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NOTRE MUSIQUE

Elle est retrouvee.
Quoi? - L'Eternitee.
C'est la mer alleee
Avec le soleil.

Caetano Veloso昨年2004年にリリースされたブラジル音楽界の大御所カエターノヴェローソのアルバム。少し遅れて発売された日本盤には“異国の香り~アメリカン・ソングス~”という邦題がついた。
歌手だけでなく、作曲家や作家としての顔も持つ彼が最新アルバムで聴かせてくれたのは、邦題にもあるとおりアメリカンポップスの名曲カバー。
硬派なミュージシャンのイメージが強かったカエターノ初のフルカバーアルバム。歌詞はすべてオリジナル通り英語詞で歌われており、やや鼻にかかったポルトガル訛の発音がいつも通りの彼の音楽世界をつくっている。
彼のバックを支えているのは、長年ヴェローゾと組んでいるアレンジャー兼チェロ奏者のジャック・モレレンバウム率いる28人編成のオーケストラ。ギターにカエターノの息子であるモレーノとを加え、オーケストラの上にアフロキューバン、ボサノヴァのリズムと、エコーのかかったスペーシーなシンセギターの響きが浮遊していて、カバーとはいえいつも通りの独特なサウンドを聴かせている。
カバーした曲はコール・ポーターの“Love For Sale”やポールアンカの“Diana”エルビスの“Love Me Tender”といった王道アメリカンポップスから、ニルヴァーナまで一口にアメリカンポップといってもかなり幅が広い。
その中でもニルヴァーナの“Come as You Are”、Arto Lindsayの“Detached”の斬新な解釈は特筆に価する名演で、彼の音楽観の懐の深さを感じさせてくれる。
その他、ディランの“It's Alright, Ma” のレゲエ風アレンジ、Stevie Wonderの“If It's Magic”“Smoke Gets in Your Eyes”のジャジーなアレンジ等全23曲まったく手抜きのない内容である。
全体的に無駄を取り除いたワビサビの世界にも通じる潔くシンプルなアレンジで、原曲の持つ美しさを表現している。このカバーアルバムは伝統に根ざしたブラジルの音楽を続けている彼の音楽が現代的な要素も吸収していることを見事に証明してみせた名盤といえる。精力的にコンスタントにアルバムを発表しており、次のオリジナルアルバムも楽しみなところではあるが、今後も少しづつこういったカバーにも挑戦して欲しいと思う。
Al Kooper突然私事で恐縮ですが、URLにあるとおり本日8月6日は私の誕生日、やっと30歳になりました。
せっかくなのでJohn Lennonとか記念になるような大物を書こうかと思いましたが、地味ですが、先日30年ぶりの新作を聴かせてくれたアル・クーパーについて書きます。

この“Naked Song”はアル・クーパーの1973年の6枚目のソロアルバム。邦題は“赤心の歌”。
アル・クーパーは今や知る人ぞ知るという存在になってしまったが、60年代ロックを語る上で最重要人物とも言える人物。ロックグループで最初に本格的なホーン・セクションを導入し、ランディブレッカー他優秀なミュージシャンを輩出したBlood Sweat & Tears(以下BS&T)やマイクブルームフィールドらとの“フィルモアの奇蹟”“Super Session”をヒットさせている。またディランの“Like A Rolling Stone”などのバックでオルガンを弾いていたりと裏方での地味な活動までこなしている。優れたシンガーソングライターであり、プロデューサーであり、CBSレコードの重役という多才なアーティストである。
このアルバムはどちらかというと今まで自身が前にでてくるのではなく、クールな音楽クリエイターとしてのイメージが強かったアルが自己の感情を表に出し、自分の気持ちに忠実に製作したアルバム。内容もタイトルに“Naked Song”とあるとおり極めて赤裸々に自己の感情をストレートに歌った曲が多い。
