昨年12月、高橋伴明監督の「桐島です」の国内最後の上映を早稲田松竹で見ることができました。脚本の梶原阿貴さんの舞台挨拶もありました。しっかりサインもいただきました。

1975年から約50年間逃亡を続けた桐島聡の逃亡生活と人間そのものを丁寧に描いた名作です。
桐島聡という人の優しさが大変よく描かれていると思いました。その優しさ故に彼はテロリストの道を選んだのでしょう。
そういえば昔読んだ「黒旗水滸伝」に「自らの犠牲を顧みないテロリズムとは限りなく優しい心に宿る思想なのだ」という一節があったのを思い出します。(読んでた人いるかな?「現代の眼」に連載、かわぐちかいじ氏の名作です)
彼が逃げきれたのは組織の支援を受けなかったからと言われていますね。でもたった一人で周囲と一定の距離を周囲と保ちながらかっての優しい心を失わなかった部分とその孤独を毎熊克哉さんが見事に演じていました。そして周囲の人々もよく描かれていました。

桐島聡の犯した罪については、人的被害が無かったのがせめてもの、というところがありますが、あの時代、多くの事件で多くの犠牲者が出ています。この話を語る時に、併せて皆さんに読んでいただきたい本があります。「新左翼と天皇 ー炎と爆弾の時代」(井上 亮著 ちくま新書)で70年代、80年代、昭和から平成にかけてのゲリラ闘争で、どれだけのどれだけ多くの犠牲がでたか一つの流れで見ていくことができますが、あらためて振り返ると恐ろしくなります。この映画にも三菱重工ビル爆破事件の描写と実行犯大道寺の登場がありましたが、この「新左翼と天皇」の中で、彼らが、もともと殺傷の意図が無く、にもかかわらず労働者を殺してしまったということで呆然自失であり自殺も考えたとの記載があります。時代の潮流の中で無謀にこういう道を選んでしまった者による取り返しのつかない大きな犠牲を伴う悲劇でした。
ところで最後に銃を構える関根恵子が演じる女性、時系列から既に重信房子は刑期満了で出所、国内で公演等をしており違いますし、役名もAYAになっているので、現在も国際指名手配中の大道寺あや子がもしかしていまも活動していたら?ということかと思います。
脚本の梶原阿貴さんの少女時代から現在に至る自伝が「爆弾犯の娘」(ブックマン社)ですが大変面白いので皆さんも読んでみてください。重信メイさんの少女時代ともかさなる部分があります。
時間の都合で「夜明けまでバス停で」が見られなかったのは残念でした。こちらも機会があれば是非見たいです。





















