血栓状の肛門下垂、又はデキモノ(血栓性外痔核or直腸脱…直腸瘤?)と肛門痛
直腸静脈叢のうっ血を解放する整体手技で血栓性デキモノと肛門痛を解消し、手術を回避した症例
患者Sさん=62才-女性-主婦/自営業の症例
● イボ痔、直腸瘤(肛門下垂)とウエスト矯正(体重減少)、側弯症、セルライトの整体治療=総合案内
はじめに・・・直腸-肛門付近の腫瘤と直腸静脈叢について
・直腸～肛門付近の腫瘤はまず直腸癌を疑い、専門医での精査が必要です。陰性であれば、痔瘻や痔核(イボ痔)のケースが多いですが、女子では直腸瘤の可能性なども検討する必要があります。
・今回のSさんのケースでは、直腸癌の可能性は専門医での精査により否定されていますし、膿の分泌も無いので痔瘻の可能性も低いと思われます。ですから可能性としては「血栓性外痔核」が最右翼と思われます。これは
肛門付近の血流障害によって生じやすい
、と言われています。
・Sさんの問題は、手術をしても再発する「再発性の血栓性外痔核の可能性がある」と言うこと、言い換えれば直腸周囲の血液循環に問題があるのでは、と言うことです。それは「再発性の血栓性外痔核体質」と言えるかもしれません。
・今回のケースではその血流障害の解消といった観点から治療計画を立て施術する事で、この「再発性の血栓性外痔核体質」が改善されたのでは、と思われます。当院では、直腸静脈叢をはじめ、子宮・膣静脈叢や膀胱静脈叢など、骨盤内の静脈叢のうっ血改善は、最も得意とする整体手技の一つですから、Sさんのケースでも著効を示すことが出来、手術を回避できたのでは、と考えられる症例です。
それでは、長文ですがよろしくお読みください。
不明な点やご質問は当院お問い合わせHPか、お電話 (06-6180-6880) にてご相談ください。
① Sさんの病歴…「5年前に手術したのですが、、、」
患者Sさんは5年前に肛門が痛みそれが持続したので近医を受診したところ「肛門の奥に血マメ(血栓?)があるので取り除きます」と担当医より言われたそうです。内視鏡手術で除去したところ、痛みは完治したのですが、しかしその後も時折肛門の奥が痛み出すことがあったそうです。Sさんは手術を受けたくないそうなので、痛みは何とか我慢できる範囲とのとから、現在まで放置しているそうです。しかしここ数週来、肛門の痛みが強くなり増悪傾向が続き、肛門付近にデキモノ様の感触もあるなど、5年前の状況とよく似ているので、前回と同様の手術を受けるかどうかを迷っておられました。今回別件(胃下垂など)で来院されましたが、血マメが再発しているとすれば”血マメが再発する体質が残存しているのでは”、との事から、その体質改善を目的として本件も併せて治療することになりました。
② Sさんの診察
・5年前の肛門手術に際して、担当医より「血栓があるから取り除きます」としか告げられず、具体的な診断名は聞いていないそうです(☚本人が忘れているだけかもしれませんが)。
・下血や血便は無いそうです。
・排便時やお風呂での触診時に少し肛門が下垂して、複数の粒状の腫瘤(?)の様な感触があるそうです。膣内での異物感・膨満感は無いそうです。
・腰痛と下腹部痛は起床時(臥位状態)に強く出るそうです。その部位は恥骨から臍下にかけてと、仙骨周辺だそうです。
・病院では有効な治療法がなく、近くの接骨院で治療されていましたが全く効果が無かったので、ご自身で色々な治療法を試されていたそうです(例=漢方、サプリメント、体操、ツボ治療など)。その経験上、どれも効果は無く、一番効果的だったのは「朝ぶろ」だったそうです。
・排便は毎日1回あるそうですがスッキリ排便出来ることは稀で、スッキリ排便出来た時は腰痛・腹痛が両方とも解消するそうです。しかし全部排便出来ずに残便感がある時は腰痛・腹痛も解消しないそうです。そのせいもあって、下剤(☚漢方薬)を30年以上も服用していたそうです。下剤を服用すると1日に3回ほど排便があり、残便感も解消し、腹痛や腰痛も無くなるそうです。但し、漢方薬は1年ほど前から、出来るだけ服用しないようにしているそうです。
・便の性状は普通で、血便や筋状便(リボン状便)も無いそうです。
・初潮は遅く、閉経も早かったそうです。
・生理痛はほとんど無かったそうです。また、その他の婦人科的愁訴・疾患も特になかったそうです。子宮下垂も無いそうです。
・32才の時に出産されていますが、安産で時間も短かったそうです。
・排尿障害や排尿痛あるいは不正出血は無いそうです。
・左右の下腿の冷え性があるそうです。
・下腿の神経学検査で異常はありませんでした。
・Sさんの出生時に左鼠径部(恥骨側)に軽度の鼠経ヘルニアがあったそうですが、その時の担当医師より「手術などの治療をする必要もなく、放置していても大丈夫です」と言われていたそうです。ただ、成人後も時折左鼠径部に軽い疼痛が生じることがあるそうです。
・血圧は具体的な数字は覚えておられませんでしたが、正常範囲(やや低い方)だそうです。
・血液検査でも特段の異常を指摘されたことは無かったそうです。
・腹部聴診上、血管雑音はありませんでした。グル音はやや弱めに聴取出来ました。
・腹部打診上、盲腸部~下腹部~S字結腸部は濁音でしたが、恥骨直上から臍部~左季肋部にかけては鼓音でした。
・腹部触診上、腫瘤感はありませんでしたが、盲腸部~下腹部~S字結腸部にかけて極めて著明な粘土様の抵抗感がありました。また、十二指腸空腸曲や直腸部、S字結腸部(下腸間膜静脈部位)など数か所に著明な緊張と圧痛があり、特に左下行結腸はやや緊張して触れることができ、同部の押圧で押圧部位からS字結腸~左鼠径部(恥骨側とASIS側)、さらに大腿前面に放散痛が誘発出来ました。さらに回盲部の押圧でも左季肋部にかけて放散痛が誘発出来ました。肝脾腫はありませんでした。左右の恥骨結節直上にも著名な緊張と圧痛がありました。
➂ 治療目標と整体治療・・・
残留便排出を促進し、直腸静脈層のうっ血を解消する
⑴ 腸間膜根、上・下腸間膜動静脈、腹腔動脈の循環を回復しうっ血を解放する
⑵ 胃~腸の平滑筋の疲労を回復し筋ポンプ機能を回復する
⑶ 前・後迷走神経幹-胃神経叢の伝導を回復し胃のトーヌスを回復する
⑷ 上記⑴-⑶により自力排便により残留便の排出を促し残便感を回復する
⑸ 左鼠径部の癒着(?)を解放する
⑹ 直腸静脈叢のうっ血を解放する
・平滑筋テクニック
・十二指腸空腸曲解放テクニック
・腸間膜根解放テクニック
・迷走神経幹/胃神経叢解放テクニック
・腸骨はがしテクニック
・直腸(静脈叢)解放テクニック
④ 経過と結果・・・4診目で改善 !!
