女優Cybill Shepherdが1978年にリリースしたアルバム。シビル・シェパードは映画“タクシードライバー”やTVドラマ“こちらブルームーン探偵社”などのヒロインとして知られている女優。モデルを経て女優になった彼女ではあるが、もともとは幼い頃から教会の合唱団で歌い、シンガーを目指していたそうである。このアルバムは女優として指名度が上がってから(映画タクシードライバーの2年後)製作された彼女にとっての初のアルバムである。
そしてこのアルバムのバックを務めるのは、スタン・ゲッツを始めとする西海岸の有名ジャズメンやポピュラー・ブラジリアンの立役者オスカー・カストロ・ネヴィスのブラジルのミュージシャンたち。曲もボサノヴァやアメリカンポップス、スタンダードなどで占められ、ジャズボッサアルバムとしては申し分のない豪華な仕上がりとなっている。アントニオ・カルロス・ジョビンやロックのスタンダードとなったレオンラッセル作の“This Masquerade”のカバーなど選曲のセンスも良い。
全編に渡って彼女の歌をサポートするゲッツのサックスも出過ぎず程よいアピールで品位を感じさせる演奏。ボサノヴァアルバムには定評のあるゲッツではあるが、こういうサイドマンとしてのボサノヴァ曲でのプレイは郡をぬいている。シビルのクールで艶のある声質とゲッツのサックスの音色は非常に相性が良い
彼女のシンガーとしての素質はもちろん、バックミュージシャンに恵まれるという幸運を掴むことにより、女優が本業の片手間に作ったアルバムとは全く感じさせない質の高いアルバムとなった。