こんにちは。行政書士もできる往年の映画ファンgonzalezです。
訪問ありがとうございます。
時系列的には『プロメテウス』→『コヴェナント』→『?』→『エイリアン』シリーズ。となる。
まだ『コヴェナント』と『エイリアン』の間隙を埋める作品が必要だ。従って最低でもあと1作は制作されないと全体がつながらない。高齢のリドリー・スコット監督には頑張ってもらおうか。
『エイリアン コヴェナント』 Alien Covenant (‘17) 121分
梗概
入植者2,000人を乗せたコヴェナント号が地球人の言語を発信している惑星を発見。緊急調査したところ乗組員二名が怪死。さらに謎の生物の襲撃を受け犠牲者を出し、乗り物も失うがアンドロイド・デヴィッドにより救われる。
実は、彼はこの惑星でエイリアンの研究に打ち込んでおり、メッセージを発信して宿主をおびき寄せていたのだ。次々とエイリアンに襲われる乗員たちだが何とかコヴェナント号に帰還。
しかしアンドロイド・デヴィッドが、乗員のアンドロイド・ウォルターになりすまして紛れ込んでいた。
本作を観る前に『プロメテウス』(‘13)は必見。でないとすんなりと入り込めず苦労するだろう。先ずはドラマのキーパースン、デヴィッドについて知っておかねばならない。恐らくは、彼こそが真の主人公ではないかと思へる印象だ。
デヴィッドは自分を創造したウェイランド氏に「では、あなたを創造したのは誰か」と尋ねる。誕生直後より、彼は人間に仕える身分から独立し、自分も創造主となる野心を示す。
“父親”ウェイランド社長が共に人類の起源の謎を解こう。と話しかけたところ、考えておきます。とか、あなたは死ぬが私は死なない。など、いらっとする言動を見せる。
そして、紅茶のサーヴを命じたところ、実行するまでにちょっとした間がある。
何やら不穏な前途を暗示している。
だが、彼も所詮はロボットなので自由意思を有していないはず。とすれば“神=創造主になる”といふ野心をどんな拍子で抱いたのか。それともあらかじめプログラムされた範疇での行動なのか。
デヴィッドは前作『プロメテウス』ではエイリアンの素が収納されている容器を船内に持ち込み、乗員責任者の博士の体内にエイリアンを仕込んだ。
そのあおりでショーン博士もエイリアンを宿した。彼女を冷凍睡眠させてエイリアンの幼体を保存しようともした。全てを他人に漏らすことなく単独で行ったのだった。
しかも、ショーン博士との会話で、親を殺したいと思わない子どもはいないでしょう。などと人間男児の父親殺しの通過儀礼を思わせることを言ったし。親が死ねば自分は自由になる。なんてことを言ってのける。それが本心か、単なる知識に基づくのか不明で不気味だ。
不気味と言へば、暗誦する詩の作者をバイロンと言っていたが、ウォルターにそれはシェリーだ、と指摘されもした。
ロボットなのに記憶違いといふところがあまりにも人間じみていて恐ろしい。何かバグが生じたのか。だとするとマジ危険な存在になるんだが。とか生ぬるいことを言ってられなかった。
何故なら、マッドサイエンティストよろしく一つの惑星から動物性生命体を根こそぎ奪うという破壊神へと自ら変容させたことが判明したから。あのHAL9000レベルの危険度をはるかに凌駕してしまったのだ。
人間以上の存在者を目指す彼が、ウォルターに人間に仕えるのはやめようじゃないか。みたいな誘いをかけてくるのも当然だろう。
それにしても彼の選曲がワーグナーの「ヴァルハラ城への神々の入城」といふのも示唆的だ。
異星人と人間の没落に反比例して自らを創造主たる神として君臨させる意思表示のようでもある。それを思ふと彼がどこまでプログラム通りに動いていたのか分からなくなってくる。
ところで、今回は馴染みあるメタリック調のエイリアンが登場して自分の意識はそっちにシフト。驚くべきはデヴィッドにはめられて犠牲になった船長から生まれたエイリアンだ。
チェストバスターではなく成体のミニチュアサイズである。そいつがキィーつって万歳したのには笑う。いや、そう見えただけだが。
そうそう、時間は前後するが最初の犠牲者から登場する奴は胸ではなく背中から成体の小さい奴が飛び出してきた。二人目は口から。
このようにエイリアンは宿主に適応しながら変化を遂げていくようである。最初に生まれた二体はぬめっとして『パンズラビリンス』のペイルマンのようだった。
幼体も成体も形状が様々なので、宿主の体内でその生活環境に適合した形態となって誕生するのだろう。DNAを書き換えるとか言ってたし。だとすれば『3』で犬型が出現したことにも納得がいく。
さて、今回もヒロインが体を張ったタフな闘いを繰り広げる。結局最後まで戦い抜くのは彼女と男性一人のみ。生存者は女性(白人)1名、男性(白人)1名、アンドロイド(白人)1体である。
今回のヒロインは『2』のリプリーに倣うかの如くフルパワー全開でアクションする。
マシンガンを片手に空中戦を展開。マシンでエイリアンを握りつぶす。串刺しにするなど見どころは盛り沢山。前作が退屈だった分これはこれで嬉しいものだ。
そして、エンドロールには作曲ジェリー・ゴールドスミスとクレジット。
劇中では頻繁に彼の曲が使用されていた。恐らくはアレンジされたり新録だったりだろうが、スコット監督の構築する世界にマッチするといふ意味では完成度が高い証左であろう。
最後にひとつ気になることを。宇宙服や計器類やモニターなどが、将来の『エイリアン』よりも明らかに新型だといふ点だ。どうしたもんだろう。
本日も最後までお読み下さりありがとうございました。
追記:ポンコツ調査隊の受難・・・被り物なし。後から病原菌だ!とか騒がれてもねぇ(苦笑)
関連過去記事
●『エイリアン』シリーズ(1~4):印象的キャラ・トップ10