・初診治療翌日、
腰とお腹に痛みが生じ、少し軟らかめの便が多めに出たそうです。しかしそれ以降から肛門の痛みが軽減しだしたそうです。
・2診目来院時、
先述の肛門痛の軽減傾向は続いているそうで、「今はあまり痛くないんです」と仰っていました。ただ、腫瘤感は残存しているそうです。
・3診目来院時、
「肛門の下垂が引っ込んで無くなっています。痛みも無くなりました。ただ、ちょっと奥にマメみたいのがある感じで、時々ビリッとするくらいです」と仰っていました。
・4診目来院時、
「肛門の下垂感はずっとありませんでした。痛みもありませんでした。(肛門の)奥の方に少しマメみたいな残存感がありますが、ほとんど気になりません」と仰っていましたので、とりあえず本件についての整体治療の目的(☚血マメや肛門下垂が生じやすい体質の改善)は達成出来たものと判断し、本件の治療を終了する事にしました。
・後日(10日後)、
別件で来院された時に本件の肛門付近に残存するマメみたいなものについて尋ねると「マメみたいなものが枯れて萎んでしまった感じで、ほとんど無くなってしまいました」と仰っていました。
⑤ 今回の症例の概説、、、
◆ 整体治療目標・・・肛門の血マメ体質の改善 !!
・今回の治療の目標は「肛門付近の血マメ(?)が出来やすい体質の改善」、そして「直腸瘤あるいは直腸下垂を呈しやすい体質を改善」する事にありました。つまり血マメそのものの除去or消失を目的とはしていませんでした。それは現段階ではその血マメの実態が何であるのか(最悪の場合悪性腫瘍などの可能性もある)、Sさんのお話からではよく分からないので、血マメの除去は現段階では専門医に委ねるべきである、と思われたからです。
・ただ、別件(胃下垂・他)の治療で来院されていたSさんについては、それなりの診察を当院でもしていましたので、少しはその原因についての予想がありました。それは触診上、直腸あるいは子宮膣静脈叢、膀胱静脈叢付近に深くて著名な緊張感があったからです。そして、ひょっとしたらそれらが肛門の血マメ体質(?)の改善についての突破口になるのでは、と思われたからです。
◆ 肛門付近を支配する神経や血管の圧迫を解放する整体治療目標 !!
・血栓は色々な原因で発生しますが、例えば血流が遅くなる事でも血栓が生じやすくなると言われています(☚連銭)。つまり、上記骨盤下部の各静脈叢付近の緊張により血液循環が遅くなっていることで血栓が出来やすい体質になっているのかもしれません。Sさん本来の主訴である胃下垂は、その大彎部が恥骨直上まで下垂していることが病院での画像検査等で確認済みですので、これも各静脈叢緊張部の上に圧し掛かり、血流減弱➡血栓発症➡肛門痛=に影響していたのかもしれません。
・また、骨盤下部の各静脈叢付近の緊張は、肛門の内・外肛門括約筋あるいは肛門挙筋などの骨盤底筋を支配する「陰部神経」や、骨盤底筋群に血液を供給する「下膀胱動脈、子宮動脈、中直腸動脈、内陰部動脈」などの内腸骨動脈流域を圧迫し、前者では同神経の絞扼性神経障害を、後者では血流障害による肛門挙筋群の筋力低下を招き、その結果=直腸下垂=を呈する可能性があります。
◆ 4診目で血マメが消失 !!
・この様な仮説から、各静脈叢付近の緊張を緩和し、先述の神経や動静脈の循環を回復する事が出来れば、Sさんの肛門の血マメ体質や直腸下垂体質などが改善できるのでは、と考えました。そしてそれは予想以上に早期効果があったのでは、と思います。
・それはまず第一に、初診治療翌日には劇的に肛門痛が軽減-消失し、そしてその後も順調に推移して4診目には本件に関する全ての症状が消失、さらに治療終了後の10日後には「マメみたいなものが枯れたしまった感じで、ほとんど無くなってしまいました」と、マメ自体も消失した事からも言えるのでは、と思います。
Ps
三か月後にSさんから連絡がありましたが、この三か月間に一度も血豆みたいなものは出ていなかったそうです。
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