内容としては、生きることの矛盾、苦悩、哀しみなどが中心で、ここには60年代の多才な活動からは想像つかないほど弱く孤独なアルが存在している。これはJohn Lennonの実質的なソロ第1作“ジョンの魂”と重なる。ジョンもアルも赤裸々に自分のコンプレックスや弱さを歌っているが、ひとりのアーティストとしてファンにそこまで裸の自分を見せられるほど、芯の強い人であるところまで共通している。特に1曲目の“Be Yourself Be Real”という曲はそんなアルの心情が最も顕著に表現された曲。アルが切ない歌声でこの“Be Yourself Be Real”(自分自身になれ、ありのままの自分に)と繰り返し歌われている。自分自身の戒めでもあり、あくまで孤独に耐えながらも信念を貫こうとする彼の心情がゴスペル調の曲調に合わせて痛いくらいに伝わってくる。
彼は決して歌の上手いアーティストではないが、そんな彼のボーカルスキルのなさがこの歌詞の内容に絶対的な説得力を持たせている。
ここで歌われる彼の孤独感、個人主義的な感情はBS&T以後の彼の活動のベースになっている部分だと言える。スーパーセッションでの白熱する演奏なども、そういった個々のミュージシャン同士のぶつかり合いが最も良い形で表現された演奏である。このアルバムは彼の生身の孤独感をさらけ出したものであるが、結果として極めて優しさの滲み出たアルバムとなった。
“As The Years Go Passing By”では自分のできるだけのことをして彼女のことを待つ男の心情、“Where were you when I need you”では自分をふって他の男の元へ走った彼女がまた自分の元へ戻ってきたときの心情が歌われ、ラストの“Unrequest”では二人の男性を天秤にかけている女性を歌っているが、どの曲でもアルは決してこの女性を責めようとはせず、事実として前向きに受け入れようとしている。また、このアルバムからは“Jolie”というヒットも生まれており、数年前に日本でもあるCMで使われ話題になった。アルのフリーソウル的な側面を代表する名曲である。

この“Naked Song”を発表したとき、アルクーパーは30歳。私も今日で30歳になってしまったがアルのように“Be Yourself Be Real”で生きられたらいいと思う。実際に難しいのは分かっているのだけど・・・
Brian WilsonBrian Wilsonの2004年リリースの“Smile”。
ブライアンが37年前のビーチボーイズとして活動していた頃に着手しながらも幻に終わったあの“Smile”が2004年に完成した。
1967年の歴史残る名作“Pet Sounds”リリース後に発売が予定されていたアルバムで、この“Smile”の先行シングルとしてリリースされた“Good Vibration”が全米No.1を獲得し、世界の期待を集めていたアルバムだったが、ブライアンが精神病(パラノイア)にかかり製作が中断、ブライアンはBeach Boysからも離脱し未完成のままリリースされることがなかったアルバム。長い間まさに“God Only Knows”状態で幻の名作として語り継がれてきたアルバムである。
その後、80年代になってブライアンは復活し、コンスタントにアルバムを発表している。そして2000年を過ぎたあたりからこの“Smile”のニューレコーディングに着手。現在のツアーメンバーによる暖かいサポートを得て無事に完成させたのである。
全体の印象としては、このアルバムの実質的な前作である“Pet Sounds”の流れを汲む作品だが、決して懐古主義的に37年前の音の再現をしてるのではなく、確実に今の音になっているのに驚かされる。アメリカンインディアン、フロティアスピリット、アメリカの田園風景などをテーマに作られており、ポシティブなパワーに溢れている。時間をかけて考え抜かれ、細部までこだわりぬいて作られたサウンドではあるが、全体の印象は非常に暖かい。そんな初公開の曲に混じっている名曲“Good Vibration”の輝きはいまでも色褪せてはいない。
このアルバムのアイデア自体はブライアンがあの時代だからこそ思いついたと言えるものであるが、おそらくあの当時、ブライアンが精神病を患いながら完成させていれば、ここまで肯定的な作品にはならなかったはずである。もしあの頃作っていたらという想像はもはやなんの意味も持たない。ブライアンが37年前に思い描いたサウンドは具現化するまでにこれほどの年月を必要とするほど、重く完成度の高いものであったのだろう。
私のような当時のビーチボーイズをリアルタイムで知らない世代に“60年代の音楽”をリアルタイムで聴くことができるという奇跡を与えてくれたアルバムといえる。
Led Zeppelin 2このBlogで最初に取り上げたLed Zeppelinですが、昨日でこのBlogも150枚を突破。改めて個人的に最も思い入れの強いバンドであるZeppelinについて書きます。
