- 精子は酸化ストレスに弱く、酸化ストレスを受けることによりDNA損傷を生じるとされています。
- 男性不妊症の患者様では、クロマチンの欠陥や DNA の損傷を受けた精子の割合が多いと言われています。
- 一般精液検査は、男性不妊の治療方針を検討する上で重要ですが、どんなに形態の良い精子でも、運動率が良い精子でも、その精子の核がどのような状態かは顕微鏡下で判断することはできません。
- 通常の精液検査で異常がない方でも、精子がDNAの損傷を受けている割合が高い患者さんでは、受精率や妊娠率が低くなったり、流産率が高くなったりすることが報告されています。
このため、高度精子機能検査である精液中酸化還元電位測定 (ORP検査:oxidation reduction potential)、DNA断片化指数検査 (DFI検査:DNA Fragmentation Index)が注目されています。なお、これら検査は保険診療適用はありません。
★精子と酸化ストレス
精液中酸化還元電位測定 (ORP検査:oxidation reduction potential)
精液の酸化還元電位(酸化ストレス度)を測定 します。
※ORPとは酸化還元電位のことで、精液の酸化ストレスの指標になる
と考えられています。
★精子とDNA損傷(断片化)
DNA断片化指数検査 (DFI検査:DNA Fragmentation Index)
どの程度の割合で精子のDNAが損傷している のかを測定します。
※DNA 断片化指数(DFIとは損傷したDNAを持つ精子の割合のこと)
男性側の隠れたリスク因子を特定できる可能性があります
DNA損傷の改善の指標として以下が考えられます
· 生活習慣改善の必要性と改善確認
· 抗酸化サプリメントの服用の必要性と改善確認
· 精索静脈瘤手術の必要性と改善確認
· 体外受精へのス テップアップ判断
· 体外受精で胚発育不良の原因検索
今後の治療方針を立てるための目安となり得ます。
DNA損傷に関する記事は以下をご確認ください
酸化ストレスについて以下もご確認ください