Date Course Pentagon Royal Garden -Musical Chaos | NOTRE MUSIQUE

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Elle est retrouvee.
Quoi? - L'Eternitee.
C'est la mer alleee
Avec le soleil.

DCPRG1999年に菊地成孔を中心に結成されたDate Course Pentagon Royal Garden(以下DCPRG)の2003年リリースのライブ盤。
このDCPRGはメンバー総勢11名(key、ギター×2、ドラム×2、sax、per等)からなる大所帯ジャズファンクバンド。ファンクをベースにJazz的なアドリブや現代音楽的やアフロキューバンなどのエッセンスを取り込んだアブストラクティブなサウンドを聴かせるバンドである。
菊地氏が語っているようにイメージとしては70年代のエレクトリックマイルスを現代的な手法で再現しているバンドである。メンバー全員が異なったリズムで演奏し、ポリリズムにより混沌としたサウンドを作り出している。
このアルバムの1枚目はすべて“Catch22”という曲のバリエーション。演奏するたびにテンポや曲調を変えるという曲で、ライブならではのダイナミックなバリエーションを堪能することができる。
2枚目はこの頃のDCPRGの定番曲で、それぞれ別のライブからベストテイクが厳選されている。注目は御大マイルスのカバー“Spanish Key ”(オリジナルはマイルス1969年の“Bitche's Brew”収録)と菊地雅章氏の“Circle/Line”(オリジナルは1981年の名盤“SUSUTO”収録)どちらもこのバンドの方向性に沿ったやるべくしてやったと言えるカバーである。
個々の演奏者のレベル、オリジナルのリズムを壊さず現代風なアレンジが施されていたりとただのカバーには終わっていないのは評価できるが、オリジナルを聴きこんだ耳には物足りなさが残る。“Spanish Key”の例のキメのあとに数小節だけダンスビートになるアレンジあたりはナイスなアイデアだが、根本的にオリジナルのドラッグの匂いのするあの混沌とこのDCPRGの混沌はかなり異質のものである。マイルスのオリジナルではダラダラと混沌としたアドリブが繰り広げられる中で、突然この曲のテーマともいえるドミナントモーションのような分かりやすいキメが起こり、また混沌としたポリリズムが続けられる。このバージョンでもこの構成は再現されギリギリのところで同レベルの緊張感は保たれてはいるが、この曲本来の魅力である不気味さ、ブラックネスといった要素があまり感じられない。このあたりは時代背景的な要素が強く、仮にマイルスが生きていたとしてももう再現は不可能なのかもしれない。また実際にライブ会場で生で聴くと違った感触が得られる可能性も期待できる。
“Circle/Line”については個人的にはこの7/8拍子の難解な曲をカバーしただけでも評価したいが、やはりオリジナルの持つグルーヴには到底及ばない。仮に菊地雅章氏がいまこの“Circle/Line”をセルフカバーするとしたらどんな演奏をするのだろうか。
結論としてあまりDCPRGについて褒める文章にはならなかったが、この躍動感溢れるサウンドは現在の日本人だけのバンドで可能な最上級の演奏だと言えるだろう。このアルバムはDCPRGの第1期の総決算とも言える内容で、この後DCRPGはさらに現代音楽的な要素を強め、よりダンサブルでパンキッシュな音楽へと方向性を向けるようになる。
このアルバムを聴かれた方にはぜひマイルスと菊地雅章氏のオリジナルも聴いてもらいたい。