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NOTRE MUSIQUE

Elle est retrouvee.
Quoi? - L'Eternitee.
C'est la mer alleee
Avec le soleil.

EL&PEmerson Lake & Palmer(以下EL&P)の最高傑作の名高い1971年のアルバム。
EL&PはNiceというバンドにいたキース・エマーソン(key)とキングクリムゾンのグレッグ・レイク(Vo&B)、The Crazy World of Arthur Brownのカール・パーマー(ds)というそれぞれが違ったプログレバンドにいたメンバーが集まって結成された3人編成のバンド。サウンドの核はやはりキースエマーソンのムーグシンセとグレッグ・レイクの叙情的なボーカルで、この当時一般的にはあまり知られていなかったムーグシンセを広め流行らせたのはこのキース・エマーソンのけたたましく無機質なフレーズによるところが大きい。もともとクラシックの素養がある人で、テクニック的にも申し分なく歪ませたファズギターに聞き慣れたロックファンにとっても衝撃を与えた。グレッグ・レイクがクリムゾンを抜けた時点でジミヘンかこのキース・エマーソンのどちらかとバンドをやりたがっていたという事実からも彼のプレイとサウンドがいかに斬新であったかが伺える。このアルバムはアナログ時は2枚組で、A面がアルバムタイトルでもある“Tarkus”という20分にも及ぶナンバーで、組曲形式で切れ目なしに9曲が演奏されている。B面は比較的短い曲が収録されている。
“Tarkus”とはすべてを破壊しつくす架空の怪物の名前で、この曲では噴火にはじまりいくつものドラマを経過し、破壊へと辿る様が描かれている。グレッグ・レイクの叙情的なボーカルもキース・エマーソンのムーグも冗長的なアドリブやテクニックに走らず、フレーズ一つ一つが精巧に作られている。
EL&Pはこの時代のピンクフロイドやキングクリムゾンなどと比べると、重く仰々しいテーマというよりはエンターテイメント性に富んだテーマを扱うバンドで、このアルバムでも“破壊”という明るくないテーマを取り上げているが決してシリアスになり過ぎることなく、純粋に音楽として楽しめるだけの余裕を持たせている。
このアルバムは1971年のメロディ・メーカー誌のアルバム・オブ・ザ・イヤーを受賞。EL&Pのリリースしたアルバムの中でも“展覧会の絵”と並ぶ名作として人気があり、今でもプログレッシブロックの名盤として愛聴されている。
Kate BushKate Bushの1978年のデビューアルバムで邦題は“天使と小悪魔”。
もともとイギリスの裕福な家庭で育った彼女は16歳でピンク・フロイドのデイヴィッド・ギルモアに見出されて、19歳でデビューをした。このアルバムに収録の“嵐が丘”がデビュー曲で全英ナンバー1の大ヒットを記録。このアルバム自体も大ヒットしている。
彼女の神秘的なハイトーンの個性豊かな歌声は非常にインパクトがあり、ポップでありながらもどこかくせのあるロックのようなサウンドともにシーンに衝撃を与えた。ルックス的にも育ちの良さを100%アピールするお嬢様のようなスタイルで、彼女のサウンドの確立と人気に大きく影響している。
そして女性アーティストとしては非常に強烈な個性ではあるが、彼女の作るサウンドは、そういった彼女の個性とはまた別の世界を作っているのが面白い。彼女が歌うのは決して彼女自身のことでもなく、作品が彼女から離れて一人歩きしているほどの完成度がある。同世代のキャロル・キングたジョニ・ミッチェルとはそのあたりが根本的に違っていて、確かに個性的ではあるが女性である自分自身の個性を武器にはせず、あくまで自分の歌を作品としてクールに分析できる批評性をも持ち合わせている。
彼女のそういった個性や作品の質はその後も変わることなく続いていく。近年は主婦業に専念するため半ば引退状態ではあったが、もうすぐ10数年ぶりの新作のリリースが予定されている。主婦になったお嬢様がどんな歌を聴かせてくれるのか待ち遠しい。
ちなみにこのアルバムは現在のCDはオリジナルジャケットとは違うデザインが使われているようだ。上に貼らせていただいた写真はオリジナルのジャケットのほうである。
