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NOTRE MUSIQUE

Elle est retrouvee.
Quoi? - L'Eternitee.
C'est la mer alleee
Avec le soleil.

Eric ClaptonEric Claptonの新譜。
還暦を越えたクラプトンが4年ぶりにリリースした新作。最近ではロバート・ジョンソンに捧げたトリビュート・アルバム“Me & Mr.Johnson”とその続編とも言える“Session For Robert J”など彼のルーツであるブルースに傾斜した作品を発表し、クリームを30年ぶりに再結成したりと精力的な活動をしている。
今回のアルバムは“Back Home”というアルバムタイトルのとおり、ブルースをはじめクラプトンのもうひとつのルーツとも言えるレゲエやアコースティックなバラード、Dominos時代を彷彿させるスワンプロック風の曲まで彼の音楽性の集大成とも言える内容となっている。その他、smapに書き下ろして話題になった“友だちへ- Say What You Will”のレゲエ調のセルフカバーやスティービー・ワンダーの元妻シリータの“I'm Going Left”のカバー、そして親友ジョージ・ハリスンの“Love Comes To Everyone”を原曲に忠実にカバーしている。
今回もここ数年のクラプトンの片腕的存在であるサイモン・クライミーやスティーブ・ガッドを含むバンドを起用し、タイトで円熟した演奏を聴かせる。またゲストとして、スティーヴ・ウィンウッド、ヴィンス・ギル、ジョン・メイヤー、ロバート・ランドルフが参加。過去の盟友でもあった彼のスティーヴ・ウィンウッドだけではなく、新しいミュージシャンまで及ぶ彼の交流の広さを垣間見れる。
友人であるミュージシャンの死や愛息の死、親友の妻への恋などクラプトンの作品は、それぞれが、その時代のドラマチックな彼自身の人生を反映している。今回のアルバムに関しては、全編に渡って作風に再婚後の私生活の充実ぶりが反映されている。前作の“Reptil”では複雑な幼少期をテーマにしていたが、今回のアルバムはキャリアの長い彼の音楽性の集大成でもあり、過去の人生に対するオマージュ的な作品とも言える。
かつて“スローハンド”と恐れられた頃のような目の覚めるギタープレイは聴けなくなってしまったが、アルバム全編に渡って彼の幸福感が伝わってくる。この新譜は彼の現在の充実した私生活と彼の幅広い豊かな音楽性が調和し、バランスよく仕上がった久々の改作である。
Nate James
Nate Jamesのデビューアルバム。

今年の頭くらいからUKを中心に注目されはじめたソウル・シンガー。イギリスのサフォーク州出身でジャケット写真のアフロからも連想させるとおりアーバンなR&Bを歌いこなす実力派である。

ソフトな歌声とポップな曲調はStevie Wonderからの影響を強く感じさせ、ネオソウルにカテゴライズされる音楽ではあるが、ディアンジェロなどと比べるとより洗練されていて、ソフィスケイトされた雰囲気を持っている。

このデビューアルバムでは、先行シングルとして話題を集めた“Universal"をはじめ、ロックテイストの強いファンクナンバーからバラード、トラディショナルなR&B調の曲まで彼の幅広い音楽性と確かな実力を証明した力作となっている。またスペシャル・ゲストとして、元En Vogue、現Lucy PearlのヴォーカリストDawn Robinsonが登場する。

またこのアルバムはBrand New Heavies所属レーベル、One Twoからリリース。UKソウル色の強いアレンジでJamiroquaiの音楽性にも共通点を感じる。Stevie Wonderの新譜が依然どうなったしまったのかわからない状況の中、次々に優秀な新人が登場してくる。Stevieら大御所のアルバム同様、ソウルファンにとってはこのNate Jamesのアルバムは必聴である。

(ちなみにStevie Wonderの新譜は期待されていた9月末の発売も無理らしいです。)
Orange RangeOrange Rangeの現在最も新しい2004年のアルバム。
