正月映画はクリントに任せろ!『ガントレット』 | 徒然逍遥 ~電子版~

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【漢祭り】開催中!

 

今となっては懐かしいだけだが70年代半ば以降しばらくの間、我邦の正月映画はクリント・イーストウッドが支えていた。嘘ではない。本当だ。
本作もそう。


『ガントレット』 The Gauntlet (‘77) 109分
梗概
フェニックス市の警官ショックリー(イーストウッド)は新任の警察長官よりラスベガスからある裁判の証人を護送するよう命を受ける。だが、証人の女(ソンドラ・ロック)は命を狙われているという理由で頑として移送を拒絶。強引に連れ出すも追尾する警察が発砲。女の家に立ち寄ると警官隊に包囲されて銃撃。

パトカーをジャックして州境へ向かうもパトカーはハチの巣に。暴走族のバイクを強奪するとヘリが銃撃。

実は女の証言は長官にとってスキャンダルのネタだった。進退極まるショックリーは大型バスを奪い、鉄板で補強して意地を賭けてフェニックス市へと乗り込む。

イーストウッド自ら監督・主演を務める。当時47歳くらいか?まだまだ若く髪も健在だ。
ハリー・キャラハンと違って冴えない飲んだくれ警官といふキャラ。ヒーロー然とした敏腕デカじゃあないのである。長年外回りの現場でコンビを組んできた仲間は昇進して内勤に。彼は証人ごと抹殺される役回りを担わされた。情けない話である。


しかも、護送する女から長官が怪しいと理路整然と注意喚起される。警察の人間を信じたい気持ちと、本格的にヤヴァイという予想の狭間で揺れ動く。
が、現実を直視し、唯々諾々と抹殺されるなんてまっぴらだ。と漢の意地を見せつける。ただそれだけのために命を賭して証人護送を完遂する。


この場合、警察官=ガンマンである。


『真昼の決闘』(52)、『シェーン』(53)、『OK牧場の決斗』(57)、『リオ・ブラボー』(59)、『荒野の七人』(60)等々。多勢に無勢の負け戦を覚悟で臨む主人公と見事にダブる。


だが本作では相手側が敵対組織や無法者では無い。同じ警察機構の仲間たちである。いわば軍体の戦友意識とも言ふべき心情が絡んでくる。彼の相棒がその体現者だ。


よってタイトルにもうなずける。“ガントレット”とは軍隊内での刑罰、処刑方法である。

殴打する道具を構え、二列に控える戦友の間を通り抜ける熾烈な罰。ジャッキー・チェン『少林寺木人拳』を思い出すとよいだろう。


げに恐ろしき刑罰がそのまま本編のクライマックスで可視化される。


意外なことに、イーストウッドは劇中で殆ど発砲しない。明確に記憶しているのは2発のみ。しかも人を撃たない。むしろロックのほうが弾数が多いくらいだ。彼の倍以上は撃っているしラスボスをも撃ち殺す。


ハリーの印象が強烈過ぎてこっちが戸惑ってしまう。思へばあれからわずか5~6年しか経っていないのでそれもまた無理もない話だが。


ちなみに、主人公が登場した時の服装だが、ノーネクタイで代わりにループタイという出で立ち。そのタイ飾りが銀のサソリである。ここでハリーの仇敵“サソリ”を連想したのは自分だけだろうか。


さて、音楽担当がイーストウッドと相性の好いジェリー・フィールディングである。
トランペットとピアノがメインのオープニングとエンディングのテーマがなかなか聴かせてくれる。イーストウッド好みのジャジーな楽曲。

その昔カセットテープに録音して何度も繰り返し聴いたものだ。

 *J・フィールディング『アウトロー』でオスカー候補に*


最後に、彼が愛飲しているのはジャック・ダニエル。ハーフボトルやミニチュアボトルをラッパ飲みしていた。ちょっと嬉しい発見だ。

ジャック・ダニエル

*アサヒビール時代の旧ボトル*


本日も最後までお付き合い下さりありがとうございました。

*実は愛人でした(汗)*

 

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参考:

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