフスキー/弦楽セレナーデ--秋山和慶
・ヴォルフ/イタリアン・セレナーデ--齋藤秀雄
・小山清茂/弦楽のためのアイヌの歌--小泉紘
・モーツァルト/ディヴェルティメントK.136
この時ツアーに参加したのは73名、指揮者陣は齋藤秀雄氏以下、秋山 和慶、井上 道義、尾高 忠明、小泉 ひろしの5名でした。
このツアーの様子はこちらに詳しく載っています。この記事、むちゃくちゃ興味深いですよ。
以下続く