このアルバムはLed Zeppelinの結成35周年を記念して製作された3枚組のライブアルバム。
2003年にDVD2枚組と同時に発売されている。Zeppelinのライブというと現役時代に作成されたマディソンスクエアガーデンのライブを収めた“永遠の詩”と後年リリースされた初期の“BBSライブ”しかなかったので、この35年目に突如として世に出たライブは彼らの現役時代を知る上で非常に貴重な音源ばかり。この作品によって今やすっかり“永遠の詩”の存在感はなくなってしまったほどである。
音源は主に1972年のアメリカ西海岸でのライブを収録しており、彼ら自身がベストなライブだったと回想しているツアーである。当時のZeppelinはイギリスでは新ヤードバーズと認知されており、イギリス本国より、アメリカでの活動に力を注ぎ、何度か大規模なツアーを行っている。アルバムでいうと“Four Symbols”がリリースされた直後で、これまでの“永遠の詩”や“BBSライブ”では聴くことのできなかった“Zeppelin Ⅲ”でのアコースティックナンバーも収録されている。
ペイジ&プラントでの来日公演を成功させ、当時のファンたちを満足させたジミーペイジが絶妙なタイミングでリリースされたこの作品、内容的にDVDと合わせて解散後のジミーペイジの仕事の中でもベストと呼べるものになっている。ジミーペイジはZeppelin結成の際に、ロバートプラントに金儲けをしようと言って誘った話は有名だが、いまだに彼の中には商業的な成功と自らの神話をキズつけないプライドとアーティストエゴは存在している。
Zeppelinのアルバムは名盤と呼ばれるものが多いが、彼らの醍醐味はライブにある。ギター、ベース、ボーカル、ドラムというシンプルな編成ではあるが、ライブ空間にはその4人が一体となった巨大な音の存在感が充満している。
ちなみに、同時発売されたDVDは1970年のロイヤルアルバートホール公演、73年のマディソンスクエアガーデンの映像のアウトテイク、75年のアールズ・コート公演、79年のネブワース公演を収録と、まさに彼らの現役時代のライブがフルで堪能できる。こちらも必聴である。
プラントがシャウトし、ジョンポールジョーンズがファンキーなベースを奏で、ボンゾがドラムをぶっ叩き、ジミーペイジが信じられないようなフレーズを繰り広げる。このライブ盤にはそんな史上最強のロックバンドであるZeppelinが100%堪能できる名盤となった。35年経ったいまこんな作品を世に出してくるジミーペイジの強かさには心底脱帽する。
MusicThe Musicの2002年のデビューアルバムでアルバムタイトルも“Music”。
このMusicはUK出身の4人組で、このデビューアルバム発売当時は全員18歳という若いバンド。
Stone Rosesのような元祖UKグルーヴとガレージロックの流れを汲んでおり、ダンスビートとヘビーなギターリフをベースにしたサウンド。そして時にはプログレッシブ・ロックのように予想外の意表をついた展開を見せたりもする。基本的にはUK的なサウンドの作り方をしているが、ヴォーカル担当のロバートの歌声も含めて全体の雰囲気はUKロックという型にはまらない大きなスケールとオリジナリティがある。
このバンドについては結成の流れといった詳細なことまで知らないので割愛するが、彼らには音楽的な素養とかブリティッシュロックのルーツに根ざしたサウンドという概念はまったく存在しない。自分たちのつくったオリジナルのリズムにオリジナルのサウンドを乗せたいという極めてプリミティブで純度の高い音楽的衝動だけで作られているように思える。そしてそれを多感な10代ならではの若気の至りとも言える、喜怒哀楽といった感情の趣くまま放出している。“Music”という人を食ったバンド名にも彼らのサウンドへの根拠のない自信の表れが感じられる。
このアルバムからは“People”というヒット曲も生まれており、ソングライティングにも確かな実力があることを証明している。その他、全体的に無駄な曲はなく、圧倒的なパワーを持て余しながらも構成は研ぎ澄まされている。10代の男たちの作ったデビューアルバムとは思えないほどの質の高さと勢いが同居しているのである。
彼らはその持て余したパワーを放出するかのように積極的にライブを繰り返しており、ライブの評価も高いらしい。
10代のデビューアルバムにしてこれほど完成度の高いアルバムを作ってしまったこのMusicというバンド、今後の成長を考えると末恐ろしい・・・
