ずっと「炎症」について簡単にふれましたが、さらに詳しく見ていこうと思います。
わかりやすい炎症の例として、「蚊に刺されたあとの腫れ、かゆみ」を上げました。
ほかに、やり慣れない運動をしたりして、翌日や翌々日に筋肉痛に襲われることがあります。これも「炎症」です。
では、時間差で起こる筋肉痛は何かというと、急な運動で筋肉の線維やまわりの組
織に小さな傷がつき、その傷を修復するために「炎症」が起こり、痛みを伴うから。
これが筋肉痛の正体だといまは考えられています。
蚊に刺されて赤く腫れるのも、筋肉痛も、「炎症」という同じ現象です。
風邪をひいて候が腫れた、足を擦りむいた、捻挫をした・・・・・といったときに起こる「炎症」も同じです。
痛みやかゆみ、腫れといったわかりやすい症状がパーツと出るものの、原因が取り除かれればスーッと引いていき、どちらも一定期間が経てば元通りになります。
「炎症」と聞いて、思い描くのはこうしたものではないでしょうか。
大切なことなので繰り返しますが、こういった「炎症」は、必ずしも悪いことではありません。
あなたの体を守る「自己免疫システム」のひとつです。
ところが、こうした炎症とは別に、「痛い」「かゆい」「熱い」「腫れている」といったはっきりとした自覚症状もないまま、だらだらと長く続く炎症があります。
パーッと症状が出て、スーッと引いていく炎症は、「急性炎症」。
わかりやすい症状はないまま、だらだらと続いてしまう炎症は、「慢性炎症」。
老化を加速したり、いろいろな病気の根本的な原因となるのは「慢性炎症」のほうです。「急性炎症」からはじまって「慢性炎症」に移行するケースもあれば、最初から弱い炎症がだらだらと続くケースも。
嫌な症状がないということは一見「いいことのよう」ですが、「気づかないうちに存在している」「気づかれにくい」という意味ではとてもやっかいだと言えます。
「ある日突然!」気づいたときは・・・・・
パーツと炎を上げて燃えるけれど、比較的早く燃えきって元に戻るのが急性炎症だとすれば、慢性炎症は、火種がぷすぷすとくすぶり続けているようなイメージです。
火を消したと思ってタバコの吸い殻をごみ箱に捨てたら、内部にまだ火が残っていて火事になった、とか。
表面上は火が消えたように見えて、炎も煙も上がっていなかったために、気づかずに見過ごされてしまったわけです。でも、内部ではじつはくすぶっていた。
「慢性炎症」はそんな風に、炎を上げずにぷすぷすとくすぶり続けているような状態
です。
この状態に気づかずに放っておくと、体の中で炎症の連鎖が起こっていくということなんですね!
ほんと、慢性炎症って困ったものです!
関連記事