Haircut100の1982年のデビューアルバム。80年代のUKのニューウェイヴとネオアコブームを代表する名盤。
ケント州で結成されたニック・ヘイワードを中心とするアイドル的人気グループで、70年代のパンクブームの嵐が過ぎた後に生まれたファンカ・ラティーノというニューウェイブの流れをくむバンドである。(ファンカ・ラティーノはニューウェーブの中でもラテンの影響の強いポップサウンドのことを指す。)
サウンド的には前面に押し出したクリアなギターカッティングと要所要所で効果的に使用されているラテンパーカッションが印象的。このコンプレッサーを軽くかけたギターカッティングの音色は今ではほとんど使われなくなり、時代を感じさせるサウンドとなったが、彼らのリズミカルでキラキラとした曲調はこの全体のリズムをグイグイ引っ張るギターカッティングによって作られている。
そしてアルバム全体のテーマは“Favourite Shirts(Boy Meets Girls)”などの曲名からも連想されるとおり、どの曲も“爽やかな夏”である。アイドルのイメージの強かった彼らではあるが、ニック・ヘイワードの書く曲をはじめ、無駄を省いたタイトなアレンジ・演奏とアルバムとしての完成度も高く、今聴いてもこの清涼感漂う爽やかさと音楽的なレベルは決して褪せてはいない。
結局この後Haircut 100は中心人物であったニック・ハイワードが脱退し、彼らの人気は二年ともたずに解散してしまっている。このデビュー盤“Pelican West”はメロディーメーカーであるニック・ヘイワードがこの時代に青春期であったからこそ成しえたサウンドといえるだろう。
このアルバムは、日本ではフリッパーズギターが彼らの“Favourite Shirts(Boy Meets Girls)”をカバーして注目され、いまだにネオアコ少年たちのバイブルとなっている。
ちなみにこのアルバムの中の曲は“Favourite Shirts”を“好き好きシャーツ”“Lemon Firebrigade”を“レモン消防隊”“Marine Boy”を“海洋少年”などと、そのままなのだが痛々しい邦題がつけられていて、これもまた時代を感じさせてくれる。








