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サンマ資源の国際管理

北太平洋漁業委員会(NPFC)の第3回委員会会合の結果概要が7 月15日に水産庁から発表された。これによると、会合は7月13日から15日まで札幌市で開催され、最近、漁獲量減少で報道されることの多いサンマや、その反対に漁獲量が増えているマサバの許可隻数やIUU(違法・無報告・無規制)漁船リスト等について議論された。参加国は、日本、カナダ、ロシア、中国、韓国、米国、バヌアツ、台湾。

 

本年に行われたサンマの資源評価に基づいて我が国は、国別に漁獲上限を設定することと、漁船の許可隻数の増加を禁止する措置を提案。これらに対し、中国、韓国、台湾による許可隻数増加の禁止は合意されたが、国別漁獲上限には合意が得られなかったと報告されている。

 

我が国が提案した漁獲上限は、全体を56.4 万トンとして、日本24.2 万トン、ロシア6.1 万トン、中国4.7 万トン、韓国1.9 万トン、台湾19.1 万トン、その他0.4 万トン。日本だけが多いと思うかもしれないが、これまでの漁獲実績に基づいたものなので実態を反映している。

 

合意が得られなかったのは、漁獲上限の割り当て量ではなく、その考え方にあるようだ。すなわち、サンマは2年魚なので、毎年の資源変動に対応した漁獲上限を設定すること自体が難しいということだ。来年は日本で再度議論されることになったので、それまでに国別漁獲上限の考え方を整理しておく必要がある。

 

会合では、我が国の提案をもとにしたIUU漁船リストも採択され、無国籍船23隻の掲載が決定された。マサバを主な漁獲対象としているIUU漁船の多くは中国から来ているようなので、我が国から中国に対し違法漁船の根絶を要求し、中国も最大限に努力すると回答したということだ。持続可能な漁業資源の利用のためには、加盟国・地域が協力してIUU漁業に対処しなければならない。この合意は、IUU漁業の根絶に向けて大きく前進したと言えるだろう。

クロマグロ未成魚の漁獲半減努力に報いることができるか?

月1日に水産庁は、「中西部太平洋マグロ類委員会(WCPFC)第13回北小委員会」の概要結果を発表した。この会議は、太平洋クロマグロなどの持続的利用などについて話し合われたもので、韓国の釜山において8月28日から9月1日まで開催されていた。

 

参加国は、日本のほかに、韓国、米国、カナダ、台湾などの7カ国地域。北小委員会は主に北緯20度以北の海域に分布する資源について議論するもので、これらの資源を漁獲しているのは、参加国地域の中では、日本、韓国、台湾。

 

主に議論されたのは太平洋クロマグロの次期回復目標と長期管理方策。次期回復目標とは、親魚資源量を歴史的中間値(4万1千トン)まで回復させた後の次の目標のこと。今回の委員会では、現在の暫定回復目標(2024年に60%の確率で歴史的中間値まで回復させる目標)を達成した後、10年以内に60%以上の確率で初期資源量(漁業がない場合の理論上の資源量)の20%(約13万トン)まで資源を回復させることになった。

 

長期管理方策については、暫定回復目標の達成確率が60%を下回った場合、60%に戻るよう管理措置を強化する一方、75%を上回った場合には、暫定回復目標の70%以上を維持し、かつ次期回復目標の60%以上を維持する範囲で増枠の検討を可能とすることで合意した。

 

さて、これらの結果については、我が国はよく頑張ったと評価したい。太平洋クロマグロを漁獲している大中巻き網や沿岸のひき網、定置網などでは、体重30キログラム未満の未成魚の漁獲半減目標に取り組んできた。これらの漁業の中で、群れが来るのを待つ定置網では、クロマグロ未成魚が一度に大量に入網することがあり、漁獲半減を実行するのは簡単なことではない。

 

2014年以後の資源評価はまだ実施されていないので、正確なことはわからないが、漁業者によれば未成魚が増えているというのだから、未成魚の漁獲半減はその効果が出ているようだ。

 

今回の北小委員会において、「暫定回復目標の75%を上回った場合には増枠」が可能となることが合意されたことは、漁業者が漁獲半減に意欲をもって取り組んでもらう目標ができたと言える。漁業者側に立つと、今回の合意は希望につながるもので評価したい。

 

次回の北小委員会は、2018年に日本で開催されることになった。これには資源回復の手応えを持って臨めるよう官民一体でさらなる資源管理に努めていきたい。

観光地を水上飛行機で結ぶ!

