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社会福祉施設のNHK受信料とは?

9月12日にNHK受信料制度等検討委員会から「受信料体系のあり方について」の答申が出ました。ここには公明党が求めてきた保育所を含む社会福祉施設の全額免除についての考え方も示されています。

 

これまでも保育所を含む社会福祉施設は、全額免除の対象とされてきました。しかし、実際には、これは平成13年以前に建設されたものに限られており、平成13年以後に建設された社会福祉施設は受信料免除の適用を受けていません。そこで、公明党は、すべての社会福祉施設の受信料の全額免除を求めてきました。答申資料にも「社会福祉施設の受信料全額免除」とあるのになぜ、このような不公平は生じているのか。

 

平成初期にはNHK決算は赤字が続いていました。NHK予算と決算が提出される衆参総務委員会では、収支の黒字化を目指しNHKの自助努力を求める意見が多くありました。これらに対してのNHKの対応は、平成28年11月の参議院総務委員会での山本博司議員(公明党)の質疑で明らかにされています。「平成13年1月まで社会福祉関係諸法に規定されている施設を免除の対象としてきましたが、法改正によって免除対象が拡大するということのないように、平成13年の免除基準の変更により、免除対象を限定的に列挙する方式に改めたということでございます」。分かりづらい答弁だが、要するにNPO法人などを含めて新たに社会福祉施設と規定される施設が法制上も増えているので、これらを受信料免除の対象としないようにしたということです。

 

しかし、受信料免除の適用と不適用を建設年度で区切るというのは、根拠が不明確であり、かえって受信料の公平負担のあり方に問題があると思います。ここ数年、NHK決算は黒字が続き昨年は受信料の引き下げまで検討されたにもかかわらず、「社会福祉施設の受信料全額免除」が実行されていない現状は断じて是正すべきです。

 

今回の答申では「免除基準に生じた不公平性や不合理性の解消を目的すること、将来にわたる財政状況への影響等を十分に考慮して、真に免除が必要な経済弱者(文化・情報弱者)に限定することが重要である」と記されています。この答申を踏まえ、平成30年度NHK予算案には、保育所を含むすべての社会福祉施設の受信料が無料となることが盛り込まれていることを期待したいと思います。

平成30年度水道施設整備費の概算要求

平成30年度概算要求額が出揃った。水道施設整備費(厚労省、内閣府、国交省)は843億円となった。毎年の都道府県の水道施設整備費の要望額は800億~900億円なので、これを踏まえた合理的な要求額と言える。しかし、昨年を振り返ると、当初予算は前年度より増額ではあったものの355億円にとどまり、大型の補正予算となった平成28年度補正で400億がつくという結果であった。

 

民主党政権の事業仕分けによって平成23年度に大幅減額された水道施設整備費を、全国の要望額に応えられるように公明党上水道事業促進委員会を立ち上げ、これまで取り組んできた。その理由は、昭和40年代から50年代に建設された水道施設が老朽化し、大量に更新時期を迎えていることだ。水道施設の老朽化は、漏水事故の多発や災害時の復旧の遅れなどを引き起こす。水道は利用料収入によって賄われるが、急速に進む人口減少、単独世帯の増加や節水意識の普及などによって十分な給水収益を得られない市町村が増えており、これらでは国の財政支援が欠かせないものとなっている。

 

平成30年度要求額の内訳をみると、公共事業を据え置いて要求し、非公共の「生活基盤施設耐震化等交付金」を増額要求している。この交付金は、導水管や送水管などの基幹管路の耐震適合率が低い(平成27年度には全国平均で37.2%)ことを踏まえ、平成27年度に新たに創設されたもので、水道事業収益が赤字の事業体で利用されている。平成29年度の耐震化交付金予算は169億円であったが、これは要望額の70%代にとどまっており、緊急を要する予算だけに増額を実現しなければないと思っている。

 

ところで、通常国会に提出された水道法改正案は継続審査となってしまった。これは、法案審査に時間を要したのではなく、多くの審議時間を要した他の法案の犠牲になったというべきであろう。昨年10月の参院予算委員会では、人口減少のもとでの水道施設の更新と事業継続のために、広域化の推進、コンセッションの導入、そして指定店制度の見直しを取り上げ、法案の柱となっている項目の重要性を議論させてもらった。臨時国会が召集されれば本法案の成立を目指し努力していきたい。

 

この法案の中には、水道施設台帳の未整備の市町村に台帳整備を求める内容が含まれている。水道管の老朽化の実態を把握できていない水道事業者には、事故につながる前に台帳を整備してもらわなければならない。しかし、台帳整備には多くの労力が必要であるため、実際にこれを行うにあたっては小規模水道事業者への技術的、財政的な支援が必要となるだろう。

ネット同時配信に期待

7月20日に情報通信審議会は、放送コンテンツの制作・流通の促進方策のあり方について中間答申を提出した。この中にはブロードバンドを活用した放送サービスの高度化の方向性も示されている。いわゆるネット同時配信だ。

 

メディア環境は近年、急速に変化してきている。1990年代後半にはPCが家庭に普及し、情報を得る手段として新聞やテレビに加えてインターネットが加わった。2010年以降になると、モバイル端末としての携帯電話が急速に普及していく。その結果、テレビを見ない人の割合が増加した。さらに現在は、スマホやタブレットなどモバイル端末が多様化し、テレビを見ない人の割合は2011年の約5%から約10%に増加した。私の19歳になる息子も、テレビや新聞をほとんど見ないでスマホばかり使っている。今後、テレビを見ない人やネットのみの利用者はさらに拡大することが予想されている。

 

PC、スマホ、タブレット等の普及は、日常生活の中でテレビを見るのが当然だった頃からみると視聴方法を多様化させてきた。テレビ時代は、限られた放送コンテンツを否応なく見ていたのだが、今は見たいものを選んで見ることができるようになっている。こうした状況を踏まえ、一部の放送事業者はブロードバンドを活用した同時配信の取組を始めている。同時配信は、視聴者にとっては、放送コンテンツをより手軽に視聴できることや、災害情報を入手しやすくなるなどの利便性向上につながると考えられている。

 

一方、課題もある。注目されるスポーツや災害発生などによりアクセスが急増したときの対応、また、ネットワーク利用に係る費用負担や権利処理のあり方などだ。権利問題を整理するには時間を要するので、同時配信されるコンテンツは権利問題の生じないニュースが中心になるだろう。また、費用負担の問題は、地方の放送事業者を含めた多くの放送事業者が参画できるようにしてコスト低減を図ることが考えられている。このように放送コンテンツの2次利用が進むと、放送コンテンツの製作・流通環境の改善が必要になってくる。情報通信審議会では来年の夏ころには最終答申をまとめる予定になっている。