弊社のソリューションの特徴であるマネジメント実践道場やアクションラーニングでは、半年から1年以上に渡ってクライアントとのお付き合いが続く。


ファシリテーション上の必要もあって、クライアントの業界のことは、なるべく調べるようにしている。


もともとマーケティングのコンサルティングの会社にいたので、業界研究は自分のDNAの中に組み込まれているのかもしれない。マーケティングの仕事をするには、クライアントより業界のことに詳しくなければ仕事にならない。


また、いろんな業界のことを知って、受講生と突っ込んだ会話ができるのも楽しい。


「ライバルのA社は新素材を使って、攻勢をかけてきていますが、営業としてはそれをどう捉えていらっしゃるんですか?」


「ああ、あれは一部では騒がれていますが新素材の弱点はこれで、うちとしては脅威に思っていないですよ。」


などというやり取りが重要なのだ。


単に講師とかファシリテーターという立ち位置から、急に距離が近づくのがわかる。


受講生からは、「うちの会社のこと良く知っていますね」などと言われるし、親切にいろんなことを教えてくれたりする。


そういう会話から、業界の裏事情が見えてきたり、受講生の本音が垣間見えたりするものだ。


研修講師の中には、フラットな見方をできないのでクライアントの業界情報はあえて調べないという方もいるが、私はとことん知りたいほうだ。


あるクライアントのおかげで、ここ1年で鉄道のことにすごく詳しくなった。鉄道というのはマニアックなファンがたくさんいるので、情報誌も多い。


だいたい新幹線や在来線、私鉄の車両がどのメーカー製造なのかもわかるようになってきた。


また、新たにお付き合いし始めたクライアントからは技術者魂や伝説の開発物語がたくさん聞けて、これも面白い。


「毎日、部下を怒鳴ってしまいます。自分でも良くないと思いますし、自分自身もイライラして仕事にいい影響があるはずもないのですが、ついつい怒鳴ってしまうんですよね。」


というマネージャーがいた。


他のマネージャーからは、こんなアドバイスが出た。


「部下に期待しすぎ。その社歴だったら、そんなにできないよ。もう少し期待値を下げればどうか。」


私からは、「叱る前」に、叱る基準を公開したらどうかとアドバイスをした。


「私の場合は、誠実ではない時に怒る。失敗をごまかしたり、できないのにできると言ったり、悪い報告を伸ばし伸ばしにしたりといった場合。


「それから、何も考えずに、何の改善も試みずに、同じ失敗を繰り返した時。


「手抜きをしたり、いい加減なことをして、失敗した場合。


「逆に、新しいことにチャレンジして失敗した場合は、賞賛する。


「こんな時には、激怒するからそのつもりで、とあらかじめ怒りのポイントを明らかにしておくと、部下はその地雷を踏まないようにやってくるものですよ。」


1ヶ月後、くだんのマネージャーが嬉々として発表した。


「アドバイスを元に実践してみたら、怒鳴る回数が激減した。今は週に1・2回あるかないかになりました。部下とのコミュニケーションも取れ、信頼関係も築けつつある。」


とのことだった。


行動をして成果を出したマネージャーに心から拍手をした。

先日、ある会社の研修で、ふと「静寂」を感じた。


受講生に個人ワークをやるようにと言い終えた瞬間、「静寂」に包まれた。何だろうと思って集中してみると、外からはセミの声やトラックが通り過ぎる音、それに室内ではプロジェクタがうなる音が聞こえる。


それらの音が聞こえてきても、「静寂」なのである。


何かの前兆かもしれない。


U理論では、「静寂」の後に大きな飛躍が起こるとされているが、それと同じ種類の「静寂」なのだろうか。


単に涼しい風が教室を通り抜けてたから?


この受講生たちに指導するのは今日が最後かも?


単に場の雰囲気が冷めてたのかも?


研修の継続術中を暗示しているのか?


いろいろ意味を考えたが、こじつけのような気もする。


その後の別のワークショップや研修でも注意をしてみたが、同じような感覚の「静寂」は感じなかった。


最初に感じた「静寂」が大きな川とすると、その後のワークショップで感じたのは小川のようなちょろちょろした「静寂」だ。


どんなときにこんな感覚になるのか、もう少し探究したい。