Charlie Hadenチャーリーヘイデンの1982年のアルバム。
この作品はチャーリー・ヘイデンが1969年に作った“リベレイション・ミュージック・オーケストラ”の続編で、“戦死者たちのバラッド”という邦題がついている。この“リベレイション・ミュージック・オーケストラ”は編曲にカーラ・ブレイの助けを借りて作成したアルバムで、政治的思想や反戦思想などを音楽で表現するという問題作で、各国で賞賛を浴びている。そしてその13年後にECMで作成したのがこのアルバム。同じくカーラ・ブレイがアレンジを担当しているほか、“リベレイション・ミュージック・オーケストラ”に参加したDon CherryやPaul Motian他6人が再度終結している。
このアルバムも前作同様にスペインの市民運動で歌われた歌やエルサルバドルのフォークソングなど政治的主張を感じさせる内容ではあるが、前作のような強い反戦メッセージというよりは、この82年当時の世界情勢に関するある種の諦めにも似た脱力感を感じさせる。音楽的には、いくつかの曲が組曲的に構成されており、民謡風で交響詩的な作風のヘイデンのオリジナル曲や、メンバーのフリーながらも歌心を感じさせるインタープレイの質も高い。自由度の高いフリーな演奏ではあるが、カーラ・ブレイによる見事なアレンジで、微妙な緊張感が保たれ、美しく感動的な作品に仕上がっている。
このアルバムにはヘイデンの「本作の音楽はよりよき世界を作るために捧げられた。よりよき世界とは、戦争や殺戮のない世界、人種差別のない世界、貧困や搾取のない世界、そして独創的な思考がすべての人々の中で最も支配的な力になる世界」というメッセージが記されている。そして発売後20年以上が経過した現在も世界の平和を願ったこのアルバムの輝きは今でも色褪せてはいない。それは世界の情勢がこのアルバムの1982年から現在もなにも変わっていないことを示しているかもしれない。
CSN&YCrosby,Stills,Nash & Young(以下CSN&Y)の1970年のアルバム。
David Crosby,Stephen Stills,Graham Nashの3人で結成したCS&NにNeil Youngが参加してCSN&Yとなった唯一のスタジオアルバム。(CSN&Yの残した作品は他にライブアルバムが1枚あるだけ)
このCSN&YはバーズからDavid Crosby、ホリーズからGraham Nash、バッファロースプリングフィールドからStephen StillsとNeil Youngと1960年代のアメリカンロックを代表するバンドの主要メンバーで構成されており、西海岸のロックとしてフォーク、カントリーといった伝統音楽を消化し、ロックの持ちえる批評性を持ちながら4人のハーモニーを中心にクールに洗練された音楽を聴かせるグループである。
曲ごとにメンバーの個性がはっきり出ていて、“Carry On”などのStillsのロック的な曲調と“Our House”“Teach Your Children”のようなGraham Nashのやさしい曲調の対比も面白く、新たに加わったNeil Youngも自分の個性をぶつけるのではなくCSN&Yのバンドカラーにうまく花を添えて調和させている。それぞれ1曲がもはやロックスタンダードと言えるほど有名になり、この1970年という時代のアメリカンミュージックの魅力が詰まっている。アコースティックギターの技術レベルやコーラスワークなど音楽レベルも高く、アルバム全体の完成度も極めて高い。
アルバムタイトルの“Deja Vu”とはどこかで見たような気がするという心象状態を指す。60年代アメリカのヒッピーカルチャー、カウンターカルチャーの幻想と現実を心理現象として表現したタイトルである。
このグループはこのアルバムで活動を終了し、個々のソロ活動に戻っていくことになる。短い期間ではあったが、Woodstockにも出演し(出演時はCS&Y)1970年代の西海岸のロックに与えた影響は計り知れない。このような実力も人気もあるミュージシャンの集まったスーパーグループというのは音楽形態的に成功することは少ない。ロックはソロイストのインタープレイをぶつけ合うJazzなどと比べて、個性がぶつかりあうだけで話題だけが先行し、結局散漫な作品を残すだけというパターンがほとんどである。このCSN&Yは個性の違うミュージシャン同士が集まることにより、微妙な緊張感を持続しながらも、それぞれの個性の最も良い部分が表現され調和することができた稀有なバンドである。