ものになるかどうかは分からないが、地方によっては重要な交通手段を供給できるかもしれない、というものを勉強中です。それは、水上飛行機による交通ネットワークで、これを知ることになったのは、参議院総務委員会での視察でした。

 

参議院総務委員会では、今年2月にICT専門大学の会津大学を視察しました。そこでの説明の中に、海外富裕層向けの水上飛行機ネットワーク構想というものがありました。

 

会津若松は福島県有数の観光地でありながら、福島空港からも新幹線郡山駅からも遠いために海外からの観光客が少ない。そこで、猪苗代湖を使って水上飛行機を飛ばしてはどうかというものでした。私は、この話に大いに興味をそそられました。日本は島しょ国であり、火山国なので水面や静穏な海面が数多くあります。

 

国や地方の海外からの観光客誘致の取組によって、訪日外国人は年々増加し、過去最高を毎年更新しており、LCCやクルーズ船の増加にともなって今後もこの傾向は続くと言われています。しかし、一方で、自然景観や温泉などの観光資源に恵まれながら、インバウンドブームから取り残されている地域もあります。

 

ところで、航空法には「航空機は、陸上にあっては空港等以外の場所において、水上にあっては国土交通省令で定める場所において、離陸し、又は着陸してはならない」とあります。しかし、現在、国土交通省令で定めている場所はなく、どこの水面または海面にも離発着が可能です。ただし、利用しようとする水面または海面の上空に訓練空域などが設定されている場合があり、その場合は調整が必要になります。

 

この構想の可能性を探るために、現在、国内で唯一、水上飛行機を使って遊覧飛行を行っている尾道市の「せとうちSEAPLANES」を真山祐一衆議院議員(東北ブロック)と一緒に訪ね、開業までの経緯や運航の実際について話を聞いてきました。

 

真っ白な機体のKODIAK 100は、見た目もカッコ良く、これに乗って瀬戸内の島々を巡ってみたいという気持ちにさせるものでした。機内には、操縦席を除けば8シートありますが、定員は体重しだいとお聞きしました。せとうちSEAPLANESでは、定期遊覧のほか、チャーターフライトなど多様な利用に対応できると説明してくれました。

 

ホームページには、ミッションとして「せとうちから、水陸両用機で新しい価値を創造します。地域の活性化、観光振興、新しい交通手段の構築、災害時の支援など、水陸両用機の活用と普及で社会に貢献します 」と書かれています。そして、「常に挑戦し続ける」には、「水陸両用機で新しい価値を生み出すために、チャレンジし続けます。遊覧飛行で航空運送事業の基礎を固め、その後、水陸両用機就航の適地を探し、その特性を活かした運送事業のネットワーク拡大を目指します」とあります。会津若松で聞いた事と同様な構想を持っている企業であると理解しました。

 

乗客8人という小回りの利く水上飛行機の活用のほかに、大量輸送の観点からもこの課題にアプローチするために、翌日、海上自衛隊岩国基地を訪問しました。目的は、海難救助艇US-2を視察するためです。

 

海難救助艇US-2は国産機で、海外の大型飛行艇と比較すると抜群に性能がよく、離発着水距離が短いだけでなく、波高3mの海面にも着水する能力を有し、航続距離が長い上に低速安定飛行も可能です。そんなに優れた機体であるならば、民間利用すべきではとの声が聞こえそうです。実際のところ、民間に転用して海外展開や活用の幅を拡大すべきとの声が少なからずあると感じています。しかし、民間転用するには相当な開発費用が必要になります。

 

飛行艇による大量の人員輸送が可能になれば、入国手続きを済ませた海外富裕層を成田や関空から地方の湖畔にあるホテルまで直接運んで来ることだってできます。夢物語はいくらでも出てくるのですが、現実にするにはまだまだ程遠い状況なので、さらに勉強を重ねてみようと思っています。