ピザ窯がある列車
アイデンティティ消失の危機
そんな「ピザ窯のある鉄道車両」という唯一無二のアイデンティティを持つレールキッチンチクゴですが、なんとそのアイデンティティが消失の危機にあります。
というのも、2022年9月よりコースのリニューアルが行われ、ピザがメニューから消えてしまうのです…
ピザ窯自体は他メニューの調理に使われるようですが、運行開始以来できたてのピザを売りにしてきたレールキッチンチクゴ。
いったいどうなっていくのでしょうか…
ということで、今回はピザがメニューから消えてしまう前に滑り込みでレールキッチンチクゴに乗って見ることにしました。
2022年9月より前のコースは3つ。
・地域を味わうカフェ 太宰府の旅[福岡(天神)→太宰府]
・地域を味わうランチ 筑後の旅[福岡(天神)→大牟田]
・地域を味わう季節限定コース[福岡(天神)→(花畑)→福岡(天神)]
今回はこのうちランチのコースに乗車します!
その他のコースについてはこちらの方のブログの記載が詳しいのでご参考にどうぞ↓
レールキッチンチクゴの車内
2022年8月14日、西鉄福岡(天神)駅にやってきました。
見慣れたこの光景。
ここからレストラン列車に乗るなんて想像もつきません。
駅窓口で帰り分のきっぷを購入した後、事前にメールで送られた乗車券を見せて改札中に入ります。
振り返ると、9月からのレールキッチンチクゴ新コースの紹介が…
なんでピザなくなっちゃうの…
レールキッチンチクゴは2・3番のりばの間にある降車用ホームからの乗車です。
おや…?なにかありますね…
旅行かばんに丸テーブル、ベンチ、メニューが書かれたボード…
駅の風景と見事に調和していません(笑)
これはいったい……?
やがて、放送が入りました。
「まもなく3番のりばに回送電車が到着します。ご注意ください」
あ、回送扱いなんだ…(笑)
放送とともにやってきたのは白色に赤色の格子模様が入った車両。
形式はあのアイスグリーン色の通勤型と同じですが、まったくイメージは異なりますね。
前面の行先表示器には「hellow」の文字が入れられています。
ここで先ほどのテーブルたちの謎が解けました!
列車をレストランと見立てるとちょうどドアがその玄関に当たり、並んでいるテーブルたちと相まってまるで街なかのレストランの入り口みたいに…!
まさに「レストラン列車」な演出ですね!
このベンチに座って記念撮影もできました。
スタッフにメールで来た乗車券を見せ、車内へ。
さっそくグラスがたくさん並んでいてレストランの雰囲気!
車内は豪華…ではなく、カジュアルさを感じる落ち着いた雰囲気です。
同じレストラン列車にJR九州の「或る列車」がありますが、そのきらびやかな車内とは違う感じ。
↑或る列車の車内はこちらから
「気軽に乗っていただきたい」ということでカジュアルな雰囲気になったのだとか。
もう一つ特徴的なのが、ほとんどのテーブルが車内中央寄りに設置されており、テーブルの片側にロングシート、もう片側に窓を背にして椅子が配置されていること。
レストラン列車は普通、窓側にテーブルを寄せることが多いのでこの座席配置はけっこう珍しいかも…
続いて2号車へ。
こちらはオープンキッチンスタイルの厨房が設置されています。
雰囲気は八戸線の「東北エモーション」に似た感じ。
↑東北エモーションの車内はこちらから
車両真ん中にはピザ窯2台が堂々鎮座しています。
まさかこんな本格的なピザ窯が設置された列車が登場するなんて誰が想像したでしょうか…
ぜひここでピザを焼いているところを見てみたいものです。
まさに盛り付け中ということで、お邪魔にならないよう自席に戻ります。
テーブルには列車の車体と同じ赤色の格子が入ったランチョンマットがひいてあり、食事の準備が整っていました。
西鉄福岡(天神)駅を出発!
発車時刻が近づくと、乗務員さんがなんとトライアングルを鳴らして発車の合図を!
11:51、列車は大牟田へ向け、発車しました。
途中の停車駅は柳川のみとなっていますが、さっそく薬院に運転停車。
その後は通常の列車よりもゆっくりと南へとその足を進めていきます。
さっそくウェルカムドリンクが運ばれてきました。
こちらは「あまおうプレミアムスパーリングワイン」。
西鉄が企画に携わったワインで、なんと1本(750mL)にあまおうを贅沢に50粒も使ったのが特徴。
ほどよい甘さと爽やかさを感じさせる、食前にぴったりのお味です。
続いて最初のお料理が運ばれてきました。
アミューズ「オクラときゅうりのスープ」。
大牟田市産オクラ、筑紫野市産きゅうり、久留米市産ミントが使用されています。
冷たいスープは食欲がなくなりがちな夏にぴったりですね~!
そのころ、列車はちょうど8月28日ダイヤ改正より高架化される区間(雑餉隈~下大利間)を走行中。
あともう少しでこの景色をレールキッチンから見ることはできなくなります。
高架の下を走るトンネルみたいな風景も今限定ですね。
高架切替対象区間途中の春日原で運転停車。
今は薄暗いですが、まもなく高架駅に移ります。
ここで運転士さんから車内放送でご挨拶が。
本日の料理に使われているお野菜を提供している農園へ足を運んだ話を交えながら運転停車の数分間お話続けてくださいました。
沿線のお見送りと田園風景を見ながら
こちらは「たこ焼き工房じゅん」。レールキッチンチクゴの運行開始以来、雨の日も風の日もレールキッチンに手を振り続けているそうです。
お手振りは西鉄社内でも話題になり、筑紫工場勤務の社員さんがときどきこのお店を訪れているのだとか…
いつか訪れてみたいですね。
小郡市を過ぎ、列車は田園風景の中を走行するように。