こんにちは。行政書士もできる往年の映画ファンgonzalezです。
訪問ありがとうございます。
もうずっと前から書き留めておきたかったことがあるので書かせてもらいます。
『エイリアン』 Alien ('79)
言わずと知れたSFホラーの金字塔。であるばかりでなくフェミニズムの観点からも色々論じられることの多い作品でもあります。
確かに公開当時のちょっと前あたりは『結婚しない女』('78)、『愛と喝采の日々』('77)、『グッバイガール』('77)、『ミスター・グッドバーを探して』('77)等々現実社会における女性のあり方、生き方、働き方。みたいな女性の社会進出問題を問いかけるような所謂“女性映画”が目立っていてその延長線上に『エイリアン』が位置しているというのもうなずけます。
ていうかそれら作品群の究極的な形を提示しているのかもしれません。
梗概
乗組員七人を乗せた宇宙貨物船ノストロモ号は地球へ帰還する途中とある小惑星に降り立ち乗組員のケインは未知の宇宙生命体に襲われ昏倒する。その生物は彼の体内に産卵し孵化した幼獣は胸を突き破って飛び出してくる。
猛スピードで成長した生物=エイリアンはブレット、ダラス船長を次々に殺害。さらにアッシュがアンドロイドであることが判明。実はエイリアンを地球に輸送するという企業からの使命を帯びていたのだ。
残った三人はエイリアンごと船を爆破して脱出を図る。が、パーカーとランバートは襲撃され絶命。リプリー単身で迫りくる爆破時間と凶悪エイリアンと大企業の陰謀との闘いを強いられることに…。
ここで最後に残った三人+一体が気になっていました。
梗概ではあえて標記しませんでしたがリプリーとランバートは女性。パーカーは黒人なんです。
※ランバートに扮するヴェロニカ・カートライトについては以下の記事参照
→一難去ってまた一難な役柄:参照
これ以前の映画とは異質の生存者であることは明確です。
白人男性三人、しかもヒーローになり得る船長までもが脱落し黒人男性と白人女性二人。
加えて非人間=アンドロイドが残ったんです。最終的には女性一人だけでしたが。
*左から乗員パーカー、リプリー、人造人間アッシュ*
ふり返るとこれって非常識な、斬新な設定ですよね。現時点でも改めて驚きを新たにされます。
さて、前述通りこの時期ちょうど女性映画花盛りだったので「闘う女性」像としてリプリー=シガーニー・ウィーヴァーが措定されているとみなされているようです。
対する相手は<時間・暴力・会社>。1976年『リップスティック』がレイプ事件を大々的に描いて波紋を呼びました。社会進出に伴う女性問題がクロースアップされてきたことがきっかけだったのでせうか。
さらに12年後に『告発の行方』と『ワーキング・ガール』が製作されています。
まだまだ現実は厳しいよ。って訴へているかのようです。そのへんの絡みも誰か考察してみてもらいたいテーマですね。
その後『エイリアン』シリーズの『2』では強い女性像はさらに加速度的に飛躍しあからさまと言へるまでに強化されます。
『4』も生存者を確認して見て下さひ。今作と似たような設定が印象深いです。
ちょっと戻ります。黒人のパーカー=ヤフェット・コットーはとても強気です。最初に幼獣が出現した時にフォークか何かをとっさに掴んで身構えます。
最期も白人女性のランバートが恐怖でフリーズしているところを半ばやけ気味ですがエイリアンの背後から襲いかかって救出を試みるのです。
*固まるランバート*
作中でエイリアンにダイレクトに抵抗するのは彼だけです。
白人男性三人は無抵抗状態で殺られましたが。
ここらにも米国社会における黒人への見方の変化が現れているような気がします。
但し、ほのめかし程度とはいえ“暴力には暴力”的な対応として描かれているのでまだまだ“黒人=犯罪・粗野・下層”みたいな構図は破られていないようにも見えます。
あるひは特に考えずにその構図通りに描いたのかも知れませんがね。
以上、不完全ではありますが以前から気になっていたことを文章化してみました。
本日も最後までお読み下さりありがとうございました。
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