Orange Rangeはギター、ベース、ドラムにMCが3人という構成で沖縄出身の平均年齢20歳未満のバンド。
昨年の彼ら快進撃は凄まじいものがあり“上海ハニー”のヒット以降上り調子だった人気は不動のものとなった。このアルバムは“ロコローション”“チェスト”や映画“いま、会いにゆきます”の主題歌になった“花”など2004年の彼らのヒット曲がすべて収録されている。メジャーデビュー盤が“1st CONTACT”がロックとヒップホップ寄りの硬派な傾向が強かったアルバムだったが、このアルバムは全19曲というボリュームで彼らのバラエティー豊富な音楽性を充分に楽しむことができる。
彼らの曲は、ロコモーションはキャロル・キング作曲のアメリカンポップスの名曲“Locomotion”と数年前にヒットしたシャンプーの“Trouble”、Zung Zung Funky MusicはWild Cherryの“Play That Funky Music”とドリフの“ズンドコ節”という具合に、複数の曲からパクったフレーズで構成されている曲が多い。誰も気づかないようなマイナーな曲からではなく、有名な曲を堂々とわかりやすくパクっているのが面白いところで、このパクリに関しては本人たちが「オレたちの中の合言葉は“パクろうぜ!”です」と公言しているらしい。
(ちなみに“ロコモーション”に関しては紅白出演時はテロップの作詞・作曲がシングル発売時の“オレンジレンジ”から“Carol King / Gerry Goffin”に変更されていた。)
彼らのサウンドはポジティブかつ陽気で、沖縄らしさは少ないがギリギリのところでパロディー(コミックソング)にならず踏みとどまっている。公言すれば許されるといった問題ではないが、彼らのパクリ精神には妙な清清しさがある。元ネタの選曲とミクスチャーセンス、音楽的なアレンジの水準も極めて高い。彼らにしてみれば自分が好きな音楽は誰が聴いても好きだと考え、無邪気で純粋に音楽をサンプリングしているだけなのだろう。
日本のミュージックシーンは、所詮ロックは自国の文化ではないというコンプレックスに常につきまとわれてきたため、日本人は音楽制作については保守的で、盗作やパクリといった言葉にはかなり嫌悪の対象として敏感である。だがこのOrange Rangeはパクリを公言しながらも爆発的に売れている。日本のミュージックシーンは、邦楽ロックなんて所詮洋楽ロックの影響下からは抜け出せない、わかりやすい・わかりにくいを別にしても誰もがなにかしらのパクリを犯しているという既成事実を受け入れ、真のオリジナリティーとパクリとの狭間にあるジレンマから抜け出したのかもしれない。今後のOrange Rangeの歩み方は邦楽シーン全体に大きな影響を与えるだろう。
Peter ToshPeter Toshの2枚組の新譜。
内容は1978年の“One Love Peace Concert”のライブ音源とPeter Tosh自身によるアコースティック音源の貴重な2枚組。
“One Love Peace Concert”は当時のジャマイカの2大政党であったPNP(人民国家党)とJLP(ジャマイカ労働党)が音楽を通じて平和を誓い合ったコンサート。不安定な政治情勢のなかで対立する政党が協力してライブを行うというジャマイカ史上意義のあるコンサートであると同時に、このPeter Tosh他、Bob MarleyやJaycob Millerなどルーツレゲエの大物たちがこぞって参加しレゲエミュージックにとっても大きな転機となったライブである。ここでのトッシュのライブは彼のキャリアの集大成とも呼べる充実した内容でベストな選曲とともに彼のエネルギッシュがスピーチが収録されている。全体に渡って、彼の歌の普遍的なパワーと歌の持つ政治的なメッセージが結実し、スライ&ロビーを含むバンドの演奏力によって音楽的にもまとまっている。
2枚目のアコースティック音源は、Wailers時代の“Get Up, Stand Up”なども含め名曲がむき出しの姿で収録されていて、原曲の持つエネルギーと繊細でもあるトッシュのもうひとつの側面が見えてくる貴重な音源集。
トッシュの歌に込められた直接的な政治的メッセージ、音楽で世界を変えようとした姿勢は2005年の現在でも国境を越えて我々の心に強く訴えかけてくる。この2枚組はジャマイカの歴史にとっても、ルーツレゲエにとっても貴重な歴史的財産である。