Cybill Shepherd女優Cybill Shepherdが1978年にリリースしたアルバム。
シビル・シェパードは映画“タクシードライバー”やTVドラマ“こちらブルームーン探偵社”などのヒロインとして知られている女優。モデルを経て女優になった彼女ではあるが、もともとは幼い頃から教会の合唱団で歌い、シンガーを目指していたそうである。このアルバムは女優として指名度が上がってから(映画タクシードライバーの2年後)製作された彼女にとっての初のアルバムである。
そしてこのアルバムのバックを務めるのは、スタン・ゲッツを始めとする西海岸の有名ジャズメンやポピュラー・ブラジリアンの立役者オスカー・カストロ・ネヴィスのブラジルのミュージシャンたち。曲もボサノヴァやアメリカンポップス、スタンダードなどで占められ、ジャズボッサアルバムとしては申し分のない豪華な仕上がりとなっている。アントニオ・カルロス・ジョビンやロックのスタンダードとなったレオンラッセル作の“This Masquerade”のカバーなど選曲のセンスも良い。
全編に渡って彼女の歌をサポートするゲッツのサックスも出過ぎず程よいアピールで品位を感じさせる演奏。ボサノヴァアルバムには定評のあるゲッツではあるが、こういうサイドマンとしてのボサノヴァ曲でのプレイは郡をぬいている。シビルのクールで艶のある声質とゲッツのサックスの音色は非常に相性が良い
彼女のシンガーとしての素質はもちろん、バックミュージシャンに恵まれるという幸運を掴むことにより、女優が本業の片手間に作ったアルバムとは全く感じさせない質の高いアルバムとなった。
CCRCreedence Clearwater Revival(CCR)の1969年の2ndアルバム。
CCRは1968年に“スージーQ”というアルバムでデビュー。アメリカンミュージックの伝統に根ざしたロックを演奏するグループで、南部のサザンロックのようなサウンドではあるが、西海岸出身のバンドである。このデビュー盤には彼らのオリジナルではないがタイトル曲となった“スージーQ”をR&B調の見事なカバーで演奏し注目を集めていたが、彼らのオリジナリティーが確立された代表作というとこの2ndアルバムになるだろう。
ジョン・フォガティとトム・フォガティという兄弟を中心にしたバンドで、この頃のCCRはフォガティ兄弟のアメリカン・ルーツミュージックに対する素養と造詣の深さがバンドの方向性を示唆している。(トム・フォガティは1971年にはCCRを脱退) カントリーをベースにしていながらも伝統音楽としてのカントリーにはならず、フォーク調の曲を演奏しても平凡なアコースティックソングにならずどの曲にも独特なロックスピリットがある。
冒頭の“Good Golly Miss Molly ”はリトルリチャードの古いロックナンバー。この曲も独自の解釈で見事にCCRのサウンドとなっている。またIke&Tina Turnerが後にカバーしたCCR初期の名作“Proud Mary”が収録されている。Ike&Tina Turnerの躍動感あるダンザブルなヴァージョンと比べると、こちらのオリジナルヴァージョンは熱いながらもクールな印象を受ける。その他、これぞCCRサウンドと言える“Born On The Bayou”など一切無駄のない内容で、アルバム全体の完成度は高い。。
CCRは日本ではこの後“Have You Ever Seen The Rain?”のヒットで知名度が上がるが、このアルバムはバンドのサウンドはこの2ndアルバムで既に完成されている。古き良きアメリカンロックの伝統を受け継ぎながらも、ノスタルジック一辺倒にならず独自のロックスピリットを持ち続けたCCRの原点とも言えるアルバムである。常に影響を受けてきたカントリー、フォーク、R&B,ゴスペルといった音楽に対しての批評性とオリジナリティーを失わない彼らの精神とサウンドは、今日のジャグバンドの良きお手本となっている。
山中千尋山中千尋の新譜でメジャー移籍後の第1弾アルバム。