Jefferson AirplaneJefferson Airplaneの1967年のセカンドアルバム。
昨今の紙ジャケブームでようやくこのジェファーソンプレインの一連の作品がリマスターされ、この彼らの代表作も紙ジャケで再発になった。
このジェファーソンエアプレインはサンフランシスコの“Summer of Love”と言われた時代に出現したバンドであり、当時の時代的な背景に強く影響されたバンドである。ちょうどGreatful Deadなどが活躍したいた時代でその頃のサンフランシスコを中心としたロックは“Flower Music”などと呼ばれている。彼らのサウンドはヒッピーの聖地であったサンフランシスコの愛と平和をスローガンとしたカウンターカルチャーの熱気と融合し、若者を中心に指示を集めた。
このジェファーソンエアプレインはそんな時代の空気を自らのサウンドに象徴させており、サイケ(ドラッグ)ミュージックとは違った根拠のない陽気な楽観主義と開放感に溢れたサウンドを聴かせてくれる。
このセカンドアルバムは彼らの存在を世界に知らしめたアルバム。
その後のエアプレインの看板となった女性シンガー、グレース・スリックがこのアルバムから参加し、“Somebody To Love”の大ヒットが生まれている。
サウンド的にはグレース・スリックのシニカルなボーカル、彼女ともうひとりのボーカリストであるマーティン・ベイリンによる際どいハーモニー、そしてヨーマ・コーコネンのフィンガーピッキングによるギターサウンドが印象的で、エアプレインのサウンドは彼らによって稀有で個性的サウンドとなったといえるだろう。
この後のエアプレインは次第に政治的メッセージが強くなり、60年代のカウンターカルチャーの衰退とともに彼らの音楽的なパワーも落ちてしまう。
その後、メンバーチェンジを重ねて“Jefferson Starship”そして“Starship”として活動を再開したが、ポップなサウンドに変わってしまい、かつてのエアプレインのような時代を象徴するようなサウンドとはかけ離れてしまっている。
同時期に活躍したGrateful Deadが次々にサウンドの幅を広げアメリカを象徴するバンドに成長したのに対し、残念ながら彼らのサウンドは60年代の文化を象徴する存在で終わってしまった。今となっては当時の文化を知る貴重な音源であり、このアルバムの瑞々しさは色褪せないが、結果的にその後の時代の波に乗る力はなかったのである。
Aretha Franklinアルバムの正式名称は“Don't Fight The Feeling:The Complete Aretha Franklin & King Curtis Live At Fillmore West”で、アレサ・フランクリンとキング・カーティスによる1971年発表のライヴ盤“Live At Fillmore East”の4枚組完全版。
RHINOレコードから5000枚限定でリリースされており、この4枚組は3日間に渡って行われたキング・カーティスのバンドをバックに従えて行われたライブのすべてが収録されている。
このライブはアレサが当時ロックの殿堂であったフィルモアで初めて行ったライブで、オリジナルのアルバムはアレサの数多いアルバムの中でも歴史の残る名盤。
アレサのようなソウル系アーティストがロックのイメージの強いフォルモアでライブを行うこと自体、危険な賭けでもあるが、1曲目の“Respect”からキング・カーティスらの圧倒的な演奏力、アレサの迫力のあるボーカルで観客の心をがっちり掴んでいる。
曲目もフィルモアという会場を意識した選曲になっていて、前半はStphen Stillsの“Love The One You're With”やSimon&Garfunkelの“明日に架ける橋”、ビートルズの“Elenor Regby”などロックのカバーで占められていて、後半部分はアレサのヒット曲中心に演奏されている。
そしてこのライブのハイライトは“Spirit In The Dark”でたまたまその日観客として見に来ていたRay Charlesをステージに引っ張り上げて共演してしまうシーン。今や小さなクラブ公演でしかこういう嬉しいアクシデントはなくなってしまったが、これもこの時代のフォルモアという会場だったから起こりえた出来事なのだろう。
今回の完全版はこれまた名盤となっているアレサ登場前のキング・カーティスたちによる前座の演奏も収録されていて、こちらも貴重な歴史的音源。ロックのカバーをガンガン取り入れたステージパフォーマンスで観客を圧倒している。なお今回の完全版ではキーボードで参加しているビリー・プレストンの“My Sweet Road”の音源まで収録。
