レベル4の暴力度『ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃』 | 徒然逍遥 ~電子版~

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訪問ありがとうございます。


新生『ガメラ』シリーズ金子修介監督が、かねてより熱望していた『ゴジラ』映画に遂に参画。

平成シリーズからミレニアムシリーズへと変貌を遂げたラインナップをどう料理するか誰もが気にするところだった。
 

『ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃』 (‘01)
梗概:ゴジラが現代に甦った。彼は太平洋戦争で戦死した兵士の念が具現化したものと思われる。太平洋戦争の亡霊。迎撃するのは神代の時代に封じられた“護国聖獣”たち。

天=キングギドラ。地=バラゴン。海=モスラ。先鋒バラゴンは巨大な暴力の前に力尽きた。

残るモスラとギドラがタッグを組んで立ち向かう。が、ギドラが失神しているうちにモスラも殲滅さる。

いまわの際にギドラに己のエナジー全てを託す。パワーアップしたギドラが最後の砦となり、国土を死守すべく全力でゴジラに立ち向かう。


みんながゴジラを見て吃驚。ママ、白目むいてるよっ!こら、見るんじゃありません!!


もう凶暴凶悪の権化と成り果てて、気に入らねえヤツぁぶっ殺す。みたいなオーラを全身から大放出。

相貌は白目の狂犬の如き有様で、何が気に障るのかただただ憤怒の表情がこわばり張り付いた感じ。話し合いの余地無し。一切の交渉を峻拒するかのような問答無用の理不尽な暴力性に溢れている。
恐らく当時としては過去に類を見ない最強最凶のゴジラであっただろう。


で、そんなゴジラに相応しく、オープニングタイトルがケレン味たっぷりの出来栄えで、否応無く期待感が亢進。


して、期待を裏切ることのない登場シーンに大満足。シリーズ屈指の名場面に数え上げられることだろう。


ここで最初の犠牲者は祖父と孫の名も無き二人の漁師。中村嘉葎雄と意外や加瀬亮。加瀬がまだ売り出し中の若手だった頃だ。

 

ついでだが、後半最終場面に至るところで再度同様のアングルで海中から姿を現す。
ただ、3.11を経験してしまった今では、ちょっと怖すぎる感覚が無くも無い。津波の脅威を連想してしまう。
 

さらにはゴジラが歩を進める先に立ちはだかる小高い山も、ぶん殴りけっ飛ばしぶっ壊すなどして前進あるのみ。ルックスに見合った暴虐振りをいかんなく発揮する。


熱線放射も、背びれが輝き周囲の磁場が変化するかのような空気感を伴いつつ、思いっきりタメを効かせ、然る後に大放出。キノコ雲すら発生する猛威に目眩する。


 

対するは“護国聖獣”先鋒、地の守護神バラゴン(波羅護吽)


歴然とした体格差を自覚してか変則的戦法でゴジラをかく乱。地中にもぐりこみゴジラを穴にはめる。

高台から跳躍しての体当たり。など。


しかし、怪獣王はバラゴンの大きな顎に噛みつかれても力任せに振りほどく。尻尾でびしばし打擲する。挙句にヲラヲラとばかりにヤクザキック連発。終いには顔面踏みにじり
報道カメラマンが観客の気持を代弁した。もう見ていられませんよう。と。


                            *ゴジラ、でかっ*

 

結局最後の空中殺法も尻尾一振りで不首尾に終わり、熱線がーっと浴びて消滅。痛々しい対局に終始した。狛犬似のバラゴンいと哀れなり。タイトルからも省かれているし。


観る者はここでゴジラ恐るべし、と同時にゴジラ憎むべし、との感情を共有する効果をもたらす。


次いで海の守護神モスラ(最珠羅)と一戦交えるが、飛翔するモスラに中々熱線が的中しない。

おかげで高層ビル群がばたばた倒壊。甚大な被害をもたらす。ちょっと罪作りなモスラ。

意外やモスラは熱線喰らっても致命傷に至らず奮闘。これは初見だが、ボディから何やらつぶてを放出し意表を突く。


だが長期戦になると戦局は劣勢に傾く。と、そこへ心強い天の守護神ギドラ(魏怒羅)参戦。
ご~っと凄い速力でゴジラに駆け寄り三つ首が噛みつきまくる。が、2対1のハンディキャップをモノともせずギドラを叩きのめして失神させる。もう手の施しようのない○違いのようなゴジラ。


再びタイマン勝負となったモスラも、防衛軍の一斉攻撃を跳ね返したゴジラに至近距離からの熱線を喰らい消滅。

 *放射準備のタメに入り・・・* *振り向きざまにガオ~ッ*
 

しかし、鱗粉状に見える精神的エナジーか何かが驟雨の如く眠れるギドラに降り注ぐ。
と、みるみるうちに元気百倍パワーアップしたギドラが“千年竜王”となり覚醒。ことこれに至って“キング”ギドラ見参。

 *千年竜王復活*

 *対峙する両雄*
 

海中に戦場を移しての大乱戦。防衛軍の潜水艇もゴジラの傷口を狙い魚雷を打ち込もうと虎視眈眈。

ギドラに誤爆してダメージを与えるなど足手まとい感ハンパ無いが。


結局ギドラもボルテージ高めの熱線大放出により消滅。皆さん唖然。

 *キングも散った・・・*


ゴジラ最強最狂最凶伝説ここに極まれり。といった趣だ。その先は伏せておく。


さて、出演者の顔触れにも言及しておきたい。
加瀬亮のみならず、意外なところに意外な役者が起用され、一言程度の台詞を言って退場、みたいに次々と現れては消える。台詞無しの人もいるし。


温水洋一、笹野高史、木下ほうか、佐藤二郎、塚本高史、かとうかずこ、前田愛、前田亜季、篠原ともえ、松尾貴史、高橋昌也、津川雅彦などなど。


謎の在野研究家に扮するは天本英世。怪奇モノには欠かせぬ役者の起用はまさにツボ。

『護国聖獣伝記』なるトンデモ書物を執筆した奇人役である。


 

ところで、本作の舞台設定は1954年にゴジラ退治してから当時までの50年余、ゴジラ再出現はなかったというシチュエーションなのだ。そして、日本政府と防衛軍、報道陣、加えて戦争の記憶など人間側のドラマを描いている。
ゆえに初代『ゴジラ』の記憶を思わせる記号がしばしば画面の背景に写りこむ。
同時に人材の大量投入も含めて、何とは無しに『シン・ゴジラ』と通低するセンスを感じさせるが如何なものだろうか。


それから、エンドロールで流れるのが伊福部昭の耳馴染みある楽曲群。最後までサービス精神が横溢していた。
ちなみに、大谷幸のゴジラのライトモチーフとなる曲も最高度に素晴らしい部類に属する仕上がりだ。


最後に、ここわずか10年余りの間にモスラもリアルな昆虫っぽくなってきたと感じる。『ゴジラvsモスラ』(‘92)のモスラは目も当てられない程のぬいぐるみ感抜群だったが、今回は色彩といい造形といい結構な出来栄えだったことを記しておこう。
 *シン・モスラ?*
本日も最後までお付き合い下さりありがとうございました。

 *思わせぶりなラストシーン*

 

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