John Coltraneの1967年のアルバム。このアルバムはコルトレーンの数あるアルバムでもあまり知られていないアルバムで、晩年最後から数えて2作目にあたる作品。参加メンバーはコルトレーン(Sax)とRashied Ali(Dr)の2人のみ。ピアノやベースすらいないので、トーナリティやコードといったものはまったく存在しない。
各曲には“Mars(火星)”“Jupiter(木星)”など惑星の名前が付けられておりすべて鈴の音から始まる。コルトレーンはただひたすら高速なフレーズを圧倒的なパワーで激しく吹きまくり、アルペジオやモーダルなフレーズ、フラジオによる過激なトーン等持っている技術を駆使してガンガン叩き付けて来る。一方ドラムのアリも一定のパターンで叩くようなことは一切なく、終始不規則不均等なドラミングに徹していて、一聴するとかなりデタラメな演奏に聴こえる。
ビバップ、ハードバップ、モードと当時のJazzの流れに従いスタイルを変えてきたコルトレーンだが、“Giant Step”でコード理論による即興演奏の極限まで挑戦する。マイルスがあくまで商業的な成功にこだわりクールなサウンドを求める姿勢を貫いたのに対し、その後のコルトレーンはただひたすら馬鹿がつくほど真面目に自分の音楽を追求し、ある種宗教がかったフリージャズに傾斜していく。この作品ではタイトルどおり“Interstellar Space”つまり彼の音楽的世界観は宇宙にまで飛んでいってしまったのである。結果的にアーティストとしても自我を優先し商業的な成功からは遠ざかっていく。
この1967年はマイルスの黄金のクインテットの全盛期であり、ビートルズが“Sgt Pepper's Lonely Hearts Club Band”をリリースし、ロックやポップミュージックの大きな転換期でもあった年。そんなシーンの状況の中でひとり宇宙にまで来てしまったコルトレーンにはもう神の園へ昇天するしかなくなってしまったのであろう。コルトレーンはこの年に遺作となった“Expressions”を録音し死んでしまう。
この作品からはそんなコルトレーンの孤独で悲痛な叫びが伝わってくる。