アレサは牧師の娘として生まれており、幼少期から教会でゴスペルを歌って育っている。アトランティックレコードと契約し、独自のゴスペルフィーリングにJazzとソウルの音楽的要素を融合させ、瞬く間にR&Bのトップシンガーとなった。このライブはそのアレサの人気と実力が最も充実していた時期の貴重な音源である。
言うまでもなくアレサが後年のブラックミュージック、女性ソウルシンガーたちに与えた影響は計り知れない。影響を受けていないアーティストは皆無といえるほどであるが、誰もアレサのようなソウルを歌うことが出来ない。近年ではローリン・ヒルのような若い世代のアーティストとも進んで共演し、いまだにコンスタントにアルバムを発表し続けている。ソウルの女王はまだまだ健在である。
Steph Pockets2Steph Pocketsの2枚目のアルバムにあたる新作。
以前デビューアルバムについても書いたが、もう一度簡単に彼女の紹介をしておく。
レゲエの最重要人物のひとりとも言えるBob MarleyとアイスリーのメンバーであったRita Marleyとの間にできた末娘である。そして彼女が5歳のときに父親のボブ・マーリーは亡くなり、彼女はフィリーソウルのメッカであるフィラデルフィアで育ったのである。
そのフィラデルフィアの彼女の住んでいた家の隣にはWill Smithが住んでいたりと周囲で盛り上がっていくフィラデルフィアサウンドを肌で感じながら育っている。父親から受け継いだレゲエの魂と周囲の影響で身に付けたフィリーソウルを最も良い形で融合させることで、自己の音楽形成を目標に活動を続けてきた。また、フィラデルフィアの名門テンプル大学に通い、メカニカルエンジニアの理学士号を取得するなど、音楽活動以外でも知的な才能を発揮している。
今回のアルバムでバックを固めているのは、主に地元のフィリーのミュージシャンたちで、Gラブからビリージョエルまで幅広い共演暦のある名ベーシスト兼ドラマーのチャック・トリースはステフの強い希望でデビューアルバムに引き続き参加が決まったらしい。
またボーナストラックはIncognitoのブルーイによるRemixが収録されていて、Incognitoのメイザ・リークもバックボーカルで参加。ブルーイによりUKっぽい生音を中心としたJazzFunk的なアレンジがされていて、彼女のサウンドが様々なスタイルの音楽にも適応するワールドワイドな音楽であることを見事に証明している。
また父親であるボブ・マーリーの“Could You Be Loved”をカバーし、HipHopに焼き直している。デビュー時には父親の名前を借りることなく、独自の音楽をアピールすることに力を入れていた彼女ではあるが、既にデビューアルバムでその確かな才能と彼女自身のオリジナリティー溢れるサウンドを世に知らしめている。ここでは改めて父親の曲をカバーすることにより、より自身のルーツに対して真摯に向き合っているように感じられる。
デビューアルバムで輝いていた彼女の原初的で豊かな才能は、このアルバムでさらにスケールUpし、表現者としての素質と潜在能力を100%発揮することに成功。アルバムタイトルが“Flower”となっているが、文字通り両親から引き継いだ才能を自分の力で開花させたのである。
そしてこのアルバムには彼女自身がその才能を奢り高ぶることなく、音楽を作ること、歌を歌うことを精一杯楽しもうとしている姿勢が感じられて聴いていて非常に気持ちがいい。聴く人の心を充足感・幸福感で満たしてくれる極上のサウンドである。
個人的にはこのアルバムは今年のベストアルバムを更新した。今後の展開にも期待したい。
QueenQueenの1974年のセカンドアルバム。
これまでいろんなジャンルの音楽が好きでBlogに書いてきたが、雑食と言われる私でも好きではないバンドはもちろん存在する。
基本的に“売れるものは正しい”というポップミュージックの普遍的な定義(もちろん売れなくてもすぐれた音楽はたくさん存在する)を主張しているほうなので、一般的な評価が高かったり、人気があるものはそれなりに自分の中で納得できるまで聴きこむのだが、それでもどうしても生理的に受け付けないバンドはある。どんなひとにも一つや二つはそんなバンドがあると思うが、私の場合はこのQueenである。言うまでも泣く70年代を代表するロックであり、名曲“Bohemian Rhapsody”に代表される個性的なサウンドはQueenならではのものであると思う。しかし、そのように音楽的に非常に優れていると、頭の中では思っているが何度聴いてもどうしても体が受け付けないのである。