Craig DavidCraig Davidの新譜で3枚目のアルバム。
クレイグ・デイビッドは、2ステップというUKクラブシーンの最先端をいくダンス(音楽)スタイルを操り、アートフル・ドジャーの“Re-Rewind”という曲でフィーチャーされ注目を集め、2000年に18歳でデビューした。このデビューアルバムでUKを代表するトップの座へと登りつめた。2001年には世界デビューも果たし、2002年の2ndアルバム“Slicker Than Your Average”ではそのタイトルどおり世界の音楽的なクオリティーの水準を軽々クリアし余裕のあるサウンドで実力に裏付けられた確固たる評価を得ている。
彼の実力は一般リスナーからミュージシャンにも人気があり、彼と一緒に仕事がしたいプロデューサーが多いらしい。だが今回のアルバムも外部の大物プロデューサーに委ねることなく彼自身のペースで自由に製作されている。今回は全40数曲の候補曲の中から厳選したということで、収録曲された曲の完成度は非常に高く駄曲はない。
今回の3枚目のアルバムはデビュー以降の前2作と比べるとメローな曲が多い。2ステップを期待するファンには物足りなさもあるかもしれないが、アルバムの完成度は驚くほど高い。テンポが似ている曲が多いにも関わらず、メロディーの美しさや洗練されたアレンジで飽きることなく一気に聴かせてくれる。
ある意味AOR的な洗練された切なさや清々しさが同居するサウンドや、良質なメロディーはポップな音楽でありながらも、決して軽薄なポップスにならず芯のある黒さも感じる。ルーツには伝統的なR&Bのスタイルを感じさせながらも決して熱くならずクールに決める手腕は見事、ポップでありながらも常に黒さを感じさせる彼のサウンドには脱帽する。
ジャンルといったカテゴリから逸脱した彼の音楽、そしてこのアルバムは全音楽ファンにとって必聴のアルバムであり、誰もが楽しむことができる内容となっている。未聴の方はぜひ。
Rolling StonesRolling Stonesの新譜。
ライブ盤やベスト盤のリリースや、様々なニュースなど話題に事欠かないストーンズであるが、スタジオ録音の新譜は1997年発表の“Bridges To Babylon”以来8年ぶり。去年の11月から録音を開始し、今回もプロデュースはドン・ウォズが担当。
サウンドは前作までのドン・ウォズによるプロデュースらしいコンテンポラリーなストーンズサウンドである。ミック・ジャガーが公言するとおり、パンキッシュなノリのよいナンバーやファンクチューン、王道のストーンズサウンドまで相変わらずのバラエティの多さ、クオリティーの高さには驚かされる。
曲数も全部で16曲収録とストーンズにとってはLP時代の2枚組傑作“Exile On Main St.”に続いて収録曲の多いアルバムとなった。“Exile On Main St.”がすべてを吐き出すかのような割とごった煮間の詰まったアルバムであったのに対し、今回のアルバムは曲数、バラエティさはあっても全体にかなりタイトにまとまっている。さらにチャーリーのガン治療やロンウッドのアルコール中毒治療があったため、事前のインタビューでドン・ウォズが「60年代後半のストーンズを思わせるくらいに一致協力して曲を作っている」とも公言していたとおり、ほとんどミックとキースがメインで作られている。いまだに不仲説やささいなケンカの話題が絶えない二人であるが、ソングライティングからサウンドメイクに至るまで音楽的パートナーとしてのコンビネーションの健在ぶりを証明している。
オリジナルメンバーの3人が既に還暦を超え、8年というブランクがありながらも彼らの音楽のもつハードな現役感は決して失われていない。この後また大規模なワールドツアーが予定されているとのこと。世界一の絶倫バンド、Rolling Stonesはまだまだ転がり続ける。このカッコよさはもはや異常だと思う。
Jackson BrowneJackson Browneの1976年のアルバム。