彼女はバークレーを首席で卒業したという経歴の持ち主で、2001年の澤野工房でのデビュー以来、インディーズとは思えないほど人気を集めていた日本人ピアニスト。ニューヨークを拠点に活動しており、日本でも各地でライブを行ったり“情熱大陸”に出演したりと、今最も旬な女性ピアニストである。
このメジャーデビューアルバムでは、これまでの澤野工房時代の3作を総括する充実した内容。これまでのアルバムの“Living Without Friday”や“八木節”などの代表曲に加えて、バド・パウエルの“クレオパトラの夢”や中島みゆきの“まつりばやし”などのカバーや今回新たに書き下ろされた新曲と、世界を視野に入れた幅広い選曲と躍動感のある演奏で、気合いを感じさせてくれる。
他にも、ゲンズブールがフランス・ギャルに書いた“涙のシャンソン日記”のカバーをカバーも収録。ジャズミュージシャンにはあまり取り上げられることはない曲ではあるが、シンプルで美しくアレンジされていて原曲のメロディーの良さを十分に引き出している。中島みゆきのカバーは毎回必ず収録される日本もののカバーで、今回はデュークエリントンの“Happy-Go-Lucky Local”とメドレーとなっており、意外な選曲と凝ったアレンジに驚かされる。
アルバムには“I Will Wait”のレコーディングシーンの動画も収録されている。細い体でダイナミックにピアノを彼女の姿がヴィジュアル的にも堪能できる。
以上のように様々なタイプの曲を弾いているが、彼女の演奏には日本のものでも日本らしさを感じさせないし、バド・パウエルを弾いてもビバップらしさは全く感じさせないオリジナリティーがある。
彼女は実力もさることながら、女性的で良い意味でのライトなポップ感を持った現代的なピアニスト。本作は彼女のビジュアル的な魅力と合わせてジャズファン以外にもアピールできるアルバムである。
Three Dog NightThree Dog Nightの1969年のデビューアルバム。
Three Dog Night(以下3DN)は3人のボーカルとギター、キーボード、ベース、ドラムの7人編成のバンド。
まずボーカルの3人がVan Dyke ParksやBrian Wilsonに認められダンヒルレコードからデビューすることが決定、その3人をバックアップするために4人のバックバンドのメンバーが集められるという経緯で誕生したバンドである。
バンド結成の経緯からも伺えるようにボーカル3人のハーモニーを重んじたグループで、サウンド的には黒人ドラマーを起用し黒くファンキーなリズムを聴かせる。オリジナル曲の他にカバーも多く、このアルバムの中でもオーティス・レディングの“Try a Little Tenderness”Trafficの“Heaven is in Your Mind”の他、ニール・ヤングの“Loner”などその後ブームになるシンガー・ソングライターの曲を無名のこの頃から積極的に取り上げているのも彼らの特徴。そしてこのアルバムにはもうう1曲“Lennon/McCartney”作でありながらビートルズとしては発表されなかった“It's for You”のカバーも収録されている。どの曲も選曲のセンスだけではなく、原曲の持つ曲の魅力をうまく引き出している。
3DNのコーラスは3人ともまったく声質の違い、技術的に質の高いコーラスではないが、彼らならではの独自のアメリカ的で豪快なコーラススタイルを持っている。3人がそれぞれ得意な分野を持っているため、結果として3DNとしてはファンキーなソウルナンバーからバラードまでいろいろなタイプの曲を幅広くこなせることのできるバンドとなった。
3DNは、このデビューアルバムに収録の“Try a Little Tenderness”の全米ヒットにより認知度が高まり、その後6年間で20曲を全米トップ40に送り込む人気グループとなった。またエネルギッシュでエンターテイメント感豊かなライブも好評で、彼らの人気の大きな一因となっている。
現在では知る人ぞ知るといった感じのバンドになってしまったが、忘れてしまうには惜しいバンドである。
Herbie HancockHerbie Hancockの新譜。