ゲイであったことは別にしてもフレディーマーキュリーのボーカルスタイルが好きになれない、ブライアン・メイの例の手作りギターの音色がどうしても好きになれない、ブルースなどの黒人音楽からの影響が希薄であるといったように、自分の中で好きになれない要素が不幸にも重なりすぎてしまっているようだ。
このセカンドアルバムは前半をメロディアスに聴かせるホワイトサイド、後半をロック色の強いヘビーな曲を集めたブラックサイドとQueenのサウンドの持つ二面性をあえて別々に捕らえたアルバム。デビュー作に続いてこのアルバムでも独自のダイナミックなヘビーなサウンドは非常に完成度が高い。(確かアクセル・ローズはこのアルバムを棺桶に入れて欲しいアルバムのひとつに挙げていたと思う。)
ハードな曲といってもDeep PurpleやZeppelinのハードなナンバーのようにギター中心のリフに金属的なボーカルのシャウトといった既存のスタイルではなく、Queenのスタイルはこのアルバムから独創的なものを持っている。特に普通ならサビでボーカルがシャウトで決めるところを、メンバーによる多重ハーモニーで美しくハモって盛り上げてしまう手法は今振り返っても画期的で、技術的にも優れていると言わざるをえない。
ギターのブライアンをはじめメンバー個々の技術も高いバンドで、それぞれが個性的で自分のプレイスタイルにポリシーを持っているのもQueenの強みと言える。
1991年のフレディーの死をもってバンドは解散したが、現在ではあのPaul Rogersをボーカルに迎えて活動を再開しているようだ。だが、やはりそれも私にとってはどうでもいいことなのである・・・(Queenファンの方すみません。あくまで私見ですのでご了承下さい。)
Bob DylanBob Dylanの1974年のアルバム。
バックを努めているのは名作“Music From Big Pink”以来ずっと一緒に活動してきたThe Bandのメンバーたちで、一緒にスタジオアルバムを製作するのは意外にもこのアルバムが初めて。実際のレコーディングはわずか三日間だったらしいが、長年一緒にやっていただけあってルーズではあるが、息のピッタリ合った完成度の高いサウンドを聴かせてくれる。
このアルバムがリリースされる前のディランは、1966年の名作“Blonde On Blonde”で彼自身のフォークロックの頂点まで上り詰めてしまい、しばらく音楽的には停滞が続いていた頃であったが、本作は久々の改作となっている。
収録された曲は、これまでのディランの作風からすると割とポップなものが多く、ディランの代表曲の一つである“Forever Young”は2ヴァージョン連続で収録されている。(LPではA面ラストとB面の1曲目という構成)最初のヴァージョンではディランのストレートなボーカルを前面に出したアレンジで、ディランの訴えかけるようなボーカルが印象的。2ヴァージョン目はThe Bandの南部スワンプロック風なアレンジがされており、ゆったりしたThe Bandの演奏にディランが貫禄たっぷりに歌い上げている。
歌詞はほとんどストレートなラブソングであり、特に結婚というテーマを切実かつ前向きに歌い上げたラストの“Wedding Song”は胸を打つ名曲。
アルバムのタイトルである“Planet Waves”(惑星からの波動)をディラン自身は”自らの運命の啓示を宇宙からのメッセージとして受け取った”と語っている。宇宙からの運命的な啓示というのは、ディランにとっては常に自己に忠実に歌を作り続けることに他ならない。デビューから周囲の期待やブームに流されることなく、一環して自分の気持ちに忠実に自己表現として歌い続けてきたディランが改めてこのアルバムで自己表現の在り方、サウンドの方向性を再確認しているのである。
彼の音楽は曲もサウンド的にそれほど際立ったものもないが、いまだに彼を崇拝する人が絶たないのは、頑なに自己に忠実に歌を作るという彼の音楽への真摯な態度、そして彼の歌に滲み出ている生身の人間臭さがいつの時代も多くの人に共感されているからなのだろう。
そのディランの頑固とも言える自己表現は彼自身が書いたこのアルバムジャケットと彼自身が自分の言葉で語ったライナー・ノートにも表れている。そしてこのアルバムはディラン初の全米1位を獲得し、70年代ロックを語る上では外せない名盤となっている。