LA出身のシンガーソングライターで、もともとディランの影響が強いフォークを歌い、その頃から多くのアーティストにカバーされたりと実力的には申し分のないものを持っていたが、彼が本格的にメジャーな存在となったのはロックサウンドを取り入れるようになってからであった。ブルーススプリングスティーンを成功に導いたジョン・ランドゥーをプロデューサーに迎えた本作で彼の存在は全世界に知れ渡った。
この作品の妻の自殺の直後に作成されたアルバムで、ロック的なサウンドアプローチとは対照的に歌詞はそのときの彼自身の暗い心境を歌われたものが多く、また彼の歌い方も淡々と語りかけるようなスタイルになっている。アルバム全体に渡って、妻の自殺という想像を絶する苦悩に立ち向かう彼の姿がリアルに表現されていて涙を誘う。
このアルバムをはじめ、ジャクソン・ブラウンの作品はシンガーソングライターの中でも特に個人的な私観を歌ったものが多いが、決して彼個人の私的な歌で終わらない。彼の歌は個人的なものを歌っていながらも、誰にでも起こりうる一般的で普遍性な事象としてうまくすりかえられている。
タイトル曲の“Pretender”は妻の自殺を乗り越えるために“ふり”しなければ生きていけないという彼自身の歌でもあり、同時に夢の60年代をいつまでもひきずり“ふり”をしなければ生きていけない当時の若者のことの心情をうまく表現している。
サウンド的にもデビッド・リンドレーのギターをはじめ、ジャクソン・ブラウンの歌の持つパワーに負けないだけの高いクオリティーを持っている。
KO ProjectKO Projectとは日本が世界に誇るピアニストであるPOOさんこと菊池雅章氏とMベース(M-Base Collective)出身のサックス奏者グレッグ・オズビ-の2人によるプロジェクト。このアルバムはそのKO Projectの1枚目のアルバムである。(このProjectが今後どういう展開をしていくのかは不明だが。)
アルバムのサブタイトルには“菊地雅章・ウィズ・グレッグ・オズビー”という表記もあり、POOさんのアルバムにグレッグがゲスト出演という印象を受けるが、それぞれのソロが2曲づつある他は二人の完全なデュオ形式であくまで対等なポジションでの共同作業となっている。
サックスとピアノのみというスタイル自体は決して珍しいものではないが、ここでの二人のサウンドの密度の濃さは特筆に価する。無駄のない音といってしまえばそれまでだが、二人のインタープレイの本質や二人のフレーズのエネルギーのぶつかり合いは我々リスナーとしての第三者を受け付けない精神的な崇高さがある。たとえ一リスナーとしてこの作品を聴くことでさえ、体力的・精神的に相当なパワーを要する。
オリジナルの他に、今やスタンダードとしておなじみのモンクの“Round Midnight”とマイルスの“Swing Spring”の2曲のカバーが演奏されている。このProjectの音楽的方向性はこのカバーに如実に表れている。どちらもテーマこそあるが、通常のコード進行や構成は存在しない。二人の感覚ですべてが決められている。
あくまでジャズ的なアプローチから外れないグレッグに対して、POOさんのピアノはジャズといったカテゴライズの制約、フレーズのinとかoutといった音楽的メソッドを完全に超越している。今回のPOOさんのピアノに関しては、今までのソロピアノ等で見受けられたあらゆる音楽的制約へのジレンマや己の精神や肉体を削りながら搾り出そうとする辛辣さは感じられない。
今回のアルバムには珍しくPOOさん自身の解説が掲載されている。共同プロジェクトでありながら、プロジェクトの経緯や相棒グレッグにはまったく触れないというPOOさんらしい独特な解説ではあるが、そこには非常に興味深い内容が述べられている。詳しくは読んでいただければわかるが、この解説は、ここ数年は無意識にピアノを弾くことは、トーナリティーやハーモニーを否定できるので楽しくてしょうがない、といった印象的な記述で閉められる。無意識にピアノを弾くという行為自体は、音楽的にも精神的にも卓越した行為である。それを可能にしたPOOさんはまたひとりでひとつ次の次元へ行ってしまったのであろう。それはまさに“Beyond All”というアルバムタイトルにも表れている。
このアルバムにはそんな数々の音楽的ジレンマから解放され、感覚の赴くままにプレイするPOOさん、そしてそれに触発されながらも決して自我を見失わないグレッグの演奏が聴ける。昨今のジャズを含めたポップミュージックの大衆性の対極に位置するアルバムではあるが、今日現在聴く事ができるあらゆる音楽の中で最高に美しい作品といえるのかもしれない。