今回のアルバムは世界中から広く各ジャンルのヴォーカリストたちが参加し実現したコラボレーションアルバム。集められたミュージシャンたちはジャンルや世代、所属レコード会社の制約を超えて、ハービー自身がセレクトした大物ばかり。ハービーはクインシージョーンズの一連の作品のように、ピアニストとしてだけでなく総合的な音楽プロデューサー的な立場で人選、選曲に渡るまでこのアルバムをマネージしている。
参加したミュージシャンはジョン・メイヤー、スティング、ポール・サイモン、サンタナ、アニー・レノックス、クリスティーナ・アギレラと大物だけではなく注目されている若手アーティストも積極的に集めている。
選曲も見事で、アギレラとのレオン・ラッセルのカバー“A Song For You”やポール・サイモンとの“I Do It For Your Love”、サンタナとAngelique Kidjoによる“Safiatou”などのアレンジと演奏はこのアルバムの中でも特筆に価する出来の良さ。そしてハイライトはジョニー・ラングとジョス・ストーンをフューチャーした“When Love Comes To Town”。ジョニー・ラングのブルージーなギターをバックに堂々と歌い上げるジョス・ストーンの歌声は大御所たちと比較しても決して遜色を感じさせない。またアコギの名手Raul Midonをフューチャーしたスティービー・ワンダーの“I Just Called To Say I Love You”ではスティービー本人もハーモニカで参加している。
バックを支えるミュージシャンも曲ごとに違ったミュージシャンを起用。Willie Weeks(b), John Patitucci(b),Dennis Chambers(Dr),Steve Jordan(dr),Chester Thompson(organ)など曲調ごとにこれまた豪華で贅沢なメンバーたちが適材適所に配置されている。
この作品は黒人音楽全般に造詣の深いハービーが、自分自身で徹底的に市場のリサーチを行い作成した作品。ピアニストとして、またヘッドハンターズでの活躍などは今さら説明するまでもないが、近年では器用で多作であるが故に作品によってはピントがずれてしまったり、ピアニストとしても演奏の質に波が出てしまうことが多い。本作は企画盤の域を出るものではないが、そんなある種の器用貧乏になりやすいハービーの器用さが最も良い形で現れた作品といえる。ぜひ続編的な企画もやって欲しい。
Kellee Patersonケリー・パターソンの1973年のアルバム。
このアルバムは“Black Jazz Records”からリリースされており、以前にこのBlogでも書いたダグ・カーンらと同じようにフリーソウルのコンピレーションCDに収録され注目を浴び再評価の対象となったアーティスト。だがこのケリー・パターンというアーティストに関して知られている情報は非常に少ない。インディアナ出身で黒人で初めてミス・インディアナに選出され、1971年のミス・アメリカの候補に上がるほどの美貌の持ち主であり、それを機にTV界に進出しこのアルバム“Maiden Voyage”をリリースするに至ったそうだ。彼女としてはこのアルバムの他に2枚アルバムをリリースしたが現在の情報等は一切ない。
このアルバムはタイトル通り、ハービー・ハンコックの“Maiden Voyage(処女航海)”を中心にJazzやR&B風の曲で構成されている。ミニー・リパートンにも通じるキュートながらも気高い黒さを感じさせる彼女の声が、R&B調のサウンドの中にも独特な雰囲気を醸しだしている。特にインスト曲に歌詞をのせて歌った“Maiden Voyage”のカバーは多くのアーティストのカバーの中でも郡を抜く出来映えで、クールかつスタイリスティックに深いブラックネスを感じさせる名演である。
このアルバムをリリースした“Black Jazz Records”のリリースした音楽は、アフロアメリカンとしての自我に目覚めた黒人による黒人のための音楽であり、このアルバムはケリーパターソンの代表作でもあり、同レーベルにとっての代表作でもある。収録時間28分とアルバムと呼ぶにはボリュームが少ないが、ニューソウルやファンクなどブラックミュージックが圧倒的なパワーを持ち出した70年代初頭という時代の空気を感じさせてくれる隠れた名盤といえる。