ある笑顔のまぶしい女性の話。
長男が年少さんになったときクラスに何名か入園してきた。まるいめをしていて大人しく、いかに手のかからなさそうな少年。当時私は口答えばかりを楽しむ3歳長男と発達障害を指摘された1歳の次男。自分の子供たちの命を守るので精一杯。たった100メートルほどしかない自宅と保育園の距離なのに二人の命を守りながら送迎することそれだけでとてつもない労力を割いていた。まるい目をした少年のお迎えは、笑顔の絶えない、お母さん。お母さんは、いつも片手で酸素を転がしながら迎えに来ていた。少年は、お母さんの手をにぎりゆっくり横を歩きながら、帰宅していた。*************11月の週末。寒空の下の公園。元気がありあまるわが子たちを色褪せた芝生の広場に放つ。大きな深呼吸一つ。周りを見渡すと丸い目をした少年がわが子たちに声をかけ、いつの間にか三人はしゃぎまわっていた。近くには、車いすの夫婦少年の……笑顔の絶えないお母さん。車いすを押す、はにかんだ笑顔のお父さん。大人同士も話に花が咲きそろそろ帰ろうかというときいつも無邪気な笑顔を見せていた少年が車いすのお母さんの膝に乗る。切なそうな、さみしそうなそれでいて、甘えたい気持ちを受け止めてもらい安心しきった顔をした少年。少年のお母さんは相変わらず笑顔を絶やさぬまま膝にのった少年の頭をやさしくなでてそのままお互いの家族は帰路についた。それから10日も経たぬ頃だったと思う。保育園で訃報を聞いた。少年のお母さんが、亡くなった。ほんの少し前に、あれだけ笑顔を咲かせていたひとが亡くなった。なぜ、あの人が。驚き、悲しみ、苦しかった。少年とわが子はそれ以来、公園でも会わなくなった。小学校は一緒だったがクラスが沢山あるので全然かかわることも、なかった。続きます