Gil Scott-HeronGil Scott-Heronの1971年のアルバム。
ギル・スコット・ヘロン60年代に盛り上がった黒人開放運動・公民権運動が冷めかけた70年代に登場した“黒いボブ・ディラン”の異名を持つ男。カウンターカルチャーや公民権運動が終焉を向かえてもひとり人種差別反対を歌に託してきたアーティストである。彼のスタイルはポエトリー・リーディングに近いもので、ファンキーなサウンドをバックにメッセージ性の強いポエトリー・リーディングをのせるというスタイルは彼独自のものである。黒人文化から派生したラップではなく、どちらかというと白人の文化であるポエトリー・リーディングに近いというのは、人種差別などのメッセージを訴える彼らしい表現方法と言えるのかもしれない。
このアルバムは詩人として活躍していた彼が盟友となるブライアン・ジャクソン(p)と出会い、初めて製作した“歌もの”のアルバム。バックのミュージシャンとしてバーナード・パーディー(dr)やロン・カーター(b)が参加しているせいか、ジャズとしてカテゴライズされているが、サウンド的にはファンクもしくはロックとも言えるファンキーでダイナミックな演奏が聴ける。(ロン・カーターのエレクトリックベースが聴けるという点でも面白いアルバムでもある)
各曲のタイトルにも“The Revolution Will Not Be Televised(革命はテレビ化されない)”や“Save The Children”などメッセージ性の強い曲があり、また“I Think I'll Call It Morning”“Pieces Of A Man”などスローなバラードも多い。
このひとは元々詩人でもあるとおり、詩を聞かせるため単調な曲も多く、ボーカリストとしてはそれほど技術的に優れてはいない。だが彼のポエトリーリーディングの黒い感覚や歌いまわし、そして過激なメッセージソングに託された彼のスピリットは多くのHip Hopアーティストに影響を与え、現在でもサンプリングのネタとして重宝されている。
彼の存在については、いまや知る人ぞ知るというアーティストになってしまっている。特にここ日本では言語の違いから彼の詩に対する理解が非常に薄く、国内盤はほとんど発表されていない。あと10年早く登場していれば歴史に名を残すような支持が得られたのかもしれない。この後70年代後半にかけて、ブラックミュージックシーンはディスコブーム一色となっていくが、そんな中でも彼はブームとは無縁に、休むことなくマイペースに活動を継続。彼の孤独な戦いは現在も続いている。
Isabelle AubretIsabelle Aubretの1971年のアルバム。
日本盤ではアルバムタイトルはシンプルに彼女の名前を冠した“Isabelle Aubret”となっているが、“La Chanson D'orphee”という別のタイトルも存在するらしい。
女優と歌手という両方の顔を持つ彼女ではあるが、ここ日本では彼女の映画作品はほとんど見ることはできない。日本盤の解説にもあるが、女優としての仕事はほとんど謎で、歌手として今でも活躍しているひとらしい。
彼女は24歳でデビューして順調に人気が出てきたところで自動車事故に見舞われる。この作品は瀕死の重症から奇跡のカムバックを果たした直後のアルバム。
編曲を当時のゲンズブールの仕事で有名なアラン・コラゲールが担当。アントニオ・カルロス・ジョビンのカバーや有名な“マシュケナダ”のカバーなどボサノヴァのスタンダードとも言える名曲をフランス語でカバーしており、全体的にブラジルの影響の強いアルバムとなっている。アラン・コラゲールによるエスプリ感の漂うジャジーでレトロ・モダンなアレンジにイザベル・オーブレのキュートでどこかミステリアスな雰囲気のスキャトが映える。
今回、ブラジル音楽専門誌“ムジカ・ロコムンド”に掲載されボサノヴァやブラジル音楽ファンからも評価を受け話題となり日本盤の企画と繋がったようだ。もともとレアなアルバムではあるが、ブラジル音楽とフレンチポップの相性の良さを証するかのような充実した内容で、フレンチ・ブラジリアンの名盤といえる。