こんにちは。行政書士もできる往年の映画ファンgonzalezです。
訪問ありがとうございます。
もうかれこれ50数年前の話。街角で見かけたポスターに惹かれ、親父に連れてってくれとせがんだ甲斐あって、生家の近所にあった劇場へと赴くことになった。
そこで観たのがこれ。
何故か浜美枝だけが目立つ演出
『キングコングの逆襲』 King Kong Escapes (67) 104分
梗概
マッド・サイエンティストにして国際的犯罪者ドクター・フー(天本英世)は、東洋のとある国家から北極圏に埋蔵されているエレメントXなる核物質の採掘を依頼される。彼は国連所属機関からロボットの設計図を盗み出して完成させ、遠隔操作で採掘を図る。が、エレメントXから発せられる強烈な磁気で作動不能に。そこで某国の工作員マダム・ピラニア(浜美枝)のアイディアで、キングコングを捕獲して催眠状態にして採掘させることに。
しかし、予想外に早くも催眠効果が切れ、コングは東京へと泳ぎ渡る。その間に完成させたメカニ・コング2号を積載して後を追うドクター・フー。遂に二大巨頭は首都決戦へとなだれ込み、ラストステージの東京タワー上で勝負が決する。
今はもう現存しない映画館だが、子供の足でも徒歩ですぐの場所にあった。『宇宙大怪獣ギララ』や、東京ぼん太の映画や時代劇なども観た記憶がある。
当時はすでに怪獣に目覚め、かなり入れ込んでいた。そのくせウルトラマンと発話できずウルトロマンとしか言えなかったことも自覚していた。そんな遠い記憶の出来事だ。
本作を観たいと思った動機は、ずばりメカニ・コングにある。
あ、当時の表記がメカニコングに非ず、メカニ・コングだったのでちょっとこだわってみた。
*初号機見参!*
そのメカニ・コングは、全身メタリック仕様でつるりとすべらかな体表。腹巻状にダイナマイト様の物騒なシロモノをぐるりと巻き付けている。体形はもちろん類人猿ぽく腕が長く前傾姿勢。顔までゴリラに似せている。初号と2号の二体が製造された。
2号機は、目から怪光線を発し、頭部のてっぺんにあるライトからはコングに向けて催眠光線を照射していたような気がする。
*2号機登場*
建造施設内に聳え立つ雄姿は、出動前に控え立つジャイアントロボさながら。
*いざ、採掘始動*
全身これ欧州の甲冑状で、肩や肘、手首から指など可動部分の仕上げもばっちり。鉱物採掘向けだけあって背中や下半身も極めてシンプル。ところどころに打たれたビスもメカメカしさアップに寄与する。
*ジャイアントロボばりの雄姿*
顔の特徴として、目が極端に中央寄り。口から顎にかけてもガンツ先生のようにがっしりしたうえ前方に突き出して見事なまでに類人猿。
まさにパーフェクトな造形美。今更ながら完成度の高さにため息が出る。
が、成長するにつけて、別に全身ゴリラ仕様でなくともいいのでは?との疑問も生じた。当然メカゴジラだって必ずしも外観をゴジラに似せる必要性もなかろうに。とも思うに至った。もっと機能的な設計だってできるだろうに。何故あえてそっくりさんを製造するのか。
*本家よりも愛嬌あり*
いや。そうではないのである。子供向けとしてはヴィジュアル面をないがしろにはできないのだ。彼らの興味を惹くには本家に似せたライバルが手っ取り早い。
ルックスも、一目で生命体と判じられるコングやゴジラに対し、メカメカしさ抜群の好敵手、という有機質vs無機質みたいな方が俄然興味を掻き立てる。
当時の自分が駄々を捏ねて、観たい観たいとねだったのだ。その効果たるや絶大なこと証明済みなのだ。この歳になってさえそう思う。
さて、映画の内容などほとんど忘れかけているのだが、観終えて残った印象は、主役はキングコングでもメカニ・コングでも、はたまた宝田明でもなく、天本英世扮するドクター・フーだった!ということだ。
そもそも自分としてはキングコングなど眼中にはなかった。なぜなら怪獣というよりもただの巨大なゴリラだし。不細工な面構えだし。カッコよくないし。それよりもゴロザウルスの方がよっぽど魅力的だった。ので、あまり注意が向かなかったせいもあろう。
捕獲するためのヘリが飛翔する中、岩のすき間からぬっと出てくる姿がもっとも記憶に残る程度。ま、目当てはメカニ・コングだからそれで構わないのだがね。
あとは東京タワーでの小競り合い後、メカニ・コングの落下と大破も迫力に満ちていた。
今思えば、本家キングコングへのリスペクトがそこかしこに表出する作品であった。そこは円谷英二の思い入れが注入された結果であろう。
だが、当時はそんなことは知る由もなく、ドクター・フーの最期こそが最も鮮烈な記憶となって今に至る。
*天本英世と浜美枝*
実はボンドガール浜美枝演じるマダム・ピラニアの末路さえも憶えていないのだ。よほど天本英世の怪演ぶりが印象的だったのだろう。お目当てのメカニ・コングですらかすんでしまうほどであった。
ドラマそのものはそれなりだが、ゴロザウルスの生物感あふれる皮膚や造形は素晴らしいし、大海ヘビの操演も見事である。勿論メカニ・コングの出来栄えも。
スーツアクター中島春雄の動きもいかにも類人猿ぽくて抜かりが無い。
プラス、ミニチュアセットも最高の完成度。恐らく今でも大人の鑑賞に耐え得るショットが満載のはずだ。
さて、その後リバイバル上映もあったようだが、それは観ていない。ただ学友がドクター・フーではなく、何故かドクター・ヘーと誤った発言をしていたことが心に引っ掛かったことはよ~く憶えている。
*左)田島義文、右)黒部進*
あれから半世紀以上経過した21世紀の現在。父親もすっかり老け込み要介護。思い出話がしたくなる自分も随分と歳をとったな、と実感する昨今である。
*奮闘!ゴロザウルス*
本日も最後までお読み下さりありがとうございました。
*善戦虚しく敗れ去りぬ*
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